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二章 ハーレムルート
始めての相談
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どうしよう…皆に相談するべきなんだよね…。
「…フィンコック様?」
「…はぃ…」
声を掛けられ振り向けば、以前ハンカチを貸してくれたケイビーガン様だった。
あっ、まだお礼してない…。
貴族ってそういうの大事なんたよね?帰ったらお父様にお手紙書かなきゃっ。
「大丈夫ですか?」
「えっあっはぃ大丈夫です。」
またフラフラ歩いていたのかな僕…。
「何か悩みごとですか?」
「えっ…」
「唸っているように聞こえたので…違ったのなら申し訳ありません。」
「いえっそんな…実は…はぃ…そうなんです。」
「…あの…僕でよければ…お聞きします…ょ…」
「………。」
初めてそんなこと言われた。
「あっすみません僕なんかがフィンコック様にそのような事を…」
「あっうんん、ありがとう、そんなこと言われたの初めてで…嬉しい…」
「いえっそんな…」
僕達は初めてのデートのような緊張感を身に纏いながら静かな場所へと移動した。
「…えっと…ケイビーガン様は婚約者はいらっしゃいますか?」
「…いえ…僕にはいません。」
「そうなんですね…僕には…その…婚約者の方が居ます…四人…。」
言っていてなんだか後ろめたい。
四人も婚約者が居るって…候補ではなく婚約者がだ…。
「はい…存じてます。」
「…知られてますよね…。」
「えっ…ぁ…はぃ…フィンコック様は公爵家なのですぐに話題になっていましたから…。」
…そうだよね。
僕は公爵家で、以前までは王子を追い掛けていたからいろんな噂が飛び交ったに違いない。
「皆知ってるよね…なのに…どうして…」
「…フィンコック様?」
「あっぅん…あのね…ある人に婚約して欲しいって…言われたの…」
「…新たな人にですか?」
「うん…」
「それは…王子様とかですか?」
「王子様っ?違う違う。う…ん~最近知り合った人?」
「最近…その人の爵位の方は?」
「爵位?爵位…は分かんない…」
「分からないんですか?」
「…うん」
「お相手の名前を聞いても宜しいですか?」
「お相手の名前は…あっ…聞いてない。」
ケイビーガン様に言われて気付いた。
僕あの人の名前も知らない…なのに婚約を申し込まれて悩むって…こんな僕にケイビーガン様は呆れてるよね?
自分の愚かさが恥ずかしくて俯いてしまう。
「…えっと…まずはお相手の方をお調べになった方が宜しいのでは?結論はそれからでも…」
「…調べる?」
「どのような家門かは調べるべきです。…名前を名乗らない、爵位も分からないとなると平民の方かもしれませんよ?」
「そうなんだ?」
「…平民ですよ?」
「へっ?うん…」
「嫌ではないんですか?」
「ん?嫌じゃないよ?婚約するのに爵位って関係ある?」
「…爵位は…大事かと…ではフィンコック様は何をお悩みになっているのでしょうか?」
「何を?…僕には既に四人の婚約者が居ます。彼は何故そんな僕に婚約の申し込みをしたんでしょう?」
「…フィンコック様は公爵家という爵位があり…特別な体質の方なのでは?と噂もあります…。」
特別…多分獣人の事を言っているんだよね?噂になってるのかぁ。
誰も尋ねてこないし、もう忘れられたかなぁ?なんて能天気に考えていたけど、やっぱり…そっかぁ。
「そう言うところで申し込まれたんだ…。」
「あっいや違うかもしれません。その事を抜きでフィンコック様をお慕いしているのかもしれません…フィンコック様はお相手の事を好きですか?嫌いですか?」
「…ん~初めは…怖かった…かな…今は…分かんない…」
うん…今はそこまで嫌いじゃないんだよね…。そう思ったきっかけは猫さんだよね。僕も猫だからあの猫さんに僕を重ねちゃってるのかも…。動物に優しい人は心が優しい人っていう…不良が雨の中、子猫を拾うってやつだよ…。ギャップにやられてしまったのかも…。
「今は少し気になっている、という感じですか?」
「…そうなのかな?僕あの人の事気になってるのかな?」
「今の状態で結論だすのは尚早なのでは?」
「…ぅん」
なんか悩む以前に相手の事を知らなすぎるよね。
ケイビーガン様と話すまであの人の名前すら知らないことにも気付かなかったくらいだし。
