【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

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三章 設定を知る者

悩んでいると…

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時間はあっという間に過ぎ、休暇が終わろうとしていた時にお父様から報せがあった。

もう一人の主人公が婚約した。

相手は伯爵家…。
ということはハーレムエンドは目指していない?
僕の勘違いだったのかな?
伯爵家と結婚して王子となんて出来ないはず…。
するなら、王子と結婚してから伯爵家でないと順番が…。
ん?いや、結婚ではなく婚約だから伯爵家の後に王族でないと出来ないのか?
王族と婚約しながら伯爵家とも婚約なんて許されないよね。
婚約だったら王族が割り込んだって形にしないと…。
…やっぱ、あの人転生者でかなりゲームを遣りこんでる人なのかも…。
このままだと王子だけでなく教師もシークレットキャラも奪われてしまう可能性も…。
僕の王妃が…。
何なのあいつ…。

始業式まであいつの話で持ちきりかと思えば、王子の婚約話が駆け巡った。

…しまった、あいつに気を取られていたが王子の婚約者は侯爵家だ。
ゲームのライバルはあいつだったんだ…けど、時期が早すぎる。

もっと後じゃなかったっけ?

勉強イベントからのすれ違いを経験し、信用を取り戻してから一気に好感度が上がる。一緒に平民の街に遊びにいき平民が考案した珍しい料理を躊躇いなく食べた事で距離が縮まる。

多分だけど、勉強失敗からこのイベント全て流れた…。

そうだよ、休暇の間に王子とデートだったのにどうして今思い出すかな…。
ここからは王妃を諦めて側室を目指すしかないのかな?
あとなんのイベント残ってた?
あっ僕が嫌がらせを受けるんだっ。
よしっ頑張るぞっ。

…毎日真面目に授業を受け皆に笑顔で優しく接し日々を過ごしていた。

かなり平穏に…なんの障害もなく…誰かに呼び出されることもなければ悪評を流されることもない…当然物がなくなるなんて嫌がらせもない。

寧ろ僕には良い噂しか流れていない。

過去に僕とペアになった人達が僕がどれだけ良い子なのかを噂し真実が語られるのは有り難いが誰も僕を非難しない。噂を流しているのが高位貴族と言うのもあるが、僕よりも本物の悪人がいるから嘘で僕を陥れるような人はいないみたい。

…あっちの主人公、凄すぎる。

王妃になるためには徹底的にする気だ。
寧ろここ迄しないと王妃にはなれないってこと?

学園の誰もがあの主人公を悪く言う。

性格が悪いのは勿論、試験では公爵家を利用して上位にさせたとか婚約も王子への当て付けで無理矢理決めたとか…。
それだけの事をしても断罪されずに王子攻略って、このゲーム意外にハードじゃない?
王子攻略失敗したら断罪とかされるでしょ?

まだクリアしてないから知らないけど、大体どのゲームもハッピーエンドとバッドエンドがある。

王妃と断罪は紙一重ってこと?

完全に答え知っている人じゃないとあんな行動できないよね…。
なら、もう一人の主人公に勝つのは無理なのかもしれない…。
なら僕は…側妃にも成れない?
僕の攻略対象者から選ぶしかないのかな?

僕の人生で初めて負けたかも…。

公爵家で我が儘で苦労知らずで全てを自分の思い通りにしてきたのに、さらに王子まで得ようとするなんてあんな強欲な人初めて見た。
世の中にはあんなに他人を気にしない人って居るんだね…。

自分の目的に忠実だから一直線なんだよね…ああいう人が望みを手にいれられる…。

僕はそこまで強欲ではないから…願わくば王子があんな人に引っ掛からないで欲しい…。

僕はちゃんと静かに大人しくお淑やかに始業式に参加した。
始業式の恒例行事…なんかの儀式。

光属性には関係ないんだよね、だからなんの儀式かも忘れた。

儀式は壇上に上がり皆の視界にはいるので可愛らしくもあり美しく見えるよう他人の視線を意識して行った。
振り返れば当然皆が壇上の僕に注目し、多くの人の目の奥には欲望が灯っているのが分かる。

その視線…気持ちいい。

僕の番が終われば目ぼしい人もいないよね?
また長い大切なモブの方達の時間が始まった。
モブっていうけど彼らって大事だよね、彼らがいることで僕の可愛さや能力が引き立つ。
僕はあちらの主人公とは違い、貴方達の必要性を理解しているから横暴な態度なんてしませんから安心して僕を支持してくれて構いませんよ。
んふふ、僕が王妃…側妃になっても優しくしてあげるからね。

ばたん

突然会場が騒然とした。
誰かが壇上で倒れのだと知る。

もしかして僕の光属性を披露すべき時が来たのかもしれないんじゃない?

