281 / 414
二章 ハーレムルート
王族のパーティーでの食い逃げは許されないみたいです
しおりを挟む
お兄様の話を聞いてから、程なくしてパーティーシーズンが始まったみたいでお父様とお兄様が毎日のように出掛けるようになってしまった。
お見送りの時に抱き合って二人が馬車に乗り込む姿を見ると置いていかれた猫のように途端に淋しくなってしまったが、あれから皆泊まっていて僕が一人になることはなかった。
ずっとこんな日が続けば良いのになぁ。
馬車を見送り屋敷の中へと戻り皆で僕の部屋に移動した。
「ねぇ、王族のパーティーって何するの?」
「国王の挨拶から始まって私たち貴族が王族に挨拶に伺います。その後にダンス、そして貴族同士の挨拶回り…ですかね。」
アレックスが王族のパーティーの流れを教えてくれた。
「美味しいもの食べる時間ある?」
僕にとって大事な質問をした。
「…ぷっ…食べ物かよっ」
バカにしたようなエドにムッとしてしまった。
「なっ、王宮の料理なんて食べる機会なんて、早々にないんだから食べたいって思うでしょ?」
「ルゥは王族より食べ物ですか?」
なんだかアレックスも笑ってる。
「むっ。」
「安心しろ、食べる時間はある。ダンスを終えた後に沢山食べれば良い。だが、気を付けろよアルコールの飲み物はもちろんだがデザートにもアルコールが入っている場合があるからちゃんと確認しろよ。」
「…ぁっ…はい。」
ライの屋敷に行った時に大失敗しちゃったからね…。
「シャルマンはダンス覚えてる?」
「へっ?ダンス?…ダンス?…ダンス?ダンスって…しなきゃダめナのぉ?」
声が裏返ってしまった。
ダンスなんて記憶にないし日本でだって社交ダンスの授業はなかった…。
「ぼぼぼ僕…無理…出来ない…」
「…以前のシャルマンは…どうだった?」
エドの疑問に皆が首を振った。
「誰ともダンスしてなかったような…。」
リックの記憶の中でもシャルマンはダンスしていなかったようだ。
なら、僕もダンスしなくても良いのかな?
「いえ、確かダンスしていましたよ。社交界デビューの日にドミニク様と。」
抜群な記憶力のアレックスの無慈悲な情報により僕の時間は止まってしまった。
「…ダンスはしなくても…」
「いえ、それは難しいでしょ。」
助け船を出してくれたリックを遮るようにアレックスが語り出すと、僕は内心震えていた。
「私たちは婚約したんです、色んな方達に認知させる為にも我々のダンスは必須です。」
…僕逃げ道塞がれた?
皆の視線が一斉に僕に集まる。
そんな目で見ても僕、ダンスなんて出来ません。
僕は壊れたように首を振っていた。
「これから練習ですね。」
「……ぁ…」
アレックスが先生の顔になった…言葉も表情も優しいのに…。
逃げ出したいが、明日から僕のダンスの授業が決まってしまった瞬間だった。
お見送りの時に抱き合って二人が馬車に乗り込む姿を見ると置いていかれた猫のように途端に淋しくなってしまったが、あれから皆泊まっていて僕が一人になることはなかった。
ずっとこんな日が続けば良いのになぁ。
馬車を見送り屋敷の中へと戻り皆で僕の部屋に移動した。
「ねぇ、王族のパーティーって何するの?」
「国王の挨拶から始まって私たち貴族が王族に挨拶に伺います。その後にダンス、そして貴族同士の挨拶回り…ですかね。」
アレックスが王族のパーティーの流れを教えてくれた。
「美味しいもの食べる時間ある?」
僕にとって大事な質問をした。
「…ぷっ…食べ物かよっ」
バカにしたようなエドにムッとしてしまった。
「なっ、王宮の料理なんて食べる機会なんて、早々にないんだから食べたいって思うでしょ?」
「ルゥは王族より食べ物ですか?」
なんだかアレックスも笑ってる。
「むっ。」
「安心しろ、食べる時間はある。ダンスを終えた後に沢山食べれば良い。だが、気を付けろよアルコールの飲み物はもちろんだがデザートにもアルコールが入っている場合があるからちゃんと確認しろよ。」
「…ぁっ…はい。」
ライの屋敷に行った時に大失敗しちゃったからね…。
「シャルマンはダンス覚えてる?」
「へっ?ダンス?…ダンス?…ダンス?ダンスって…しなきゃダめナのぉ?」
声が裏返ってしまった。
ダンスなんて記憶にないし日本でだって社交ダンスの授業はなかった…。
「ぼぼぼ僕…無理…出来ない…」
「…以前のシャルマンは…どうだった?」
エドの疑問に皆が首を振った。
「誰ともダンスしてなかったような…。」
リックの記憶の中でもシャルマンはダンスしていなかったようだ。
なら、僕もダンスしなくても良いのかな?
