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二章 ハーレムルート
お父様の思いと本当のシャルマン
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「お父様?欲しいものがあるんですが…。」
僕は執務室まで足を運びお父様に僕としては初めてのおねだりをした。
「ん?なんだ?」
お父様は嬉しそうに聞き返す姿がそれだけでシャルマンを溺愛し優しいことが分かる。
僕がどんなことを強請っても叶えてくれそうな勢いで、僕に甘々でだめな子にしないで。
…と思いながらねだっております。
「大きなクッションが欲しいんです。」
「クッション?大きな?どのくらいだ?」
「んっと…僕が座っても大きいくらいのかな?」
「ソファではなくクッションか?」
「はい」
「具体的に案があるのか?」
「ん~丸くてビーズ…梱包用の中身を入れたモノですかね?」
「梱包用…?」
「布ではなく少し固めのモノです。」
「時間は掛かると思うが作ってみよう。」
「…あっありがとうございますっ」
あの大きなクッションに座りながらアドルフと早くお遊びしたいなぁ。
一緒に楽しんでくれるよね?
…どうしよう、お母さんイヤっ触らないでぇなんて言われたら…イヤイヤ期が来たら僕の方が泣いちゃうかも…。
アドルフ僕の事嫌わないでね。
「シャルがお母さんだとアドルフは楽しいだろうな。」
「楽しい?」
「こんなにいろんな事を考えるんだ、毎日が飽きないだろうな。」
「アドルフ喜んでくれるかな?」
「あぁ、きっと喜ぶさっ。」
「んふふ」
「シャルは幸せか?」
「…はいっとっても。」
「そうか、良かった。」
「僕はお父様、お母様、お兄様が家族で幸せ者です。」
「シャル…生まれてきてくれてありがとう。愛してるよ。」
「…お父様…僕もでしゅっ…ぁ…」
また大事なところで僕は…。
「ふっ、シャルは変わらないな。」
優しく頭を撫でてくれた。
「抱きしめようか?」
「へっ?」
「シャルは昔から抱っこが好きだったろ?「お父様」といつも駆け寄ってきたな。」
「……そう…でしたか?」
僕の知らないシャルマンだ。
「忘れたのか?学園に行く時も離れたくないって毎日泣いていた。私達もそんなに辛いなら辞めても良いんだぞと言えば「行く」って言ったな…。淋しがり屋で甘えん坊なのに意地っ張りの頑固者。負けず嫌いでもあったな。」
「えっえっえっ…。」
そうなんだ…。
「入学してすぐは毎日のように手紙で近況を教えてくれたろ?不安で押し潰されそうだったが王子と出会って…頑張ってみるって…。」
「………。」
そうなんだ…王子と接点有ったんだ。
僕はてっきりシャルマンの一方的な片想いかと思ってた。
「入学式で助けてもらったんだろう?」
「えっあっうん…」
覚えてないけど頷いた。
入学式で助けてもらうったから追いかけちゃたのかな?
「婚約したいって書いてあったが、王族が婚約を決めるのは最終学年になってからと決められていたんだ。ペアの授業などで互いに心変わりがある可能性を考えてそうなっていた。当時は婚約を叶えてやれずにすまないと思っている。」
「あっ良いんです。今は皆と一緒にいられて幸せです。叶わなくて良かったと思ってます。」
焦ってしまったが、これは僕の本心だ。
「…ペアの授業も本当は嫌だったのだろ?知らない奴に触られるのは怖いと手紙に書いてあった。だが学園の決定であり貴族の総意だった為、私一人では覆すことが出来なかった。」
そうなんだ…。
ペアの授業って学園が決めたことじゃなくて貴族…国が決めたって事だよね?貴族の誰も反対してないんだったら、それは仕方がないと思う。
シャルマンの気持ちも分かるけど、全ての貴族に対抗するなんて出来ないよね…お父様も苦しんでいたんだ。息子が助けを求めたのになにも出来なかった事を…。
「………。」
「酷い父親ですまない。辛くて耐えられないと言っているシャルに最低でも三回は我慢しなさい等と…あんな手紙を出してから返事が少なくなった事で私がシャルを追い詰めてしまったことを知り悔やんだ。せめて婚約だけは王子とと思っていたんだ…」
そっか…シャルマンは我が儘だったんじゃないんだね。
ただ、怖かっただけなんだ。
僕だって、この世界に来てそんな授業があるなんて戸惑ったし不安はあった。
「…お父様の判断は正しいです。僕の我が儘で規則を変えるのは間違ってますから…」
「…今からでも叶えられるぞ。」
「えっ?何を…ですか?」
何を言われるのか不安が過った。
「婚約…。今なら王族と掛け合うことが出来るぞ。」
お父様の目は真剣だった。
「…だ…だめっダメです。僕は皆といたいです。僕は今の幸せを手放したく有りません。」
「…そうか。…シャル、不甲斐ない父親ですまなかった。」
「そんな、そんなことないです。お父様は素晴らしいです。僕の尊敬する、大好きなお父様です。」
「…ぅっ…くっ…すまない…」
うそっお父様泣いてるの?