壇上付近にいる王子からにもきっと僕の魔法の凄さが伝わるはず。
僕は呼ばれてもないのに人を避け壇上へ向かうも、倒れた彼は抱き抱えられ運ばれてしまった。
僕は自分の能力を全校生徒に見せつける場を奪われ、呆然と立ち尽くした。

その後は教師達が慌てるも、何事もなかったかのように続けられ始業式は終了した。
後から聞いた話で、倒れたのがあの主人公だと知った。
目立ちたかりに我が儘坊っちゃん。
多くの生徒から「いい加減にしてくれ」と呆れられていた。

僕も彼らと同意見だ。

ここまで嫌われる主人公って珍しいな…ゲームの裏側ってこんな感じなんだ…。
またしても学園はあの主人公の噂で持ちきりだった。
僕は今後自分がしなければならないイベント回収で頭が一杯で教師の話を聞いていなかったが、あれは獣人検査だったらしい。
百年ぶりの獣人…そういう貴重な存在は主人公の特性だよね?

なんで僕にはないの?

…となるとあいつ…やらかしてるよね?
噂では自作自演と言われている。
バレないと思って獣人検査で倒れたんだろうけど、そういうの必ずバレるから…。
あんまり頭は良くなさそうだね。

僕があれを意識しなくても勝手に自爆してくれそう…。

その日からあれは学園を休んだ。
ふふ、きっと嘘だとバレて謹慎なのを公爵家の圧力で療養と言うことになっているらしいが僕たちだってバカではない、殆どの人間は気付いている。
あんなことまでして王子の気を引きたいなんて…滑稽というか哀れ。

純粋なんだろうけど…遣りすぎ…。

その後、あれがいなくなった学園はとても静かで平穏でそれが当然のようになっていった。
王子も漸くあれから解放されて僕に関わろうとしてくる。
やっぱりあれが邪魔していたんだ。

王子は僕に興味津々を持ち始めたのかな?

「卒業後はどうするのか?」
「婚約話は来ているのか?」
「愛人についてはどう思う?」
「男爵は王族派か?」

今まで王子からこんなに興味を示されたのは始めてだった。
それらの言葉で、僕を側室にと考えているのが分かった。

勝った。

僕はなにもしてないけど、大人しくしているだけで王子を射止めた。
やっぱり、僕の人生って幸せが決まってるんだ。
もう一人の主人公は僕が幸せになるための存在だったのかも。
ふふ、ありがとう。

あっ、王子に沢山質問された時には…

「お父様は王族に肯定的です。僕の光属性が国に必要だと判断されたら僕が正しいと思うことをしなさいと言われています。愛人については否定はありません。お互い愛があり周囲の人が納得しているのであれば良いのではないですか?」

僕は皆に求められたら貴方の愛人になるのもやぶさかではないと伝え、男爵家も王族に従う事を伝えた。

これで側妃は決定した。

何故なら今の王子の婚約者は侯爵家、王族は子供も欲しければ後ろ楯も欲しい…それだけでなく光属性も取り入れたい。

全てを叶えるには僕を側室にするしかない。

数ヵ月が過ぎあれを忘れた時に再び周囲を騒がせた。
休んでいる間に婚約者を三人も増やした。
その中には僕が狙っていた大人の魅力でエロい雰囲気を身に纏うあの人がいた。
あの人はかなり真面目で魔法に対して真摯に向き合っている誠実な教師…僕は王子の為に諦めたのに…アイツは…他の攻略対象者を手にいれていた。

どんな姑息な方法を使ったのか想像も出来ないが、婚約者を四人にした。

療養って身体を休めるんじゃなくて、身体で婚約者を手に入れてたんじゃないの?
形振り構ってらんないとはこの事だね…。
いくらBLゲームでも遣りすぎ。
節操無さすぎ。

これは悪口ではない、真実だ。

あんな主人公とは関わりたくない。
関わりたくないのに、あれが学園に戻ってきた。

きっとこれからもはちゃめちゃな事をするに違いない…。
けど、それらは全て僕と王子の親密度をあげてくれるもので、あの二人が結ばれるなん有りはしない。

だって…既に四人も婚約者をつくったんだから…。

今のところ僕と王子は距離が縮まったとは思えない。
好感度はそこそこにあるんだと思うけど、盛り上がりに欠ける。

あの主人公は何をしてくれるのかな?

とぼんやりと生活していれば皆があれを敵視しているのが分かった。
今まで溜め込んでいた不満が限界を越えて溢れだしたのだろう。
態とぶつかり倒れている姿を何度も目撃した。

いい気味。

王子が側にいるなら僕が聖女のように助けに入ることもあるが、都合良く王子は現れなかったので僕は彼らを傍観していた。
ここで無理に止めに入っても「良いこちゃん」の押し付けになり、今までの僕の印象が悪くなってしまう。

あれの為に僕の大切な好感度を下げる必要はない。
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