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二章 ハーレムルート

悩みが解消されたんだよね?

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学園では日常が戻ったように心が軽く、廊下を歩く足取りも軽くまるでスキップしているよだ。

「随分ご機嫌だな?」

「ふにゃぁ~」

後ろから突然抱きしめられ、耳元で囁かれた。

「ふぅん?もしかして朝からあいつらと?」

「あにゃぁん」

お尻の奥を撫でられ指が深くを確認し、つい気持ちいい声が上がってしまった。
疎らでも人のいる廊下で恥ずかしい喘ぎ声が響いた。
口を押さえても今更で、僕の声を聞こえた人たちが振り返り僕に視線を向けた。

「なぁ、俺とも気持ちいいことしようぜ?」

手のひらをはずす事を躊躇い、首を振って主張した。

「俺の事も婚約者にしてくれよ。」

「…へ?あれっ?」

婚約者候補の話は終わったんじゃ?
僕を利用するためじゃ?…あれっ?

「俺はフィンコックの婚約者を諦めたつもりはないぞ?」

「……そうなの?」

「当たり前だろ?」

「………。」

「…猫がフィンコックに会いてぇって…放課後来るか?」

「行くっ」

「ふふっわかった。」

んふふ、猫さんに会えるぅ。
猫さん猫さん猫さん。
放課後楽しみだにゃー。

僕は浮かれすぎて皆に不審に思われていることにも気付かず、昼休みにはアドルフに母乳を上げて「放課後少し遅れちゃうけど許してね、いつかアドルフにも紹介するね?」と声をかけてしまっていた。「きゃっきゃっ」とはしゃぐアドルフしか見えていなかった。

その場にいたライとエド、リックは聞こえない振りをしていた。

アドルフと別れ学園に戻り午後の授業を受けた。
授業が終わると同時にいそいそと帰り支度を整えあの庭に向かった。
周囲を見渡しながら猫さんの為に彼を探した。
まさか誰かにつけられているなんて考えが頭を過る事はなく、浮かれすぎた無防備な後ろ姿を晒していた。

「猫さーん、ねーんーこーさーーん…あっ」

彼を見つけた。
彼が居るところに、猫さんがいるはずっ。
駆け足でにゃんこさんの元へ。
がさがさと草木を掻き分けて一直線に進んだ。

「ばぁっ」

猫さんが驚いてくれるかな?と飛び出したが全く相手にされず彼の膝の上で気持ち良さそうに撫でられていた。

「………。」

…むっ…虚しい。

「ふっフィンコック…こっちに来いよ。」

「…ぅん」

大人しく彼らの側に座った。

「にゃぁあん」

「にゃぁん」

愛しい猫さんと顔を近付けて鼻と鼻をこ擦り合わせた。
猫同士の挨拶。
猫さん…可愛いっ。
猫さんの色気にノックアウトされていた僕には周囲からどんな風に見られていたかなんて想像できなかった。

「にゃ゛っ?にゃ゛ー」

「あっ猫さぁん…んっなにしたの?」

突然猫さんが走り去ったので側にいた彼を睨んだ。
ここには僕か彼しかいない、僕はそんなことしてないからきっとこの人に違いない。

「俺はなんもしてねぇよ。」

「嘘だっ…」

「猫が俺を避けるはずないだろ?」

「…じゃぁなんで?」

「ん~…あれじゃね?」

「あれ?」

彼の視線を辿ると大きな影が三つ、眩しくてよく見えなかった。

がさがさ

「だ…れ?」

「シャル?なんでここにいるんだ?」

「これはどう言うことだ?」

「ちゃんと説明してください?」

「………。」

あまりの光景に言葉がでなかった。

「シャル?」

「ルマン?」

「シャルマン?」

ライ、エド、リックの三人に名前を呼ばれただけなのに…怖い。

「…ぁっ…猫…猫さんがね…」

「猫?何処にいるんだ?」

責めるようなエドの声。

「…あっその…逃げちゃって…。」

「「「………。」」」

本当なの…居たの…でも逃げちゃって…嘘じゃないのに…疑われてる。

「なら、なんでそいつの足に顔を近付けたりしていたんだ?」

「顔を近付け?…あっ」

確かにそんなことはした…。
けど、そこには猫さんがいて…決して彼の足の彼のモノを…したわけじゃ…。
あっ猫がいた場所って彼の…。

「ちがっ違うの、そこに猫さんがいて僕は猫さんに挨拶をして…」

「そこにいる猫ねぇ?」

ん?なんか違う意味に捕らえられた?

