【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

文字の大きさ
上 下
327 / 414
二章 ハーレムルート

お昼休み

しおりを挟む
昨日の放課後から皆はちょっぴり機嫌が悪かった。
アレックスも何故か困った顔をしている。

僕はただアドルフに猫さんを見せたかっただけなのに…。

成長して魔力が増えたら小さな動物は逃げてしまう、そうなる前に会わせてあげたかった…それだけなの…。

朝もお昼もいつも以上に皆が一緒だった。

「あっそうだ、僕あの人に聞くことがあったんだ。」

「…何を聞くんだ?」

ライが突然冷たい声になった。

「ん?あの人の名前っ」

「「「………。」」」

ん?皆も知りたいでしょ?

「シャルマン…彼の名前知らなかったの?」

「ん?うん…えっ皆は知ってるの?」

「…あぁ」

「俺も名前くらいは知っている…」

えっ?皆彼の名前知ってるの?
自己紹介いつしたの?
あれ?彼ってAクラスだったっけ?Cクラスじゃ?

「…僕だけ知らなかったの?」

「シャルマンは今まで彼とどんな会話をしていたの?」

「ん?ん~王子様と仲がいいのか?とかぁ、婚約者を平等に愛せてるのか?とかぁ、子供がもし魔力がなくても愛せるのか?とかぁ、あっ僕がお母さんだと幸せだなって言ってくれよぉ。んふふ、それとね猫さんのことも話した。」

「…そうっ。」

「脅されたりは?」

「ん~初めだけだったかも…」

「身体は触られてたんだよな?」

「んっ…ちょっとだけ…でもねっ、マッサージって」

「「「マッサージ?」」」

「ほら、前にライが母乳が出るようにってマッサージしてくれたでしょ?あんな感じのやつ。」

だから、そんなにエッチな関係じゃないよ?

「………確かにしたな(悪い…俺の所為かも)」

「………ライアン(ルマンは単純…信じやすいんだよ)」

「………そうなんだ(マッサージって言葉で受け入れて、そこまで深刻に考えていなかったとか?)」

「そうなの、だからあの人はそんなに悪い人じゃないんだよっ。猫さんが凄く懐いてたし。」

皆に分かってもらおうと必死に伝えた。
だって彼のマッサージ凄く気持ち良かったの、これは皆に秘密だけどね。

「猫さんねぇ(猫が猫に釣られたのか?)」

「猫さん…(猫使って騙されてんじゃねぇのか?)」

「猫…さん(同族意識を利用された?…でもシャルマンがなんの獣人かは知られてないはず…偶然か?)」

「アドルフも猫さんに会いたいだろうね。」

「…そうだな。」

「…そうだね。」

「…きっと喜ぶよ。」

「皆も猫さんが懐いてくれたら良いよね?あの人も時間を掛けたって言ってたから頑張ったら抱っこ出来るかもよ?」

皆も猫さんに会いたいはずっ。

「猫を抱きしめたかったらシャルに頼むわ。」

「俺も猫になってくれって言う。」

「そうだね、他の猫に浮気なんてしないよ。」

猫の僕にも気遣ってくれるなんて嬉しい。
だったら僕がなってあげないとっ。

「…皆ぁ、良いよっ僕猫になるよっ。」

ポン

「にゃぁ」

落ちた制服の中から這い出て三人を見上げた。

「シャル」

抱っこ抱っこぉ、とせがむように両手を必死に伸ばした。
抱き上げられ腕の中に収まると安心する。
エドは鼻をこちょこちょされ気持ちよくなり、今日のお昼休みは時間いっぱい皆とじゃれていた。
ギリギリまで遊び過ぎて着替えて学園に戻る時には、走るライに抱えられて移動した。
僕が走るより抱えたライが走った方が早いのはちょっと納得できなかった。
僕は猫の獣人なのに、走りが遅いって…猫は俊敏じゃなかったの?
知りたくなかった発見だった。
獣人になっても身体能力は変わらない…人間の時のままだった。
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない? ☆表紙絵 AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

処理中です...