303 / 414
二章 ハーレムルート
これってフラグ?
しおりを挟む
リックのグループではリックが一番早く帰ってきたが、総合して見た時はリックは二番目だった。
その後、時間内に帰ってくることが出来たのは三分の二程で明日からは時間内に帰ってきた者だけが参加できる。
謎解きゲームのようだが、かなり難しく魔法の使えない僕には参加する資格さえなかった。
何度も映像に映るリックに自分を重ね一緒に問題を解き続けたが、難しさのあまり祈る方に逃げてしまった。
リック頑張って。
映像が途切れた瞬間闘技場にリックが現れ大きな歓声が上がる。
僕も立ち上がり「リックー」と大声で叫んだ。
この世界に来てあれだけ大きな声をあげたのは初めてかもしれない。
手を振るとリックも気付いて手を上げてくれる。
僕にしてくれたのに観客席が大盛り上がりした。
…僕のリックなのに。
リックの控え室に向かう途中誰かが木々の合間を縫って奥へと消えたいった…。
…消えた。
ドラマや漫画で深追いは良くないと知っている…知っているが気になって静かに音を立てないよう男が向かった先へ進んでいく。
大きな木を頼りながら周囲を確認し、男が進んだであろう道を行く。
「…誰もいないの?」
見間違い?なんて事はないだろうけど、もう居なくなってしまったのかもしれない。
僕は来た時とは違う道を通りながら戻った。
「…うわっ……あでっ…」
何かに躓き転んでしまい、気が付いたら地面に倒れていた。
転ぶところを誰にも見られなくて良かった。
きっと今の転び方凄くダサかったと思う…転び方にダサいも格好いいも無いけど、あれは…無様だったと思う。
僕が何に躓いたのかを確認すると、そこには倒れている人が居た。
僕この人踏んじゃったの?
「だっ大丈夫ですか?」
慌てて相手の側に寄るとあの日の王子さまが居た。
僕…王子様踏んじゃった…。
「あ…あの…大丈夫?」
「ん゛ん゛」
怒っていらっしゃる。
「あっあの…態とでは…?」
「ん゛っ」
とてつもなく不機嫌な声…。
「…もしかして体調悪いんですか?…ひっ人っ呼んできますね…」
下敷きにしただけでこんなに痛がるのはきっと…骨折…。
急いで誰かを呼びに立ち上がった。
「…えっ?」
「…行くな。」
「…あっ…でも…痛いんでしょ?」
「…気分が悪いだけだ…休めば…」
確かに王子の顔色は悪いように見える…。
「…そうなの?」
「あぁ、だから行…」
「アディノール王子?どこですか?アディノール王子?」
王子は僕を追い払おうとした時に遠くから王子を呼ぶ声が聞こえた。
「…ぁっ…こ…ん゛…」
王子を探しに来た人に「ここにいます」って伝えようとしたら後ろから口を塞がれた。
「やめろ…何も…言う…な。」
小声で語る王子は先程よりも具合が悪そうで、僕の口を塞ぐ手の力が強くてちょっとだけ恐怖を感じた。
王子を探しているのはハーヴィル様に見えた。
静かにしていると手が離され少し楽になった。
「ぁのっ大丈夫ですか?」
やばっそんなに大きな声ではなかったが、僕の声で人がいるのが伝わりこっちに向かって来た…。
王子はというと…うわぁ先ほどより、もっと顔色が悪くなってきた…。
どどどうしよう…。
「そうだっ」
僕はジャケットを脱いで王子の顔がわからないように被せ、膝枕をした。
相手が来ないことを祈るも足音が近づいてくる。
「…ぁっ…あの…」
来た…。
「…はぃ?」
「ここにアディノール王子来てませんか?」
「…王子…ですか?ん~?」
「その人は?」
やばっ何て言おう…。
王子も観念したのか起き上がろうとした…けど…僕の膝に沈んだ。
「……あっ…眠ってて…た…大会で…疲れたでしょ?」
彼をリックのように振る舞った。
…お願いこれ以上は…こっちに来ないで。
「…あぁ、アディノール王子を見てないならいいやっ。」
ハーヴィル様は僕が膝枕しているのをリックと勘違いしてくれたのか、再び王子を探しに行った。
あんなに一生懸命探しているのに僕は…本当の事を言えなくて申し訳なくなる。
「ん゛っ…ふぅ…」
心なしか王子の顔色がだいぶ良くなっていた…ように感じるのは僕の行動を正当化したいのかも…。
王子自身も会うのを避けていたのは体調が悪かったのを知られたくなかったからだよね?
その後、時間内に帰ってくることが出来たのは三分の二程で明日からは時間内に帰ってきた者だけが参加できる。
