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二章 ハーレムルート
王族のパーティーでの食い逃げは許されないみたいです
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お兄様の話を聞いてから、程なくしてパーティーシーズンが始まったみたいでお父様とお兄様が毎日のように出掛けるようになってしまった。
お見送りの時に抱き合って二人が馬車に乗り込む姿を見ると置いていかれた猫のように途端に淋しくなってしまったが、あれから皆泊まっていて僕が一人になることはなかった。
ずっとこんな日が続けば良いのになぁ。
馬車を見送り屋敷の中へと戻り皆で僕の部屋に移動した。
「ねぇ、王族のパーティーって何するの?」
「国王の挨拶から始まって私たち貴族が王族に挨拶に伺います。その後にダンス、そして貴族同士の挨拶回り…ですかね。」
アレックスが王族のパーティーの流れを教えてくれた。
「美味しいもの食べる時間ある?」
僕にとって大事な質問をした。
「…ぷっ…食べ物かよっ」
バカにしたようなエドにムッとしてしまった。
「なっ、王宮の料理なんて食べる機会なんて、早々にないんだから食べたいって思うでしょ?」
「ルゥは王族より食べ物ですか?」
なんだかアレックスも笑ってる。
「むっ。」
「安心しろ、食べる時間はある。ダンスを終えた後に沢山食べれば良い。だが、気を付けろよアルコールの飲み物はもちろんだがデザートにもアルコールが入っている場合があるからちゃんと確認しろよ。」
「…ぁっ…はい。」
ライの屋敷に行った時に大失敗しちゃったからね…。
「シャルマンはダンス覚えてる?」
「へっ?ダンス?…ダンス?…ダンス?ダンスって…しなきゃダめナのぉ?」
声が裏返ってしまった。
ダンスなんて記憶にないし日本でだって社交ダンスの授業はなかった…。
「ぼぼぼ僕…無理…出来ない…」
「…以前のシャルマンは…どうだった?」
エドの疑問に皆が首を振った。
「誰ともダンスしてなかったような…。」
リックの記憶の中でもシャルマンはダンスしていなかったようだ。
なら、僕もダンスしなくても良いのかな?
「いえ、確かダンスしていましたよ。社交界デビューの日にドミニク様と。」
抜群な記憶力のアレックスの無慈悲な情報により僕の時間は止まってしまった。
「…ダンスはしなくても…」
「いえ、それは難しいでしょ。」
助け船を出してくれたリックを遮るようにアレックスが語り出すと、僕は内心震えていた。
「私たちは婚約したんです、色んな方達に認知させる為にも我々のダンスは必須です。」
…僕逃げ道塞がれた?
皆の視線が一斉に僕に集まる。
そんな目で見ても僕、ダンスなんて出来ません。
僕は壊れたように首を振っていた。
「これから練習ですね。」
「……ぁ…」
アレックスが先生の顔になった…言葉も表情も優しいのに…。
逃げ出したいが、明日から僕のダンスの授業が決まってしまった瞬間だった。
お見送りの時に抱き合って二人が馬車に乗り込む姿を見ると置いていかれた猫のように途端に淋しくなってしまったが、あれから皆泊まっていて僕が一人になることはなかった。
ずっとこんな日が続けば良いのになぁ。
馬車を見送り屋敷の中へと戻り皆で僕の部屋に移動した。
「ねぇ、王族のパーティーって何するの?」
「国王の挨拶から始まって私たち貴族が王族に挨拶に伺います。その後にダンス、そして貴族同士の挨拶回り…ですかね。」
アレックスが王族のパーティーの流れを教えてくれた。
「美味しいもの食べる時間ある?」
僕にとって大事な質問をした。
「…ぷっ…食べ物かよっ」
バカにしたようなエドにムッとしてしまった。
「なっ、王宮の料理なんて食べる機会なんて、早々にないんだから食べたいって思うでしょ?」
「ルゥは王族より食べ物ですか?」
なんだかアレックスも笑ってる。
「むっ。」
「安心しろ、食べる時間はある。ダンスを終えた後に沢山食べれば良い。だが、気を付けろよアルコールの飲み物はもちろんだがデザートにもアルコールが入っている場合があるからちゃんと確認しろよ。」
「…ぁっ…はい。」
ライの屋敷に行った時に大失敗しちゃったからね…。
「シャルマンはダンス覚えてる?」
「へっ?ダンス?…ダンス?…ダンス?ダンスって…しなきゃダめナのぉ?」
声が裏返ってしまった。
ダンスなんて記憶にないし日本でだって社交ダンスの授業はなかった…。
「ぼぼぼ僕…無理…出来ない…」
「…以前のシャルマンは…どうだった?」
エドの疑問に皆が首を振った。
「誰ともダンスしてなかったような…。」
リックの記憶の中でもシャルマンはダンスしていなかったようだ。
なら、僕もダンスしなくても良いのかな?
「いえ、確かダンスしていましたよ。社交界デビューの日にドミニク様と。」
抜群な記憶力のアレックスの無慈悲な情報により僕の時間は止まってしまった。
「…ダンスはしなくても…」
「いえ、それは難しいでしょ。」
助け船を出してくれたリックを遮るようにアレックスが語り出すと、僕は内心震えていた。
「私たちは婚約したんです、色んな方達に認知させる為にも我々のダンスは必須です。」
…僕逃げ道塞がれた?
皆の視線が一斉に僕に集まる。
そんな目で見ても僕、ダンスなんて出来ません。
僕は壊れたように首を振っていた。
「これから練習ですね。」
「……ぁ…」
アレックスが先生の顔になった…言葉も表情も優しいのに…。
逃げ出したいが、明日から僕のダンスの授業が決まってしまった瞬間だった。
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