相手を知る…。
猫さんと仲良しって事くらいしか知らないな…。
「…フィンコック様?」
「…はぃ…」
声を掛けられ振り向けば、以前ハンカチを貸してくれたケイビーガン様だった。
あっ、まだお礼してない…。
貴族ってそういうの大事なんたよね?帰ったらお父様にお手紙書かなきゃっ。
「大丈夫ですか?」
「えっあっはぃ大丈夫です。」
またフラフラ歩いていたのかな僕…。
「何か悩みごとですか?」
「えっ…」
「唸っているように聞こえたので…違ったのなら申し訳ありません。」
「いえっそんな…実は…はぃ…そうなんです。」
「…あの…僕でよければ…お聞きします…ょ…」
「………。」
初めてそんなこと言われた。
「あっすみません僕なんかがフィンコック様にそのような事を…」
「あっうんん、ありがとう、そんなこと言われたの初めてで…嬉しい…」
「いえっそんな…」
僕達は初めてのデートのような緊張感を身に纏いながら静かな場所へと移動した。
「…えっと…ケイビーガン様は婚約者はいらっしゃいますか?」
「…いえ…僕にはいません。」
「そうなんですね…僕には…その…婚約者の方が居ます…四人…。」
言っていてなんだか後ろめたい。
四人も婚約者が居るって…候補ではなく婚約者がだ…。
「はい…存じてます。」
「…知られてますよね…。」
「えっ…ぁ…はぃ…フィンコック様は公爵家なのですぐに話題になっていましたから…。」
…そうだよね。
僕は公爵家で、以前までは王子を追い掛けていたからいろんな噂が飛び交ったに違いない。
「皆知ってるよね…なのに…どうして…」
「…フィンコック様?」
「あっぅん…あのね…ある人に婚約して欲しいって…言われたの…」
「…新たな人にですか?」
「うん…」
「それは…王子様とかですか?」
「王子様っ?違う違う。う…ん~最近知り合った人?」
「最近…その人の爵位の方は?」
「爵位?爵位…は分かんない…」
「分からないんですか?」
「…うん」
「お相手の名前を聞いても宜しいですか?」
「お相手の名前は…あっ…聞いてない。」
ケイビーガン様に言われて気付いた。
僕あの人の名前も知らない…なのに婚約を申し込まれて悩むって…こんな僕にケイビーガン様は呆れてるよね?
自分の愚かさが恥ずかしくて俯いてしまう。
「…えっと…まずはお相手の方をお調べになった方が宜しいのでは?結論はそれからでも…」
「…調べる?」
「どのような家門かは調べるべきです。…名前を名乗らない、爵位も分からないとなると平民の方かもしれませんよ?」
「そうなんだ?」
「…平民ですよ?」
「へっ?うん…」
「嫌ではないんですか?」
「ん?嫌じゃないよ?婚約するのに爵位って関係ある?」
「…爵位は…大事かと…ではフィンコック様は何をお悩みになっているのでしょうか?」
「何を?…僕には既に四人の婚約者が居ます。彼は何故そんな僕に婚約の申し込みをしたんでしょう?」
「…フィンコック様は公爵家という爵位があり…特別な体質の方なのでは?と噂もあります…。」
特別…多分獣人の事を言っているんだよね?噂になってるのかぁ。
誰も尋ねてこないし、もう忘れられたかなぁ?なんて能天気に考えていたけど、やっぱり…そっかぁ。
「そう言うところで申し込まれたんだ…。」
「あっいや違うかもしれません。その事を抜きでフィンコック様をお慕いしているのかもしれません…フィンコック様はお相手の事を好きですか?嫌いですか?」
「…ん~初めは…怖かった…かな…今は…分かんない…」
うん…今はそこまで嫌いじゃないんだよね…。そう思ったきっかけは猫さんだよね。僕も猫だからあの猫さんに僕を重ねちゃってるのかも…。動物に優しい人は心が優しい人っていう…不良が雨の中、子猫を拾うってやつだよ…。ギャップにやられてしまったのかも…。
「今は少し気になっている、という感じですか?」
「…そうなのかな?僕あの人の事気になってるのかな?」
「今の状態で結論だすのは尚早なのでは?」
「…ぅん」
なんか悩む以前に相手の事を知らなすぎるよね。
ケイビーガン様と話すまであの人の名前すら知らないことにも気付かなかったくらいだし。
相手を知る…。
猫さんと仲良しって事くらいしか知らないな…。
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