謎解きゲームのようだが、かなり難しく魔法の使えない僕には参加する資格さえなかった。
何度も映像に映るリックに自分を重ね一緒に問題を解き続けたが、難しさのあまり祈る方に逃げてしまった。
リック頑張って。
映像が途切れた瞬間闘技場にリックが現れ大きな歓声が上がる。
僕も立ち上がり「リックー」と大声で叫んだ。
この世界に来てあれだけ大きな声をあげたのは初めてかもしれない。
手を振るとリックも気付いて手を上げてくれる。
僕にしてくれたのに観客席が大盛り上がりした。
…僕のリックなのに。
リックの控え室に向かう途中誰かが木々の合間を縫って奥へと消えたいった…。
…消えた。
ドラマや漫画で深追いは良くないと知っている…知っているが気になって静かに音を立てないよう男が向かった先へ進んでいく。
大きな木を頼りながら周囲を確認し、男が進んだであろう道を行く。
「…誰もいないの?」
見間違い?なんて事はないだろうけど、もう居なくなってしまったのかもしれない。
僕は来た時とは違う道を通りながら戻った。
「…うわっ……あでっ…」
何かに躓き転んでしまい、気が付いたら地面に倒れていた。
転ぶところを誰にも見られなくて良かった。
きっと今の転び方凄くダサかったと思う…転び方にダサいも格好いいも無いけど、あれは…無様だったと思う。
僕が何に躓いたのかを確認すると、そこには倒れている人が居た。
僕この人踏んじゃったの?
「だっ大丈夫ですか?」
慌てて相手の側に寄るとあの日の王子さまが居た。
僕…王子様踏んじゃった…。
「あ…あの…大丈夫?」
「ん゛ん゛」
怒っていらっしゃる。
「あっあの…態とでは…?」
「ん゛っ」
とてつもなく不機嫌な声…。
「…もしかして体調悪いんですか?…ひっ人っ呼んできますね…」
下敷きにしただけでこんなに痛がるのはきっと…骨折…。
急いで誰かを呼びに立ち上がった。
「…えっ?」
「…行くな。」
「…あっ…でも…痛いんでしょ?」
「…気分が悪いだけだ…休めば…」
確かに王子の顔色は悪いように見える…。
「…そうなの?」
「あぁ、だから行…」
「アディノール王子?どこですか?アディノール王子?」
王子は僕を追い払おうとした時に遠くから王子を呼ぶ声が聞こえた。
「…ぁっ…こ…ん゛…」
王子を探しに来た人に「ここにいます」って伝えようとしたら後ろから口を塞がれた。
「やめろ…何も…言う…な。」
小声で語る王子は先程よりも具合が悪そうで、僕の口を塞ぐ手の力が強くてちょっとだけ恐怖を感じた。
王子を探しているのはハーヴィル様に見えた。
静かにしていると手が離され少し楽になった。
「ぁのっ大丈夫ですか?」
やばっそんなに大きな声ではなかったが、僕の声で人がいるのが伝わりこっちに向かって来た…。
王子はというと…うわぁ先ほどより、もっと顔色が悪くなってきた…。
どどどうしよう…。
「そうだっ」
僕はジャケットを脱いで王子の顔がわからないように被せ、膝枕をした。
相手が来ないことを祈るも足音が近づいてくる。
「…ぁっ…あの…」
来た…。
「…はぃ?」
「ここにアディノール王子来てませんか?」
「…王子…ですか?ん~?」
「その人は?」
やばっ何て言おう…。
王子も観念したのか起き上がろうとした…けど…僕の膝に沈んだ。
「……あっ…眠ってて…た…大会で…疲れたでしょ?」
彼をリックのように振る舞った。
…お願いこれ以上は…こっちに来ないで。
「…あぁ、アディノール王子を見てないならいいやっ。」
ハーヴィル様は僕が膝枕しているのをリックと勘違いしてくれたのか、再び王子を探しに行った。
あんなに一生懸命探しているのに僕は…本当の事を言えなくて申し訳なくなる。
「ん゛っ…ふぅ…」
心なしか王子の顔色がだいぶ良くなっていた…ように感じるのは僕の行動を正当化したいのかも…。
王子自身も会うのを避けていたのは体調が悪かったのを知られたくなかったからだよね?
22
お気に入りに追加
2,877
あなたにおすすめの小説


美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています

俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

王子様から逃げられない!
白兪
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる