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二章 ハーレムルート

婚約

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食事を終えてお父様から僕とシリクレッチ様の婚約について確認が行われた。

「スティーヴン シリクレッチ、侯爵家です。この度シャルマン様との婚約を承諾していただきたく伺いました。」

「シャルは私たちの大切な家族でね、君がどのくらいの男なのか知りたいね。」

「俺はシャルを愛してます、シャルの為なら命懸けで守ることを約束します。」

「それは当然の事だ。」

「…はぃ。」

「私から言うことは愛している者同士で無駄な争いはするな、シャルを独占しようとするな。シャルを狙うモノは多くいる油断するな、気を抜くな。今後も婚約志願者は現れるだろう…増やしたくなければ徹底的に守れ。シャルが可愛すぎても食事を抜くな。誘惑されても耐えろ。洗浄魔法は忘れるな。子供は卒業後だ。…他にも言いたいことは沢山あるが、今のは最低条件だ。」

「…はい約束します。」

ん?後半なんだか…ん?

「シャルは?彼と婚約したいのか?」

「はいっ」

「彼を彼らと平等に愛せるのか?」

「…はい」

「誰の子供であっても、どんな能力・才能でも愛せるか?」

「はい」

「彼らは自身の子供以外でもシャルの子供を平等に愛してくれると思うか?」

自分の子供ではなくても僕の子供を愛して…くれるよね?

「………。」

皆を疑ってるわけではないけど僕が勝手に答えて良い事なのかな?

「当然だろ?」

「何故そこで黙るんですか?」

「シャルの子供は俺の子だ。」

「信じてもらえていなかったなんて悲しいですね。」

「皆で家族…なんだろ?」

ライにアレックス、エド、リック、シリクレッチ様は皆自分達の子供を分け隔てなく愛してくれる人達で良かった。

「…皆、僕の子供を愛してくれる人達です。」

今回は確りとお父様を見て答えた。

「…そうか、わかった。婚約を認める。今日はシリクレッチ様と、もう少し話しなさい。」

「…はいっ」

「…ありがとうございます。」

僕はお父様に認められて喜びで胸が一杯で、浮かれすぎている僕にはお父様の言葉の真意を理解していなかった。
「話しなさい」は一緒にいなさい、つまり「今日はシリクレッチ様と過ごしなさい」という意味だった。
僕以外の人にはちゃんと伝わっていたみたいで、シリクレッチ様は勝ち誇った顔をして他の皆は顔に出すもの出さないものはいるが怒りが込み上げていた。その怒りの中に能天気に婚約を喜んでいる僕の事も少なからず含まれている。
話し合いも終わり、僕はお父様に駆け寄り感謝を表した。

「お父様大好き。」

「私もだ、幸せになりなさい。」

「はいっ」

背伸びをして頬にキスを贈った。

お父様とお母様を見送りお兄様も僕の頭を撫でてから部屋を出ていった。

「はぁ、婚約者増えちまったな。」

「嬉しいだろ?」
 
「んな訳あるか、順番が遠くなんだよ。」

「一人増えただけだろ?」

「ルマンを知っちまったら待つことがどれだけ辛いかお前にもわかるよ。」

振り返るとエドとシリクレッチ様が仲良く話していた。

うん皆仲良くが一番だよね?
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