「いえ、確かダンスしていましたよ。社交界デビューの日にドミニク様と。」
抜群な記憶力のアレックスの無慈悲な情報により僕の時間は止まってしまった。
「…ダンスはしなくても…」
「いえ、それは難しいでしょ。」
助け船を出してくれたリックを遮るようにアレックスが語り出すと、僕は内心震えていた。
「私たちは婚約したんです、色んな方達に認知させる為にも我々のダンスは必須です。」
…僕逃げ道塞がれた?
皆の視線が一斉に僕に集まる。
そんな目で見ても僕、ダンスなんて出来ません。
僕は壊れたように首を振っていた。
「これから練習ですね。」
「……ぁ…」
アレックスが先生の顔になった…言葉も表情も優しいのに…。
逃げ出したいが、明日から僕のダンスの授業が決まってしまった瞬間だった。
22
お気に入りに追加
2,865
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
やめて抱っこしないで!過保護なメンズに囲まれる!?〜異世界転生した俺は死にそうな最弱プリンスだけど最強冒険者〜
ゆきぶた
BL
異世界転生したからハーレムだ!と、思ったら男のハーレムが出来上がるBLです。主人公総受ですがエロなしのギャグ寄りです。
短編用に登場人物紹介を追加します。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
あらすじ
前世を思い出した第5王子のイルレイン(通称イル)はある日、謎の呪いで倒れてしまう。
20歳までに死ぬと言われたイルは禁呪に手を出し、呪いを解く素材を集めるため、セイと名乗り冒険者になる。
そして気がつけば、最強の冒険者の一人になっていた。
普段は病弱ながらも執事(スライム)に甘やかされ、冒険者として仲間達に甘やかされ、たまに兄達にも甘やかされる。
そして思ったハーレムとは違うハーレムを作りつつも、最強冒険者なのにいつも抱っこされてしまうイルは、自分の呪いを解くことが出来るのか??
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
お相手は人外(人型スライム)、冒険者(鍛冶屋)、錬金術師、兄王子達など。なにより皆、過保護です。
前半はギャグ多め、後半は恋愛思考が始まりラストはシリアスになります。
文章能力が低いので読みにくかったらすみません。
※一瞬でもhotランキング10位まで行けたのは皆様のおかげでございます。お気に入り1000嬉しいです。ありがとうございました!
本編は完結しましたが、暫く不定期ですがオマケを更新します!
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
溺愛お義兄様を卒業しようと思ったら、、、
ShoTaro
BL
僕・テオドールは、6歳の時にロックス公爵家に引き取られた。
そこから始まった兄・レオナルドの溺愛。
元々貴族ではなく、ただの庶子であるテオドールは、15歳となり、成人まで残すところ一年。独り立ちする計画を立てていた。
兄からの卒業。
レオナルドはそんなことを許すはずもなく、、
全4話で1日1話更新します。
R-18も多少入りますが、最後の1話のみです。
【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜
N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間)
ハーレム要素あります。
苦手な方はご注意ください。
※タイトルの ◎ は視点が変わります
※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます
※ご都合主義です、あしからず
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる