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二章 ハーレムルート
逢い引き
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三大会が終わりかなり平和な日常を過ごしている。
あの後、こっそり?王子に挨拶しつつ魔力酔いの魔道具について話しギノフォード先生を紹介していた。
僕が獣人で魔力を感じられなくなった時に、魔力を感じられたり拒絶できる魔道具について聞いたことがあるから力になってくれるかも…と頑張って僕なりに誘導した。
ギノフォード先生には詳しく話してないよぉ~とアピールしたつもりです。
僕とアレックスが婚約していることを知っていると思うので多分王子も気付いているよね…。
それでも気付かないふりをしてアレックス…ギノフォード先生の所を訪ねる事に了承してくれた。
僕の手前そう言っただけかもしれないので、初回は一緒に着いていった。
僕の任務は、王子とアレックスを出会わせること。
出会って貰わないと僕が不安だから…。
その先はアレックスに押し付け…丸投げ…頼りに…そう、大人に頼ることにした。
それでもハーヴィル様の魔力を防げる魔道具に出会うことは出来ず、王子がみるみる窶れていったように見えた。
王子の事をよく知らない僕でもふんわりとした噂は耳にした。
見た目が美しいだけでなく能力もあり剣術や魔力も秀でている。
完璧のような彼は他の生徒とは一定の距離を置き近付くことが困難と語られていた。不純な動機で近付こうものなら返り討ちにあうと噂されるようにもなっていた。
定かではないが、過去に学園を去った子爵家の生徒は王子に不用意に近付き良からぬ事を囁いたからではないか?という話が噂の元となっているようだった。
もしその噂が本当ならば、一年・二年とシャルマンの熱烈なペアの要望を交わすだけでなにも制裁を加えなかった事には驚きだ。
シャルマンが嫌なら簡単に…はいかないか…シャルマンは公爵家だったね…。
制裁は加えられないが、ペアになることだけは避けていたのかな?
そんな彼が今一番避けている相手が聖人かもしれないハーヴィル様だ。
「…ハーヴィルは国にとって貴重な力を有している。彼を守り他国に奪われないよう王宮で保護しているが、私の行く先々に現れ隣から離れようとしない。初めのうちは耐える事が出来ていたが、最近は近付かれるだけで眩暈や吐き気に襲われ食事も喉を通らずここのところ睡眠さえ取れなくなった。」
「睡眠?一緒に寝て…?」
優しいと思っていた王子が途端に鋭い目付きになった。
僕はただ単純に…ハーヴィル様が傍にいない部屋であれば眠れるんじゃ?って思っただけで…そんなに怒ること聞いちゃった?
「あれの気配が身体に付着しているように感じ、どうしても気になって眠れなくなる。」
付着…。
他人の香りが身体について気分が悪くなるみたいなものかな?
僕は王子の診察に毎回ではないが参加したりしなかったりだった。周囲に王子の秘密が明るみにでないよう僕がアレックスの伝書鳩を勤めたので流れで一緒に話を聞くこともあった。
一度廊下でハーヴィル様と一緒にいる王子を目撃した。
アレックスが新たな魔道具を魔法省から取り寄せたらしく、王子に検証の為に呼んで来て欲しいと言われ探していたところだった。そして見つけた時、王子とハーヴィル様が一緒で遠目から見ても王子の様子はおかしかった。
「王子?大丈夫ですか?」
「あぁ」
「僕に何か出来ることありませんか?」
聞こえてしまった会話に気まずさを感じた。
ハーヴィル様は王子の事を本気で心配している…心配しているんだが原因がハーヴィル様との魔力の相性が悪いから体調を崩しているとは言いづらそうで、王子も困惑してる。
ハーヴィル様は何も悪くない…ただ魔力の相性が悪いだけ…。
「今は一人になりたいんだ。」
ハーヴィル様には真実を告げず離れて欲しいことだけを伝えていた。
少し離れた場所にいる僕と目が合い、僕は周囲に気付かれないような仕草で「アレックスの部屋に行って」と伝え王子も小さく頷いてくれた。そして漸くハーヴィル様の魔力酔いに効く魔道具に巡りあえた。
その日から王子の体調は回復していき、僕達が一緒にいることはなくなった。
大会が終わり、問題も解決。
ヌボーっとする日々が続いていた。
あまりの平和過ぎが原因なのか、最近の僕には新たな出会いが起きてしまった。
奇跡のような出会い…まさに運命。
出会うべくして出会った二人…。
もう、僕達を引き裂くことは許されない。
僕は婚約者達に内緒で、隙を見てはずっと会いに行っていた。
僕らの逢い引きは誰にも気付かれていない、秘密の関係…。
隠し事って、どうしてこんなにも興奮して燃え上がるんだろう。
障害があればあるほど燃え上がるってやつだよね。
僕達は一目を忍んで会い続けた。
約束などはしてないけど、心で通じあっているように引き寄せられた。
「にゃぁあん」
甘えるような甘い鳴き声。
会う度に愛おしさが募る。
これって僕が猫の獣人だから?
