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三章 設定を知る者
僕は…
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セドリック ハーヴィル。
このゲームの主人公の一人に転生した。
魔法のある世界で平民と貴族が唯一「平等」とされる学園が舞台の男性同士の恋愛ゲーム。
主に女性を対象とした日陰の存在だったが、昨今はマイノリティもオープンになりだし女性だけでなく男性もBL関連について語るようになった。
小説、漫画、ゲーム、舞台、ドラマ、映画、様々な分野でその地位を確立している。
世界が寛容になっても、全ての人間ではないため拒絶する人間は確かにいる。
暴言や暴力で否定する者も。
そのような仕打ちに耐えきれず命を断つ者もいる。
家族でさえ他人なら受け入れられるが家族にそのようなモノがいると途端に態度を変えそれは勘違いだと説得されることもあるとか…。
僕は運が良いことに家族に打ち明けた時には受け入れられた。
「私たちはどんな貴方でも家族だから受け入れる。だけど世間は違う。時代は変わっても自分と違う人を受け入れない人はどこにでもいる。そんな人から心ない仕打ちを受けるだろうけど、覚悟の上なんでしょ?自分で責任を取るのであれば構わない、好きにしなさい。」
僕はかなり恵まれた人生だった。
両親に受け入れられ、裕福な方だと思うし、見た目も悪くない処が僕は可愛いと思う。
当然高校は男子校に行って沢山の人に告白され、その中でイケメンな人と付き合って初エッチも最高の思い出だった。けど、先輩で超イケメンの運動部の人に出会ってしまってからは彼氏より先輩に夢中になった。身体も大きく大人っぽくて知り合ってから先輩の事で頭が一杯になってしまい彼氏と別れて先輩に告白した。
先輩も僕と同じ気持ちで付き合うことになり、すぐに身体の関係になった。
運動部の人のエッチは激しくて瞬く間に先輩のエッチにハマってしまい、休みの日なんて先輩の部屋に泊まりに行き体力が続く限りベッドでイチャついた。だけど、先輩が卒業して遠距離になると僕は近場の恋人を作っていた。
だって、誰もいない教室でするのはスリルがあって止めらないんだもん。
次第に誰かに見られたい願望から喘ぎ声が大きくなっていた。
そこに引っ掛かったのが教育実習に来ていた人だった。
先生と弱みを握られた生徒なんて超エッチな関係に興奮して僕の方から求めていたが、教育実習期間が終わり先生との関係は終わってしまった。
それからは彼氏を作るよりイケメンな人を見つけては学年問わず空き教室に誘いエッチに雪崩れ込んだ。
断られた事がないのでやっぱり僕の見た目は男受け良いんだと思う。
高校三年間でかなりの人と経験し、大学生になったら独り暮らしする予定だからもっと出来るよなぁと期待に胸を膨らませていた。
そんな僕が偶然見たBLゲームの広告が目に留まり軽い気持ちで始めたらハマってしまった。
攻略対象者は全員イケメンで、皆が主人公を取り合うなんて僕の理想そのものでハーレムも可能なんて楽しすぎる。
恋愛要素でも盛り上がるし極めつけはエッチの映像がメチャメチャ綺麗。
主人公は二人いて迷ったが、可愛くて優しいタイプを選んだ。
大抵優しい健気を選べばほぼ攻略可能なはず。
綺麗系も魅力的だったが失敗すると悪役として男娼のような扱いのエンディングもあるらしい。
全てのハッピーエンドを堪能した後にバッドエンドも試してみたい気持ちはある。
男娼も見方によっては結構良いよね。
だって攻めの男達はいろんなタイプのイケメンで、シーンによっては複数だったり監禁・レイプもある。
現実では犯罪や過激な内容過ぎて体験出来ないこともあるがゲームでは許される。
次のプレイが見たいあまり移動の時間はゲームをしまくっていた。
それが悪かったんだ。
僕は携帯を見ながら歩いていた為、信号に気付かず車に跳ねられた。
目覚めた時には「生きてたんだ、やっぱり僕って運が良いんだな」って呟いていた。
が、周囲を見渡すと病院という雰囲気でないことに違和感を感じベッドから降りて自身の足で立ち上がり部屋の中を歩いた。
扉が開かれ突然現れた人と数秒見つめあった。
「セドリック様、お目覚めになられたんですね?お医者様を呼んで参ります。」
「セドリックって…誰?」
その後は医者っほい人が現れ診察され、診断は記憶の混濁はあるものの問題ないと判断された。
「セドリック大丈夫か?」
皆が僕の事をセドリックと呼んでいるが理解できなかった。
だって、僕はそんな片仮名の名前ではない。
純粋な日本人だった。
返事も出来ずに目の前に現れた人を見つめ続けると、どこかで見たことがあるような気がしたが思い出せなかった。
「セドリック覚えてないか?突然光魔法の属性が現れ制御出来ず、身体の魔力を全て放出してしまい三日間眠り続けたんだ。思い出したか?」
魔法…魔力…この人は何を言っているの?
