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二章 ハーレムルート
魔力…
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翌日の試合でもリックは上位争いをし、僕は本気で祈り今日の試合は終わった。
結果は二位だったが今までのタイムを合計すると一位との差は僅差で最終日まで気が抜けないし、優勝の可能性も高い。
今ここで浮かれすぎて明日の試合で油断してほしくない。
冷静にと思いながら控え室に向かった。
途中昨日の王子が気になり、今日も倒れているのでは?と不安から足が向いてしまった。
万が一今日もいた場合踏んでしまうことの無いように気を付けながら進んで行った。
僕は確認がしたかったんだ、王子が回復して今日はいないことを…。
王子は…。
いた…。
今日も昨日と同様顔色が悪いように見える。
「あの…王子…様?」
やっぱり昨日僕が踏んじゃって骨折とは言わないが怪我とかしちゃったのかも…。
「………。」
「王子様あの…」
「…アディノール王子?アディノール王子っ何処ですか?」
大丈夫ですか?と続くはずがハーヴィル様の声に遮られてしまった。
ハーヴィル様は昨日と同じように王子を探している。
昨日の王子との会話を思い出して僕は咄嗟に王子を隠していた。
恐る恐る振り向くと、ハーヴィル様と目が合ってしまった。
僕の身体で王子の顔は隠してはいるが近付かれると王子だとバレてしまう…。
今からジャケットを脱いで被せるのは変に思われるよね?
お願いこっちに来ないで…。
思わず酷いことを願ってしまった。
ハーヴィル様は本当に王子の事を心配して探しているのに…。
僕の願いが通じてしまいハーヴィル様は別方向に走っていった。
「王子様?ハーヴィル様心配されているようですよ?」
酷いことをした…僕がハーヴィル様から王子を隠しておきながら、ハーヴィル様が心配されてますよなんて…。
僕は昨日皆に心配を掛けてしまい申し訳なくなったのを思い出した。
「………分かっているが…無理なんだ…」
「無理?」
「相性が…悪い…。」
「相性?」
ハーヴィル様の事苦手ってこと?
「…私は魔力量が多く、敏感なんだ。相手の魔力の質や量に関係なく相性に左右される…。」
「ハーヴィル様とは魔力の相性が悪いって事ですか?」
「…あぁ、以前まではさほど気にならなかったが…最近体質が代わったのか側に来るとどうしても…。」
魔力が一切無い僕には分からない苦しみなので、対処法が全く分からない。
え?それに今って…。
「それって…大会期間は辛いてすよね?…魔力が…。」
「あぁ、剣術大会は問題なかったんだが魔術大会では闘技場から漏れるので近付かないようにしていた。総合に関しては至るところに魔力の残滓や罠があって大会中は動けなくなる。」
「建物の中にいたら…」
外にいるとダメなら保健室で休んでいたら良いのに、ダメなの?
「あれが追いかけてくる。」
「…あれ?」
あれってハーヴィル様の事?
言い方がホラーみたい。
「光の…」
「ハーヴィル様ですか?」
光のって名前知ってるはずなのに、言うのもダメになっちゃったの?
それってかなり重症なのでは?
「あれが離れないんだ。最近では…新たな力が発言したらしく王宮に住み着いて常に休まらない。」
あっ確かハーヴィル様は聖女ではないかって事で王宮預かりになったんだっけ?
酔いって言うくらいだから車酔いで気分悪くなるのがずっと続いているような感覚なんだよね?
それって…辛すぎる。
朝から晩まで一緒とは思わないけど長くいたら辛いかも…。
良く見ると王子様痩せた?
「食事は?」
「あれが近くに来るようになってから、以前まで気にならなかった魔力にも敏感になり料理人の作るものが食べられなくなった。」
「そんなっ」
食べられないだなんて…。
「今日とかは?」
「…食べていない…」
「…それはいつから?」
「最後に食べたのは…覚えてない。」
覚えてないって…そんなっ。
「僕が何か作りましょうか?僕には魔力が有りませんので…」
「…いや…それは…遠慮しておく」
なんとなく、間で分かった。
僕の魔力が料理に移るのではなく、きっと僕の料理の腕を信用されてない。
毒を盛るとかじゃなくて料理の味で却下された。
僕だって料理人並みに出来る訳じゃないけどエビフライなら作れるよ?
あっでも今から材料用意して作って~になったら時間掛かるよね…。
「…お腹…空いてるでしょ?」
「…慣れた」
「慣れたって…。」
王即がお腹空いていることに慣れるって…。
僕に出来ること…僕に…。
「あっ…」
あったけど…あれは…ダメだよね?