彼に会うと自分の気持ちを押さえることが出来ない。
もっと触れたい、僕にも触れてほしい。
行かないで…。
「にゃぁんにゃぁん」
はぁ幸せ…。
ずっと一緒にいたい、離れたくない。
僕はもう彼に夢中で彼に出会っていなかった頃には戻れないと実感している。
遠目から僕の今の姿を目撃したもの人は皆驚くだろう。
木々に囲まれてはいるものの、青空の元で四つん這いになりお尻を高くあげて相手の気を引こうと必死な姿の僕。
尻尾が揺れ耳もピクピクとしてる。
この時間が長く続けばいいのに…。
教室になんて戻りたくない。
いつまでも一緒にいたい。
離れたくないよ…。
あの後、こっそり?王子に挨拶しつつ魔力酔いの魔道具について話しギノフォード先生を紹介していた。
僕が獣人で魔力を感じられなくなった時に、魔力を感じられたり拒絶できる魔道具について聞いたことがあるから力になってくれるかも…と頑張って僕なりに誘導した。
ギノフォード先生には詳しく話してないよぉ~とアピールしたつもりです。
僕とアレックスが婚約していることを知っていると思うので多分王子も気付いているよね…。
それでも気付かないふりをしてアレックス…ギノフォード先生の所を訪ねる事に了承してくれた。
僕の手前そう言っただけかもしれないので、初回は一緒に着いていった。
僕の任務は、王子とアレックスを出会わせること。
出会って貰わないと僕が不安だから…。
その先はアレックスに押し付け…丸投げ…頼りに…そう、大人に頼ることにした。
それでもハーヴィル様の魔力を防げる魔道具に出会うことは出来ず、王子がみるみる窶れていったように見えた。
王子の事をよく知らない僕でもふんわりとした噂は耳にした。
見た目が美しいだけでなく能力もあり剣術や魔力も秀でている。
完璧のような彼は他の生徒とは一定の距離を置き近付くことが困難と語られていた。不純な動機で近付こうものなら返り討ちにあうと噂されるようにもなっていた。
定かではないが、過去に学園を去った子爵家の生徒は王子に不用意に近付き良からぬ事を囁いたからではないか?という話が噂の元となっているようだった。
もしその噂が本当ならば、一年・二年とシャルマンの熱烈なペアの要望を交わすだけでなにも制裁を加えなかった事には驚きだ。
シャルマンが嫌なら簡単に…はいかないか…シャルマンは公爵家だったね…。
制裁は加えられないが、ペアになることだけは避けていたのかな?
そんな彼が今一番避けている相手が聖人かもしれないハーヴィル様だ。
「…ハーヴィルは国にとって貴重な力を有している。彼を守り他国に奪われないよう王宮で保護しているが、私の行く先々に現れ隣から離れようとしない。初めのうちは耐える事が出来ていたが、最近は近付かれるだけで眩暈や吐き気に襲われ食事も喉を通らずここのところ睡眠さえ取れなくなった。」
「睡眠?一緒に寝て…?」
優しいと思っていた王子が途端に鋭い目付きになった。
僕はただ単純に…ハーヴィル様が傍にいない部屋であれば眠れるんじゃ?って思っただけで…そんなに怒ること聞いちゃった?
「あれの気配が身体に付着しているように感じ、どうしても気になって眠れなくなる。」
付着…。
他人の香りが身体について気分が悪くなるみたいなものかな?
僕は王子の診察に毎回ではないが参加したりしなかったりだった。周囲に王子の秘密が明るみにでないよう僕がアレックスの伝書鳩を勤めたので流れで一緒に話を聞くこともあった。
一度廊下でハーヴィル様と一緒にいる王子を目撃した。
アレックスが新たな魔道具を魔法省から取り寄せたらしく、王子に検証の為に呼んで来て欲しいと言われ探していたところだった。そして見つけた時、王子とハーヴィル様が一緒で遠目から見ても王子の様子はおかしかった。
「王子?大丈夫ですか?」
「あぁ」
「僕に何か出来ることありませんか?」
聞こえてしまった会話に気まずさを感じた。
ハーヴィル様は王子の事を本気で心配している…心配しているんだが原因がハーヴィル様との魔力の相性が悪いから体調を崩しているとは言いづらそうで、王子も困惑してる。
ハーヴィル様は何も悪くない…ただ魔力の相性が悪いだけ…。
「今は一人になりたいんだ。」
ハーヴィル様には真実を告げず離れて欲しいことだけを伝えていた。
少し離れた場所にいる僕と目が合い、僕は周囲に気付かれないような仕草で「アレックスの部屋に行って」と伝え王子も小さく頷いてくれた。そして漸くハーヴィル様の魔力酔いに効く魔道具に巡りあえた。
その日から王子の体調は回復していき、僕達が一緒にいることはなくなった。
大会が終わり、問題も解決。
ヌボーっとする日々が続いていた。
あまりの平和過ぎが原因なのか、最近の僕には新たな出会いが起きてしまった。
奇跡のような出会い…まさに運命。
出会うべくして出会った二人…。
もう、僕達を引き裂くことは許されない。
僕は婚約者達に内緒で、隙を見てはずっと会いに行っていた。
僕らの逢い引きは誰にも気付かれていない、秘密の関係…。
隠し事って、どうしてこんなにも興奮して燃え上がるんだろう。
障害があればあるほど燃え上がるってやつだよね。
僕達は一目を忍んで会い続けた。
約束などはしてないけど、心で通じあっているように引き寄せられた。
「にゃぁあん」
甘えるような甘い鳴き声。
会う度に愛おしさが募る。
これって僕が猫の獣人だから?
彼に会うと自分の気持ちを押さえることが出来ない。
もっと触れたい、僕にも触れてほしい。
行かないで…。
「にゃぁんにゃぁん」
はぁ幸せ…。
ずっと一緒にいたい、離れたくない。
僕はもう彼に夢中で彼に出会っていなかった頃には戻れないと実感している。
遠目から僕の今の姿を目撃したもの人は皆驚くだろう。
木々に囲まれてはいるものの、青空の元で四つん這いになりお尻を高くあげて相手の気を引こうと必死な姿の僕。
尻尾が揺れ耳もピクピクとしてる。
この時間が長く続けばいいのに…。
教室になんて戻りたくない。
いつまでも一緒にいたい。
離れたくないよ…。
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