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二章 ハーレムルート
卒業間近は慌ただしい
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学園に戻り以前と変わらない日常…ではなかった。
卒業まで二ヶ月ちょっと皆浮き足立っているというか心が急いているのか普段とは違うように見える。
「フィンコック様少々よろしいでしょうか?」
「はっはい」
目の前に佇む人は初めて話す方だった。
名前は勿論クラスも分からなければ彼が貴族なのかも知らない、なんの情報もなかった。
なんで自分が呼び止められたのかすら思い浮かばなかった。
「フィンコック様、私と婚約していただけませんか?」
「…ふぇぇえええ?」
何?今僕は何を言われたの?
彼の告白を聞いてしまった生徒も僕達に注目していた。
「フィンコック様は私のことなんてご存じないかも知れませんが、私は伯爵家の次男です。私も婚約者の一人に加えていただけませんか?」
「あっいやっあのっそれはっ」
「貴方の魅力に気付いてから頭からフィンコック様が離れません…。」
「えっえっえっえっ?」
混乱しすぎて「えっ」以外の言葉を忘れてしまった。
「貴方の事が好きです。」
「………。」
好き?
僕の事が好き?
好きってどの好き?家族?友達?恋人?えっ?どれ?
そもそもどうして僕が好かれてるの?
彼となんの接点もなかったのに…。
「あっえっと…僕はその…ごっごめんなさい…貴方の気持ちには…」
「卒業まであと数ヵ月あります、私の事を意識して見て欲しいです。返事は卒業式に聞かせてください。」
僕の言葉は最後まで聞いて貰えなかった。
「ぁっぁっぁっぁっぁっ」
なにも言えず彼は去って行き、彼の背中を見送った。
しまった、名前聞きそびれた。
名乗られたような気もしなくもないが混乱しすぎて聞き逃してしまった。
今でもよく分からない…これは現実?聞き間違えとか?だめだ…分からない。
それからおかしくなった。
混乱する僕に畳み掛けるように知らない人に呼び止められては同じように告白された。
もしかして僕は知らないうちに別の世界に入り込んでしまったのかな?
僕が急にモテるなんてあり得ないもの。
…今一体何が起きてるの?
混乱する頭で皆に今日有ったことを相談した。
「はぁ動き出したか…。」
「え?」
「もうすぐ卒業だしな。」
「どういう事?」
「これからも沢山来るだろうね。」
「あっあの…」
「今は思いを告げるだけですが、今後もそうとは限りませんからね。」
「皆?」
「守るにも全員クラスバラバラだな…。」
「………。」
皆の会話に僕も入っているつもりなのに悉く弾かれていた。
皆に僕の声は聞こえてないのかな?と不安になる。
「シャル」
「あっはい」
あっ良かった、僕の事皆気付いてたんだ。
「あまり一人で行動するなよ?」
「ぅっうん」
「呼び出されても、のこのこ着いていくな。」
「えっ…はい」
「相手の事はすぐに僕達に話すこと。」
「はい」
「一人で解決しようとしないこと。」
「はぃ」
「危ねぇと感じたら叫べ、いいな?」
「ぅん」
皆の話では毎年卒業間近になると婚約者のいない者達が動き出すらしい。
爵位や能力、子を宿しやすいかを見極めて一気に動く。
そこに婚約しているなどは関係なく愛人希望もいるし、互いの魔力が高すぎて子が出来ない時に自分をと売り込む者や、恋愛は自分として魔力なしを飼うのに僕は反対しませんよ?など、どの立場の人間も必死だった。
だが一様にして言えるのが爵位の高いものが選ぶ側であり低いものは選ばれるのを待つのではなく自ら動くということだ。
この世界ではかなり積極的に動かないと幸せは掴み取れないらしい。
なので、公爵家で獣人というのを抜きにしても媚薬の検査で反応を見せた僕は魔力の高い人間にかなり魅力的に写り以前とは違い大人しく婚約者達に見せる姿は妖艶で今までとはまるで別人、自分に対しても同じ反応を見せて欲しい、あのフィンコックを屈服させたいという欲望丸出しの人間が告白を急いでいる。
そして僕と同じように告白の嵐を受けているのが、セドリック ハーヴィル様だ。
彼は光魔法で性格も優しく入学当初から人気で魔法大会で見せた奇跡の技で熱狂的なファンに生まれ変わったとか。
彼は告白の返事から逃げている僕と違って相手に向き合い確りとお話ししているみたい。
どんな話し合いかは分からないけど、告白した人と揉めることはなく皆満足しているとか。
僕と違って彼の人気は本物だと思う。
卒業まで二ヶ月ちょっと皆浮き足立っているというか心が急いているのか普段とは違うように見える。
「フィンコック様少々よろしいでしょうか?」
「はっはい」
目の前に佇む人は初めて話す方だった。
名前は勿論クラスも分からなければ彼が貴族なのかも知らない、なんの情報もなかった。
なんで自分が呼び止められたのかすら思い浮かばなかった。
「フィンコック様、私と婚約していただけませんか?」
「…ふぇぇえええ?」
何?今僕は何を言われたの?