婚約者じゃないし、シャルマンを嫌ってる王子に…。
でもお腹空いたことに慣れたって…王子ともあろう人が空腹なんておかしいよ。
「あっあの…飲みますか?」
「ん?…何をしている?」
僕はジャケットを脱ぎ、シャツのボタンを外し始めた。
「…僕…その…母乳が…」
「…母…乳…それはっ…えっあー、フィンコックは…子を…産んだのか?」
「…はぃ、最近…報告…しなくてすみません…」
「あ…いや…えー…その判断は正しい、学生や…獣人と言うことを考えれば致し方ない。謝罪は結構だ…それでも…ぼ…母乳は大丈夫だっ…あっ…」
王子は僕の告白から逃れるように立ち上がった。
だけどそれがいけなかったみたいで、眩暈を起こし僕の上に倒れてしまった。
ーーーーーーーーー
良いところで今日は終了となります。
結果は二位だったが今までのタイムを合計すると一位との差は僅差で最終日まで気が抜けないし、優勝の可能性も高い。
今ここで浮かれすぎて明日の試合で油断してほしくない。
冷静にと思いながら控え室に向かった。
途中昨日の王子が気になり、今日も倒れているのでは?と不安から足が向いてしまった。
万が一今日もいた場合踏んでしまうことの無いように気を付けながら進んで行った。
僕は確認がしたかったんだ、王子が回復して今日はいないことを…。
王子は…。
いた…。
今日も昨日と同様顔色が悪いように見える。
「あの…王子…様?」
やっぱり昨日僕が踏んじゃって骨折とは言わないが怪我とかしちゃったのかも…。
「………。」
「王子様あの…」
「…アディノール王子?アディノール王子っ何処ですか?」
大丈夫ですか?と続くはずがハーヴィル様の声に遮られてしまった。
ハーヴィル様は昨日と同じように王子を探している。
昨日の王子との会話を思い出して僕は咄嗟に王子を隠していた。
恐る恐る振り向くと、ハーヴィル様と目が合ってしまった。
僕の身体で王子の顔は隠してはいるが近付かれると王子だとバレてしまう…。
今からジャケットを脱いで被せるのは変に思われるよね?
お願いこっちに来ないで…。
思わず酷いことを願ってしまった。
ハーヴィル様は本当に王子の事を心配して探しているのに…。
僕の願いが通じてしまいハーヴィル様は別方向に走っていった。
「王子様?ハーヴィル様心配されているようですよ?」
酷いことをした…僕がハーヴィル様から王子を隠しておきながら、ハーヴィル様が心配されてますよなんて…。
僕は昨日皆に心配を掛けてしまい申し訳なくなったのを思い出した。
「………分かっているが…無理なんだ…」
「無理?」
「相性が…悪い…。」
「相性?」
ハーヴィル様の事苦手ってこと?
「…私は魔力量が多く、敏感なんだ。相手の魔力の質や量に関係なく相性に左右される…。」
「ハーヴィル様とは魔力の相性が悪いって事ですか?」
「…あぁ、以前まではさほど気にならなかったが…最近体質が代わったのか側に来るとどうしても…。」
魔力が一切無い僕には分からない苦しみなので、対処法が全く分からない。
え?それに今って…。
「それって…大会期間は辛いてすよね?…魔力が…。」
「あぁ、剣術大会は問題なかったんだが魔術大会では闘技場から漏れるので近付かないようにしていた。総合に関しては至るところに魔力の残滓や罠があって大会中は動けなくなる。」
「建物の中にいたら…」
外にいるとダメなら保健室で休んでいたら良いのに、ダメなの?
「あれが追いかけてくる。」
「…あれ?」
あれってハーヴィル様の事?
言い方がホラーみたい。
「光の…」
「ハーヴィル様ですか?」
光のって名前知ってるはずなのに、言うのもダメになっちゃったの?
それってかなり重症なのでは?
「あれが離れないんだ。最近では…新たな力が発言したらしく王宮に住み着いて常に休まらない。」
あっ確かハーヴィル様は聖女ではないかって事で王宮預かりになったんだっけ?
酔いって言うくらいだから車酔いで気分悪くなるのがずっと続いているような感覚なんだよね?
それって…辛すぎる。
朝から晩まで一緒とは思わないけど長くいたら辛いかも…。
良く見ると王子様痩せた?
「食事は?」
「あれが近くに来るようになってから、以前まで気にならなかった魔力にも敏感になり料理人の作るものが食べられなくなった。」
「そんなっ」
食べられないだなんて…。
「今日とかは?」
「…食べていない…」
「…それはいつから?」
「最後に食べたのは…覚えてない。」
覚えてないって…そんなっ。
「僕が何か作りましょうか?僕には魔力が有りませんので…」
「…いや…それは…遠慮しておく」
なんとなく、間で分かった。
僕の魔力が料理に移るのではなく、きっと僕の料理の腕を信用されてない。
毒を盛るとかじゃなくて料理の味で却下された。
僕だって料理人並みに出来る訳じゃないけどエビフライなら作れるよ?
あっでも今から材料用意して作って~になったら時間掛かるよね…。
「…お腹…空いてるでしょ?」
「…慣れた」
「慣れたって…。」
王即がお腹空いていることに慣れるって…。
僕に出来ること…僕に…。
「あっ…」
あったけど…あれは…ダメだよね?
婚約者じゃないし、シャルマンを嫌ってる王子に…。
でもお腹空いたことに慣れたって…王子ともあろう人が空腹なんておかしいよ。
「あっあの…飲みますか?」
「ん?…何をしている?」
僕はジャケットを脱ぎ、シャツのボタンを外し始めた。
「…僕…その…母乳が…」
「…母…乳…それはっ…えっあー、フィンコックは…子を…産んだのか?」
「…はぃ、最近…報告…しなくてすみません…」
「あ…いや…えー…その判断は正しい、学生や…獣人と言うことを考えれば致し方ない。謝罪は結構だ…それでも…ぼ…母乳は大丈夫だっ…あっ…」
王子は僕の告白から逃れるように立ち上がった。
だけどそれがいけなかったみたいで、眩暈を起こし僕の上に倒れてしまった。
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良いところで今日は終了となります。
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