なんだか事故に遭う前のゲーム…。
あれ?
セドリック…光魔法…。
まさかと思い、鏡らしき物を見つけて駆け出した。
「………。」
「どうしたセドリック?」
鏡には僕の顔ではなく、僕の知っている顔が写っていた。
「僕って…セドリック…ハーヴィル?」
「そうだが…どうした?まだ混乱しているのか?」
「…みたいです…。」
「明日には学園の寮に向かう予定だがどうする?延期するか?」
「学園…」
えっ?僕ってセドリック ハーヴィルになっちゃったの?しかも明日から学園に移るって事はゲームが始まる日じゃないかっ。
…え?延期って言った?
「やだっ…いえ…行けます。学園に行きます。」
「そうか?あまり無理は良くないぞ?」
「大丈夫です。」
延期なんてするものか。
だってここにはあのイケメン達がいる世界だ。
僕のイケメン王子様っ、待っててね。
このゲームの主人公の一人に転生した。
魔法のある世界で平民と貴族が唯一「平等」とされる学園が舞台の男性同士の恋愛ゲーム。
主に女性を対象とした日陰の存在だったが、昨今はマイノリティもオープンになりだし女性だけでなく男性もBL関連について語るようになった。
小説、漫画、ゲーム、舞台、ドラマ、映画、様々な分野でその地位を確立している。
世界が寛容になっても、全ての人間ではないため拒絶する人間は確かにいる。
暴言や暴力で否定する者も。
そのような仕打ちに耐えきれず命を断つ者もいる。
家族でさえ他人なら受け入れられるが家族にそのようなモノがいると途端に態度を変えそれは勘違いだと説得されることもあるとか…。
僕は運が良いことに家族に打ち明けた時には受け入れられた。
「私たちはどんな貴方でも家族だから受け入れる。だけど世間は違う。時代は変わっても自分と違う人を受け入れない人はどこにでもいる。そんな人から心ない仕打ちを受けるだろうけど、覚悟の上なんでしょ?自分で責任を取るのであれば構わない、好きにしなさい。」
僕はかなり恵まれた人生だった。
両親に受け入れられ、裕福な方だと思うし、見た目も悪くない処が僕は可愛いと思う。
当然高校は男子校に行って沢山の人に告白され、その中でイケメンな人と付き合って初エッチも最高の思い出だった。けど、先輩で超イケメンの運動部の人に出会ってしまってからは彼氏より先輩に夢中になった。身体も大きく大人っぽくて知り合ってから先輩の事で頭が一杯になってしまい彼氏と別れて先輩に告白した。
先輩も僕と同じ気持ちで付き合うことになり、すぐに身体の関係になった。
運動部の人のエッチは激しくて瞬く間に先輩のエッチにハマってしまい、休みの日なんて先輩の部屋に泊まりに行き体力が続く限りベッドでイチャついた。だけど、先輩が卒業して遠距離になると僕は近場の恋人を作っていた。
だって、誰もいない教室でするのはスリルがあって止めらないんだもん。
次第に誰かに見られたい願望から喘ぎ声が大きくなっていた。
そこに引っ掛かったのが教育実習に来ていた人だった。
先生と弱みを握られた生徒なんて超エッチな関係に興奮して僕の方から求めていたが、教育実習期間が終わり先生との関係は終わってしまった。
それからは彼氏を作るよりイケメンな人を見つけては学年問わず空き教室に誘いエッチに雪崩れ込んだ。
