【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

文字の大きさ
上 下
379 / 414
四章 物語は終盤へ

家族会議

しおりを挟む
どうしてだろう…こういう日に限って家族の皆が揃ってしまった…。

ごめんなさいエルマー様…。
旦那様に囲まれて気まずいですよね…だって…僕は気まずいですから…。

ライ、アレックス、エド、リック、スティーヴンを前にすると何もなければ心強いが…今はとても後ろめたい…。
僕はまた旦那様を増やそうとしているし、それを皆も気付いている。

こんな日の食事は喉を通らない。

「シャルの夫のライアン サンチェスターだ。今は当主補佐この領地を納めている。」

誰よりも先に口を開いたのはライだった。

その後はアレックス、エド、リック、スティーヴンが名乗り僕の夫と主張した。
日本であれば理解できない光景だが皆は納得している。
そして、旦那様達は次の旦那様候補を見極めていた。

「俺の名前はレノック エルマー、男爵家の次男です。商人をしている家系ですが、俺は家を出るつもりなので平民になります。だからって皆さんに養ってもらおうとは思っていません。俺は一から商人になるつもりで、フィンコック様を利用するつもりはありません。」

「当然だっ」

シリクレッチ様の声を潜めるわけでもない言葉が過ぎていった。

「学年が違えば知っている情報も少ないと思うが、シャルを狙う貴族は多数存在する。重婚もその為と言える、理由を知ってしまえば離婚も簡単には出来ないし、裏切ることは俺達が許さない。」

ライが代表して彼の本心を探ってくれた。

「俺は、フィンコック様を裏切ることも離婚も考えていません。フィンコック様の為であれば命を懸けても構いません。」

どうして皆命を懸けたがるの?そんなの僕は求めてないよ?
僕は無様にでも皆で生き延びる方法を選んで欲しい。

悪者になったとしても皆と一緒なら構わないのに…。

「…エルマー…貴方はルゥといつから婚約したいと思っていたんですか?」

「…一年の終わり頃に伝えました。」

あっ…僕が隠していたのがバレた…。

「「「「………。」」」」

アレックスの質問に対してエルマー様より他の皆の方が構えてしまっていた。
エルマー様と出会ったのは確かライとペア継続後だったよね…出会った順番とかは関係なくても、婚約を考えると…。

「ぁっ」

「どうした?」

「…あっいえ…なんでも…。」

思わず声が出てしまったが、一番に婚約を申し込んでくれたのってエルマー様だった。学年が違うから先伸ばしにしてしまったが…もしかしたら僕の初めての旦那様はエルマー様だったんじゃ…。

「エルマー君がペア一年拒絶したのは…」

「はい、フィンコック様に誓いをたてました。」

「えっ?」

アレックスの言葉に耳を疑った…だって…。
そんなの僕、聞いてないよ?

皆が確認するように僕を見るが、僕は何一つ知らないので首を振るしか出来なかった。

「俺が勝手にしたことです。俺の本気を知ってもらいたかったので。」

「…そんなっ。」

男の人で思春期?で去年まで授業では定期的にしていたのに突然一年間禁欲だなんて…辛いはず。

それを我慢するなんてっ…。

「…一年。」

「本気かよ…。」

「………。」

「…あぁそぅ…。」

皆も一年間の禁欲が辛いのがわかるみたい。

「これって認めるしかないのか?」

スティーヴン様の諦めつつ確認する姿を見て皆もエルマー様を受け入れることに納得せざるを得ないように見えた。

「俺達はシャルを愛してる、困らせたい訳じゃない。なので最低限のルールがある。俺達といる時はシャルを独り占めしない、夫も子供達全員平等である、夜は必ず誰かしらがシャルと一緒に居ること一人にはさせない、順番は守る。当然互いの足は引っ張らないこと、これ等は最低限だ。守れるのか?」

「はいっ守ります。」

「…なら…俺は認める。」

目を瞑りながらライは頷いてくれた。

「何でだよっ」

シリクレッチ様は彼を否定した。

「俺達は貴族だ、王族から召集があった時拒否は出来ない。その時シャルを命懸けで守ってくらる人間は必要だ。平民だから動けることもある…それに商人って事は他国にもそれなりに人脈はあるんだろ?」

「はい。」

「万が一国を脱出となった時、情報を持っている奴が側にいた方がいい。」

「任せてください。独り立ちすると決めてから準備はしていたので多少はあります。」

エルマー様の瞳には力強さがあり、嘘を吐いているようには見えなかった。

「…しかたねぇなっ」

「そうだね。」

エドもリックも了承してくれた。

「私はルゥが納得しているのなら構いませんよ。」

「そうかよっ…順番…遠退くのかょ…」

アレックスは大人で…スティーヴンは納得するも子供みたいにいじけてるのが可愛かった。

「皆…ありがとうっ。」

今日からエルマー様とのお試し婚約期間が始まった。
一応、お互いを知り合ってから…合わないと感じたら婚約話は無効にすると言うことに決定した。
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ
BL
☆完結済みです☆ 番外編として短い話を追加しました。 男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ) 中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。 一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ) ……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。 て、お前何考えてんの? 何しようとしてんの? ……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。 美形策士×純情平凡♪

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

処理中です...