【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

文字の大きさ
上 下
338 / 414
二章 ハーレムルート

寂しくないけど…

しおりを挟む
その後は和やかな雰囲気に包まれた。
アドルフは皆に抱っこされて泣き出すこともなく、本当人見知りしない子だ。

「フィンコック様、僕の事も抱っこしたいでしょ?」

アデルバード様の誘惑が再び爆発した。

「はいっ、良いの?」

「はい、良いですよ。」

アデルバード様を抱っこしながら、あのクッションソファに座った。
抱っこして座っても問題なく、アドルフが大きくなっても一緒に座れるなぁと感じる。
アレックスが隣に座りなにも言わずにアデルバード様と手を繋いだ。
二人が見つめあって笑う光景を見て、あれから皆に沢山抱きしめられるようになったのかな?と思うと安心する。

アレックスと子供が出来たらこんな感じかなぁ…未来が楽しみっ。

あぁ、このクッションソファはダメかも…眠くなっちゃう。
アデルバード様も眠ってしまい抱っこしてると暖かくて僕までも…。

「眠ってはいけませんよ?」

「んにゃっ」

隣のアレックスには全てお見通しだった。
だけど仕方がないんだ、アデルバード様を抱っこしていると暖かくてクッションソファに包まれると心地よくて…つい…。

「ルゥ?」

「ふわぁ…だめ…ここにいると眠くなっちゃう…。」

「その様ですね。立ちましょうか?」

「ぅん」

アレックスに促されて立ち上がった。

立ち上がる時にそっと腰を支えてくれるスマートな優しさがアレックスである。
甘えすぎてアレックスの身体に密着すれば「ルマン」と呼ばれ引き離された。
今日はずっと欲求不満。
キスも出来ない、抱きしめられてもすぐに引き離される。
…もしかして皆が僕に意地悪してるのかってくらい寸止めをばかり。
辛すぎて誰かの温もりが欲しくてアデルバード様をずっと抱きしめている。
人の温もりは暖かくて好き、安心するし一人じゃないって実感できる。

ちゅっ

つい無意識にキスをしてしまった…大丈夫ですよ、唇ではなく頬ですから。
大事な唇は…あっ前回僕が…でも、子供の時だからノーカウントだよね?

「んふふ、フィンコック様は僕の事が大好きですね?」

「ふぇっ…起きてたの?」

「今、起きました。フィンコック様のキスで目覚めましたよ。」

なにその台詞、小さな王子様じゃんか。
言い終わった後の微笑みも心臓を鷲掴みにされる。

やっぱり未来が末恐ろしい。

「…アデルバード様」

「大丈夫ですよ。僕はずっと側にいますから。」

アデルバード様は鋭いな…。

「…んふふ、ありがとうございます。」

「アデルバード、起きたならそろそろルゥを休ませてあげなさい。」

「…はい…フィンコック様。」

「はい」

腕の中にいたアデルバード様を解放し、重みがなくなり軽くなった手は寂しさを感じる…。

「アデルバード様、今度は僕が抱っこしましょうか?」

「はいっ」

アデルバード様はフランクリン様に抱っこされて楽しそうだった…。
僕はなんだかちょっと複雑…。

ん゛ー寂しいよっ。

沢山の人に挨拶していたアドルフも疲れてしまい、部屋で休ませることにした。

「んにゃっ」

突然肩を抱きよせられた。

「どうした?」

「ライ…んふふ、なんでもない…きゃっあぁん」

お尻を捕まれ指が奥を刺激し気持ちいい声出ちゃった。

「俺もいるからな?」

お尻を掴んでいるのはエドだった。

「エドォ」

「子供が相手では我慢しますが、そうでない場合は我慢しませんからね?」

するりと抱きしめられた。

「リック」

「はぁ、順番って予想以上にキツいな。」

「シリクレッチ様っあむっん」

後ろから声がして振り返ると顎を取られ念願のキスだった。

「「「おい゛っ」」」

キスはすぐに引き剥がされた。

む゛ー。

その日はずっと焦らされ焦らされで、身体が燻っていた。
隙を見て誰かと二人きりにと考えても二人きりになれなかった。
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ
BL
☆完結済みです☆ 番外編として短い話を追加しました。 男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ) 中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。 一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ) ……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。 て、お前何考えてんの? 何しようとしてんの? ……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。 美形策士×純情平凡♪

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

番だと言われて囲われました。

BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。 死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。 そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。

処理中です...