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四章 物語は終盤へ

誘惑したわけではないんです…本当に…

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翌日お父様に手紙でエルマー様の事を報告すれば「仕事が丁度片付いた」と言うことでお父様とお兄様が夕方に訪ねてきた。

良い報告をする時って物事がスムーズに行くんだね。

久しぶりのお父様とお兄様が嬉しくてなんどもハグして離れることが出来なかった。

赤ちゃん達に挨拶し終えたお父様とお兄様はエルマー様と話したいと談話室に三人で籠ってしまったので、僕は赤ちゃん達と話が終わるのを待ち続けた。

出てきた時何だかエルマー様は窶れたように見えたけど、お父様とお兄様と仲良くなってくれて良かった。
話し合いが終わるとお父様とお兄様はお母様が心配だからと帰ってしまった。
寂しいけど、お母様が今一人だと思うと早く帰ってあげてと僕から送り出した。

そしてエルマー様のお泊まりが始まった。

本人はゼロから商人になるべく動き出していて、まずはサンチェスター領地を報告書だけでなく自身の足で赴き確認していた。
サンチェスター伯爵領は技術はあっても立地により王都や隣国への売り込みに二の足を踏んでいたらしい。そこに目をつけ、たった一日でかなりの人に声を掛けていたと報告があった。領民も領主の妻であるシャルマンの六番目の旦那候補と言うことでかなり信頼してくれているようで話もスムーズに纏まっていた。
本人はシャルマンの名前のお陰だと話していたが、エルマー様の誠実な対応や頼りになる雰囲気が大きいと感じる。見た目はちょっぴり怖いけどそこが逆に信頼できた。

順番通りスティーヴンと一緒の時間を過ごした次の日にエルマー様との時間になる。
スティーヴンはエルマー様を呼び、商人の伝で有るものを作ってくれと頼んていた。
僕の事を後ろから抱きしめスティーヴンに寄りかかる態勢にされ、されるがままだった。
腰を抱く腕に力が込められ更に引き寄せられたかと思えば、ズボンに手が掛かりそのまま脱がされた。

「きゃーだめぇーエルマー様見ないでぇ。」

だって…だって…ズボンを…エルマー様とそういう関係になった事なんてないのに…。

こんな姿をみられるなんて…。

いつものパンツならここまで恥ずかしくないけど、スティーヴン様にあの格好しといてって言われて服の下にあのエッチな下着を身に着けていた。

「エルマー、この下着作れねぇか?フィンコックのサイズで。」

え?この下着を作れって言ったの?

「やっ、いらないっいらないよっ。」

恥ずかしい…見ないで。

「エルマー、良く見ろよ。これ同じ形で色とかデザイン変えて作ってくれよ。」

「あっダメダメダメダメェ見ちゃいやっ。」

僕が暴れたのでスティーヴンに顎を取られ唇を塞がれた。
こんな時でもキスに負けてしまう自分が嫌になる…。

スティーヴンのキスに夢中になり、足を開かされたりと卑猥な姿をエルマー様に見せつけていた。
自分の格好を忘れて膝立ちでスティーヴンに抱きついたりもしていた。
エルマー様の存在を忘れ淫乱なお尻を晒すも、エルマー様は商人魂なのか真剣にエッチなパンツを観察していた。

絵が得意なのか僕の…パンツをデッサンしていた。

デッサンが終わるとスティーヴンに目で挨拶をして出ていったが、僕はすっかりエルマー様の存在を忘れエッチなキスを続けた。

翌日のエルマー様との時間。
前日にそんな姿を見せつけてしまったのでエルマー様とほんの少し気まずさがあったが気にしてないように普通で、変わらず冷静だった…。

「…エルマー様?」

「フィンコック様、俺の事はレノックと呼んでください。」

「…レノック様。」

「レノックで。」

「…レノック?」

「はい」

「…レノックは、本当に僕で良かったの?」

やはり何度も確認してしまいたくなる…。
あんな姿を見せてしまったし…。

「はい、フィンコック様しか考えていません。」

「…僕の事どう思ってるの?」

「貴族らしくない方です。」

…うん、それは僕も思う。

「他に有りますか?」

「爵位で差別しない、俺を怖がらない…それに…エッチなんだと知りました。」

「…ぁっ…」

最後のは昨日の…パンツの事だよね。

「今日もですか?」

今日も?なにが?