彼の告白を聞いてしまった生徒も僕達に注目していた。
「フィンコック様は私のことなんてご存じないかも知れませんが、私は伯爵家の次男です。私も婚約者の一人に加えていただけませんか?」
「あっいやっあのっそれはっ」
「貴方の魅力に気付いてから頭からフィンコック様が離れません…。」
「えっえっえっえっ?」
混乱しすぎて「えっ」以外の言葉を忘れてしまった。
「貴方の事が好きです。」
「………。」
好き?
僕の事が好き?
好きってどの好き?家族?友達?恋人?えっ?どれ?
そもそもどうして僕が好かれてるの?
彼となんの接点もなかったのに…。
「あっえっと…僕はその…ごっごめんなさい…貴方の気持ちには…」
「卒業まであと数ヵ月あります、私の事を意識して見て欲しいです。返事は卒業式に聞かせてください。」
僕の言葉は最後まで聞いて貰えなかった。
「ぁっぁっぁっぁっぁっ」
なにも言えず彼は去って行き、彼の背中を見送った。
しまった、名前聞きそびれた。
名乗られたような気もしなくもないが混乱しすぎて聞き逃してしまった。
今でもよく分からない…これは現実?聞き間違えとか?だめだ…分からない。
それからおかしくなった。
混乱する僕に畳み掛けるように知らない人に呼び止められては同じように告白された。
もしかして僕は知らないうちに別の世界に入り込んでしまったのかな?
僕が急にモテるなんてあり得ないもの。
…今一体何が起きてるの?
混乱する頭で皆に今日有ったことを相談した。
「はぁ動き出したか…。」
「え?」
「もうすぐ卒業だしな。」
「どういう事?」
「これからも沢山来るだろうね。」
「あっあの…」
「今は思いを告げるだけですが、今後もそうとは限りませんからね。」
「皆?」
「守るにも全員クラスバラバラだな…。」
「………。」
皆の会話に僕も入っているつもりなのに悉く弾かれていた。
皆に僕の声は聞こえてないのかな?と不安になる。
「シャル」
「あっはい」
あっ良かった、僕の事皆気付いてたんだ。
「あまり一人で行動するなよ?」
「ぅっうん」
「呼び出されても、のこのこ着いていくな。」
「えっ…はい」
「相手の事はすぐに僕達に話すこと。」
「はい」
「一人で解決しようとしないこと。」
「はぃ」
「危ねぇと感じたら叫べ、いいな?」
「ぅん」
皆の話では毎年卒業間近になると婚約者のいない者達が動き出すらしい。
爵位や能力、子を宿しやすいかを見極めて一気に動く。
そこに婚約しているなどは関係なく愛人希望もいるし、互いの魔力が高すぎて子が出来ない時に自分をと売り込む者や、恋愛は自分として魔力なしを飼うのに僕は反対しませんよ?など、どの立場の人間も必死だった。
だが一様にして言えるのが爵位の高いものが選ぶ側であり低いものは選ばれるのを待つのではなく自ら動くということだ。
この世界ではかなり積極的に動かないと幸せは掴み取れないらしい。
なので、公爵家で獣人というのを抜きにしても媚薬の検査で反応を見せた僕は魔力の高い人間にかなり魅力的に写り以前とは違い大人しく婚約者達に見せる姿は妖艶で今までとはまるで別人、自分に対しても同じ反応を見せて欲しい、あのフィンコックを屈服させたいという欲望丸出しの人間が告白を急いでいる。
そして僕と同じように告白の嵐を受けているのが、セドリック ハーヴィル様だ。
彼は光魔法で性格も優しく入学当初から人気で魔法大会で見せた奇跡の技で熱狂的なファンに生まれ変わったとか。
彼は告白の返事から逃げている僕と違って相手に向き合い確りとお話ししているみたい。
どんな話し合いかは分からないけど、告白した人と揉めることはなく皆満足しているとか。
僕と違って彼の人気は本物だと思う。
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