断られた事がないのでやっぱり僕の見た目は男受け良いんだと思う。
高校三年間でかなりの人と経験し、大学生になったら独り暮らしする予定だからもっと出来るよなぁと期待に胸を膨らませていた。
そんな僕が偶然見たBLゲームの広告が目に留まり軽い気持ちで始めたらハマってしまった。
攻略対象者は全員イケメンで、皆が主人公を取り合うなんて僕の理想そのものでハーレムも可能なんて楽しすぎる。
恋愛要素でも盛り上がるし極めつけはエッチの映像がメチャメチャ綺麗。
主人公は二人いて迷ったが、可愛くて優しいタイプを選んだ。
大抵優しい健気を選べばほぼ攻略可能なはず。
綺麗系も魅力的だったが失敗すると悪役として男娼のような扱いのエンディングもあるらしい。
全てのハッピーエンドを堪能した後にバッドエンドも試してみたい気持ちはある。
男娼も見方によっては結構良いよね。
だって攻めの男達はいろんなタイプのイケメンで、シーンによっては複数だったり監禁・レイプもある。
現実では犯罪や過激な内容過ぎて体験出来ないこともあるがゲームでは許される。
次のプレイが見たいあまり移動の時間はゲームをしまくっていた。
それが悪かったんだ。
僕は携帯を見ながら歩いていた為、信号に気付かず車に跳ねられた。
目覚めた時には「生きてたんだ、やっぱり僕って運が良いんだな」って呟いていた。
が、周囲を見渡すと病院という雰囲気でないことに違和感を感じベッドから降りて自身の足で立ち上がり部屋の中を歩いた。
扉が開かれ突然現れた人と数秒見つめあった。
「セドリック様、お目覚めになられたんですね?お医者様を呼んで参ります。」
「セドリックって…誰?」
その後は医者っほい人が現れ診察され、診断は記憶の混濁はあるものの問題ないと判断された。
「セドリック大丈夫か?」
皆が僕の事をセドリックと呼んでいるが理解できなかった。
だって、僕はそんな片仮名の名前ではない。
純粋な日本人だった。
返事も出来ずに目の前に現れた人を見つめ続けると、どこかで見たことがあるような気がしたが思い出せなかった。
「セドリック覚えてないか?突然光魔法の属性が現れ制御出来ず、身体の魔力を全て放出してしまい三日間眠り続けたんだ。思い出したか?」
魔法…魔力…この人は何を言っているの?
なんだか事故に遭う前のゲーム…。
あれ?
セドリック…光魔法…。
まさかと思い、鏡らしき物を見つけて駆け出した。
「………。」
「どうしたセドリック?」
鏡には僕の顔ではなく、僕の知っている顔が写っていた。
「僕って…セドリック…ハーヴィル?」
「そうだが…どうした?まだ混乱しているのか?」
「…みたいです…。」
「明日には学園の寮に向かう予定だがどうする?延期するか?」
「学園…」
えっ?僕ってセドリック ハーヴィルになっちゃったの?しかも明日から学園に移るって事はゲームが始まる日じゃないかっ。
…え?延期って言った?
「やだっ…いえ…行けます。学園に行きます。」
「そうか?あまり無理は良くないぞ?」
「大丈夫です。」
延期なんてするものか。
だってここにはあのイケメン達がいる世界だ。
僕のイケメン王子様っ、待っててね。
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