猫さんは本当にいたの。

「シャル…こいつはお前を脅迫した人間だぞ?」

「あっでもでも、猫好きに悪い人はいないと思うしっ。」

僕は彼を守ったんじゃなく…僕と彼はそんな関係ではないと言ったつもり…。

「………。」

「シャルマンが嘘を突いているとは思わない。きっと僕らが来たことで、猫が魔力に驚いて逃げたんだろうね。」

「あぁ、かもな…」

リックの言葉でエドも分かってくれた。

「ふっ、そう。俺達には猫は驚いて逃げたりしないんだよ、三人が近付けばあの猫はこの学園を走り回ってでも逃げるだろうな。」

今まで静かだった彼が語った。
もう少し柔らかく言ってくれたら…。

「………。」

「猫が好きなフィンコックには悲しい事実だな。その点俺は、猫が逃げる程の魔力は持っていないからフィンコックと一緒に猫と戯れることが出きる。因みにあの猫は俺が入学した時からの仲だ。」

ん~なんかその言い方は…。

「………。」

「猫さん…会っちゃだめ?」

僕が会いたいのは猫さんだと伝えた。

「…あいつがいるんだろ?」

「ぅん…だけど、彼の猫さんだから…。」

僕があの猫さんと居たら彼から猫さんを奪ったことになっちゃう…。

「わかった…けど会いに行く時は俺達に言えっ、隠し事はなしだ。いいな?」

「うん」

報告さえちゃんとすれば猫さんに会えるんだ、やったぁ。

「…管理されてんな?」

「なんだと?」

彼の言葉でエドが怒りを隠さなくなっていた。

こんな状況にしたのは僕が皆に黙って猫さんに…彼に会いに来ちゃったからだよね…。

ごめんなさい、皆に迷惑を…。

「それだとフィンコックも息が詰まんだろ?だから、猫に癒されてぇんじゃねえの?」

「………。」  

「あっ僕はそんな風に思ってない…です。」

僕が悪いのにエドが責められるのは嫌だ。
なのに、喧嘩が苦手で弱々しい返事しか出来なかった。

「なぁ、フィンコック?猫と赤ん坊会わせたくないか?」

「ん?うん…出来るなら…。」

会わせてあげたいな。

「なら、俺が猫を連れてってやるよ。俺もフィンコックの子供に会いてぇし。」

「ダメだっ。」

僕が返事をする前にライが強く否定した。

「赤ん坊がフィンコックではなくお前らに似ていたら二度と猫には会えねぇだろうな。」

ライ達は魔力豊富なAクラスでアレックスも魔法省さらお声がかかる程の魔力の持ち主…であればきっと魔力の高い子供になる…。
となると本物の猫に会う機会は魔力が覚醒する子供のうちだけ。
そう思うと可愛い茶トラさんに会わせてあげたいな…。

「………。」

会わせてあげたいな…。
会わせてあげたいな…。
ねぇ聞いて…。
会わせてあげたいな…。

と訴える目で皆を見つめた。

「わかった…けど、乳母も騎士も同席だ。」

「…そいつらが魔力が無ければな。」

ライ達が一緒に出来ないのは魔力が有りすぎるから…。
アドルフの護衛が魔力が無いなんてことはあり得ない。

となるとシャルマンとアドルフ、そしてスティーヴン シリクレッチの三人だけとなる。
結局会うことを合意してしまっているので三人は不本意ながら納得することにした。

「「「………」」」
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