「なにがですか?」

「パンツです。」

「…ちっ違います、あれはスティーヴンが…。普段はちゃんとしたパンツです。」

毎日あんなエッチなのは履いてません。
エッチな奴って誤解された。

「残念です、俺も見たかった。」

見たい?あのエッチな下着を?
…あっ商人の仕事としてかな?
スティーヴンに依頼されちゃったもんね…。

…婚約期間とはいえ、いずれ旦那様になるんだし…。
旦那様は皆平等に…。

「…こ…今度…なら…」

「良いんですか?」

「…はぃ。」

「楽しみにしてます。」

「…んっ」

どうしよう…この後…。

レノックは僕にエッチな事をしてくる素振りはなかった。
一年間禁欲…って僕には考えられない。
だって僕は四日で爆発してしまうから…。

「…あのっ…一緒に…お風呂…入りますか?」

僕から誘ってみた。

「良いんですか?」

「はい」

湯船にお湯を溜めながら泡風呂を作る。

「これは何をしているんですか?」

「あっ、これは泡風呂で僕好きなんです。」

「こんな使い方は初めて知りました。」

「そうなんだ…泡風呂用の石鹸って作れますか?」

「考えてみます。」

やはり商人の血なのか商品の話になると目がキラキラしていた。

「んふ、ありがとうございます。僕お風呂大好きなんです。」

「以前も言っていましたね。」

「はい、だけど長湯しちゃうので逆上せないように気を付けてるんです。」

「フィンコック様は本当にお風呂が好きなんですね。」

「あの石鹸に出会えたからです。んふ」

レノックは何だか嬉しそうで僕も嬉しくなる。

初めて一緒に入るのは恥ずかしくてレノックにはお願いして互いに背中を向けて脱ぐようにして、僕は急いで浴室に逃げた。
手早く身体を泡だらけにして隠した。
背中や耳でレノックが入ってきたのが分かり、全身で反応してしまった。

「抱きしめても良いですか?」

「…はぃ」

優しく包まれるように後ろから抱きしめられ、僕の泡だらけの身体にレノックの大きな身体が触れ互いの身体を擦り付けて洗っていった。
僕の泡がレノックの身体に移り次第に少なくなり始めたところをシャワーで一気に流されてしまった。
恥ずかしくて振り向けないでいると、浴槽に促された。

レノックは一年禁欲したなんて思えない程余裕があって、僕の方がレノックの身体にドキドキした。
浴槽の端と端にいて、緊張していたのに離れていると寂しくなる。
寂しくて僕から近付きレノックの身体に触れた。

「膝に…座っても良い?」

「…はい」

レノックの膝に座り胸に凭れた。

大きな身体に包まれると安心する。
レノックの腕の中に収まると心臓の鼓動が聞こえた…。

鼓動はとても早いのにレノックの顔は冷静で、そのアンバランスさが可愛かった。

レノックに捕まり見上げるとセクシーな顎にドキドキして唇が触れていた。
その瞬間驚いた表情のレノックと目が合い、数秒見つめあうと唇が重なっていた。
泡で一切見えないお湯の中で抱きしめられていた手が移動し始める。
大きな手で僕のを握られ扱かれている間、僕から舌を絡めた。

キスの合間に自然に「もっと」と強請っている自分に驚いた。

我慢することなくお湯の中に出してしまってもキスは続いていた。
お湯の中から出され浴槽の縁に座らされ洗浄魔法を掛けられたかと思えば、僕のものはレノックの口の中に含まれていた。
不安定な場所と気持ち良さでレノックの頭を強めに押さえ付け、僕は躊躇う事なくレノックの口に吐き出していた。

これだとどっちが禁欲していたのか分からない。

謝罪の意味を込めて、レノックを僕のものから離し両頬に手を添えて唇を重ね彼の舌を綺麗にした。

苦くて…好きじゃない…自分のは。

僕たちはシャワーで全身を流してお風呂場を後にした。
バスローブ姿でベッドに移動してあの本に触れる。

商人の彼を応援するために僕が出来る唯一の事。
パンツを見せるのは恥ずかしいけど、一日でも早く彼には独り立ちして自信をもってもらいたい。

レノックは僕が何をしているのか分からず隣で眺めていたが、僕の姿が変わった瞬間たがが外れたように求められた。
レノックの急激な変わりように付いていけず、咄嗟にフェロモンを出して対抗してしまった。
彼は必死に冷静さを保っていたのに、一年禁欲していた男の欲望を僕は侮り刺激してしまい返り討ちに合った。




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本日はここまでで…。
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