泣かないでください。
「お父様ぁ」
僕はお父様の隣に座り抱きしめた。
シャルマンもきっと分かってると思う。
お父様は何もしなかったんじゃなくて、出来なかったことを。
だから、お父様の言いつけ通り三回は頑張ったんだ。
シャルマン、僕と家族だけは知ってるよシャルマンは我が儘じゃないって事を…繊細過ぎたんだ。
僕は執務室まで足を運びお父様に僕としては初めてのおねだりをした。
「ん?なんだ?」
お父様は嬉しそうに聞き返す姿がそれだけでシャルマンを溺愛し優しいことが分かる。
僕がどんなことを強請っても叶えてくれそうな勢いで、僕に甘々でだめな子にしないで。
…と思いながらねだっております。
「大きなクッションが欲しいんです。」
「クッション?大きな?どのくらいだ?」
「んっと…僕が座っても大きいくらいのかな?」
「ソファではなくクッションか?」
「はい」
「具体的に案があるのか?」
「ん~丸くてビーズ…梱包用の中身を入れたモノですかね?」
「梱包用…?」
「布ではなく少し固めのモノです。」
「時間は掛かると思うが作ってみよう。」
「…あっありがとうございますっ」
あの大きなクッションに座りながらアドルフと早くお遊びしたいなぁ。
一緒に楽しんでくれるよね?
…どうしよう、お母さんイヤっ触らないでぇなんて言われたら…イヤイヤ期が来たら僕の方が泣いちゃうかも…。
アドルフ僕の事嫌わないでね。
「シャルがお母さんだとアドルフは楽しいだろうな。」
「楽しい?」
「こんなにいろんな事を考えるんだ、毎日が飽きないだろうな。」
「アドルフ喜んでくれるかな?」
「あぁ、きっと喜ぶさっ。」
「んふふ」
「シャルは幸せか?」
「…はいっとっても。」
「そうか、良かった。」
「僕はお父様、お母様、お兄様が家族で幸せ者です。」
「シャル…生まれてきてくれてありがとう。愛してるよ。」
「…お父様…僕もでしゅっ…ぁ…」
また大事なところで僕は…。
「ふっ、シャルは変わらないな。」
優しく頭を撫でてくれた。
「抱きしめようか?」
「へっ?」
「シャルは昔から抱っこが好きだったろ?「お父様」といつも駆け寄ってきたな。」
「……そう…でしたか?」
僕の知らないシャルマンだ。
「忘れたのか?学園に行く時も離れたくないって毎日泣いていた。私達もそんなに辛いなら辞めても良いんだぞと言えば「行く」って言ったな…。淋しがり屋で甘えん坊なのに意地っ張りの頑固者。負けず嫌いでもあったな。」
「えっえっえっ…。」
そうなんだ…。
「入学してすぐは毎日のように手紙で近況を教えてくれたろ?不安で押し潰されそうだったが王子と出会って…頑張ってみるって…。」
「………。」
そうなんだ…王子と接点有ったんだ。
僕はてっきりシャルマンの一方的な片想いかと思ってた。
「入学式で助けてもらったんだろう?」
「えっあっうん…」
覚えてないけど頷いた。
入学式で助けてもらうったから追いかけちゃたのかな?
「婚約したいって書いてあったが、王族が婚約を決めるのは最終学年になってからと決められていたんだ。ペアの授業などで互いに心変わりがある可能性を考えてそうなっていた。当時は婚約を叶えてやれずにすまないと思っている。」
「あっ良いんです。今は皆と一緒にいられて幸せです。叶わなくて良かったと思ってます。」
焦ってしまったが、これは僕の本心だ。
「…ペアの授業も本当は嫌だったのだろ?知らない奴に触られるのは怖いと手紙に書いてあった。だが学園の決定であり貴族の総意だった為、私一人では覆すことが出来なかった。」
そうなんだ…。
ペアの授業って学園が決めたことじゃなくて貴族…国が決めたって事だよね?貴族の誰も反対してないんだったら、それは仕方がないと思う。
シャルマンの気持ちも分かるけど、全ての貴族に対抗するなんて出来ないよね…お父様も苦しんでいたんだ。息子が助けを求めたのになにも出来なかった事を…。
「………。」
「酷い父親ですまない。辛くて耐えられないと言っているシャルに最低でも三回は我慢しなさい等と…あんな手紙を出してから返事が少なくなった事で私がシャルを追い詰めてしまったことを知り悔やんだ。せめて婚約だけは王子とと思っていたんだ…」
そっか…シャルマンは我が儘だったんじゃないんだね。
ただ、怖かっただけなんだ。
僕だって、この世界に来てそんな授業があるなんて戸惑ったし不安はあった。
「…お父様の判断は正しいです。僕の我が儘で規則を変えるのは間違ってますから…」
「…今からでも叶えられるぞ。」
「えっ?何を…ですか?」
何を言われるのか不安が過った。
「婚約…。今なら王族と掛け合うことが出来るぞ。」
お父様の目は真剣だった。
「…だ…だめっダメです。僕は皆といたいです。僕は今の幸せを手放したく有りません。」
「…そうか。…シャル、不甲斐ない父親ですまなかった。」
「そんな、そんなことないです。お父様は素晴らしいです。僕の尊敬する、大好きなお父様です。」
「…ぅっ…くっ…すまない…」
うそっお父様泣いてるの?
泣かないでください。
「お父様ぁ」
僕はお父様の隣に座り抱きしめた。
シャルマンもきっと分かってると思う。
お父様は何もしなかったんじゃなくて、出来なかったことを。
だから、お父様の言いつけ通り三回は頑張ったんだ。
シャルマン、僕と家族だけは知ってるよシャルマンは我が儘じゃないって事を…繊細過ぎたんだ。
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