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二章 ハーレムルート

総合大会

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リックの参加する大会が明日に迫った。

総合は魔法に関する問題を解きつつ様々な罠を掻い潜り闘技場にいち早く来たものが優勝となる。
時間制限もあり最終日に辿り着けるのは参加者の内数名。
リックは前回はトップ争いをした結果僅差の三位で悔しい思いをしたとか…。

なので最近のリックはどこか緊張しているみたいに見える。

「リック…」

「………。」

「リック?…リーックー」

緊張しているのか僕の声が届いてない。

「もうっ」

椅子に座り難しい本を読み続けているリックは僕の事なんて相手にしてくれない。
集中しているリックの邪魔は良くないけど、僕は知ってる。
さっきからずっと同じ頁を開いているのを。

後ろから抱きしめ首筋にキスの痕を残した。
それでも反応ないので唇を奪った。
リックの口の中に舌を差し込むと漸く僕の望む反応が帰ってくる。
腰を抱かれリックの膝の上に座り、胸を服の上から揉まれる。
女の子じゃないのに最近では胸を触れて気持ち良くなるのが当たり前になっていた。

アドルフの為の母乳だけど、皆に飲まれるのも好き…。

シャツのボタンが外され胸にかぶり付くリックに安心し頭を撫でていた。
リックの場合は二人の試合と違って知識も必要となる、僕とこんなことをしている時間はないのかもしれない。
勉強した方が明日のリックに役に立つのは分かってる…けど、少しでも緊張から解放されてほしかった。

抱きしめられたまま、ベッドへ移動した。
明日から大切な大会が始まるっていうのに前日にこんなこと…僕ってきっと悪魔なんだ。

人間を惑わすイケナイ悪魔。 

もしこれでリックが初日で~なんてなったら僕の責任だ。
一生かけて償うから、僕の事捨てないでね。

「リック…もっと(僕に夢中になって)」

「シャルマン…僕(だけ)の…シャルマン…」

溢れる程中で感じると安心する。

翌日、大会が始まる前に僕お手製の猫のお守りを手渡した。

「これって…」

「ぅん、僕…作ったの…お守り…」

「ありがとう、大切にする。」

「ぅん、リック…怪我しないでね。」

「ふっ、わかった。」

リックの綺麗な手が頬に触れ唇が触れる。
試合前、選手を送り出すキスにしては激しいとも思えるキスをした。
控え室に向かうリックの後ろ姿を見送り僕は観客席へ急いだ。
その時ハーヴィル様とすれ違ったが、あの光を見ることはなかった。
ハーヴィル様が一緒にいたのはエドと戦った人…ではなく別の人だった…。
なんだか記憶にあるような…けど思い出せない、そんな人と一緒にいた。
あんまり見すぎるのは良くないかなと思いライとエドが待つ観客席を目指した。
僕達の定位置のように同じ場所に座った。

試合が始まった。

まずは五つのグループに別れグループごとに転移魔法で何処かへ送られた。

…闘技場には誰もいなくなってしまった…。

ここで数時間も帰ってくるのを待つの?と思ったが、映像を記録できる装置があり各グループの一番の人を追いかけていた。

んふふ、なのでリックは常に映像に映っていた。

問題も写し出され、一緒に悩みながら選手を応援していた。
魔法が出来ない僕には難しい問題ばかりで、幻術で出された魔物退治や罠を隣にいるライとエドが真剣に説明してくれたけど僕にはいくら見ても惑わされっぱなしで本来の姿なんて見えなかった。

僕が魔力の無い獣人だからかもなって慰めてくれたけど、それってかなりの弱点なのでは?

僕、絶対に総合の大会には出ないと決めた。
いやっどの大会にも出ることは無いだろう。

皆って凄かったんだ…。

僕だけ凡人…釣り合って無いんだ…。
優秀な皆を独り占めする僕って物語の悪役令息みたいだ。
なんだか落ち込んじゃう…リックは今頑張ってるのに…。

リック…無事に早く帰ってきて。
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