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二章 ハーレムルート
検査って嫌いにゃ
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「過ぎたことは仕方がありません。私の服を着てください。」
「…にゃぁ」
ポン
悲しみが勝りベッドの上で隠れることなく人間に戻り、ベッドに置かれた服に手を伸ばし服を着ていく。
アレックスの服を身に纏い側へと駆け寄り、両頬に手を添えられて背伸びをすれば僕が何を求めているのか察知して望みを叶えてくれた。
もっとして欲しいのに唇は離れてしまい瞳で求める。
「これ以上はまた後で。家族が待っているので。」
そうでした。
「にゃん…はい」
アレックスにエスコートされ談話室へ戻った。
ソファに座り腕を見せると、その後からは僕の腕の魔法具の話で持ちきりで全く口を挟めず皆の様子伺っていた。
邪魔にならないように腕だけを差し出し自分を消した。
やはり魔法省に勤める人達の会話、専門用語ばかりなのか単に僕の知識不足なのか外国語のように聞こえる。
皆が地図を見ながら会話をしていると、僕の腕輪と連動して地図の一点が光っていた。
「にゃぁっ」
ちゃんと反応するかの最終確認だとか。
腕輪の確認が終わると皆で昼食となり、食堂の席に着くと一人分多く準備されていた。
お義父様にお義兄様と奥様、そしてアレックスに僕…もう一人は誰だろう?
アレックスに聞こうと思った瞬間タイミングが良いのか悪いのか使用人により扉が開き一人の人物が登場した。
「遅れて申ち訳ありましぇん。」
現れたのは可愛らしい小さな男の子だった。
「アデルバートいらっしゃい。」
ルパート様に呼ばれてアデルバート様は隣の席に座った。席について落ち着くと普段とは違い見知らぬ僕を見付け、見つめ合ってしまった。彼は瞬きを何度も繰り返し、最終的には首をかしげてしまった。
「ふっ、あちらの方はアレッサンドロ様の婚約者だよ。挨拶できる?」
「はいっ。僕の名前はアデルバート ギノフォードでしゅ、よろしくお願いしましゅ。」
「ご丁寧な挨拶ありがとうございます、僕はシャルマン フィンコックと申します。この度アレッサンドロ様の婚約者となりましたので、よろしくお願いします。」
アデルバート様の笑みにつられて僕も「エヘヘ」と笑っていた。
アデルバート様に癒されながら食べていると、お義兄様からの視線に気付いた。一度気付いてしまうと冷静で入られず挙動不審になってしまう。
だって…ずっと見られてるんだもん。
もぅ、今度はなんですか?
まだ僕がアレックスの事を利用しているって思ってるの?
違うって言ったのに…。
それとも何か粗相をしちゃったのかな?
はっもしかして僕って食べ方汚い?
不安になりながらぎこちなく食事を進めていると、お義兄様から食事が終わり確認したいことがあると言われれば断ることも出来ず、談話室で検査された。
皆で談話室に向かうも、アデルバート様だけは名残惜しそうに自身の部屋に戻っていった。
聞けば、家庭教師の時間で今は文字の読み書きを練習中らしい。
「勉強頑張るので、まだ帰らないでくだしゃいね。僕、フィンコックしゃまとお話ししたいでしゅ。」
と心臓を撃ち抜かれたかと思うくらいの可愛さで約束を取り付けられた。
「うん、まだ帰らないよ。今日から三日間お泊まりするからよろしくね。」
「わぁ、はい。」
満面の笑みで喜ばれ使用人に手を繋がれながら部屋を出ていった。後ろを振り向きながら手を振ってくれる姿に、僕の方が一緒に付いて行きたくなる程心を掴まれてしまった。
「はぁ…可愛かった…。」
「私の息子に手を出すなよ…。」
「ひゃっ…」
振り向けば真後ろにお義兄様がいらっしゃった…。
「返事がないが。」
「…もちろんでしゅ…」
噛んだのか、アデルバート様のが移ったのか分からないが可愛さアピールではないのは確かであり、アデルバート様のような愛らしさは今の僕に欲しかった。
そして検査が始まった。
検査と言っても人間の時の耳と尾てい骨辺りを猫化する瞬間どうなっているのかを調べたかったらしい。ズボンとパンツをこれ以上はズラさないからと際どい所まで下げられた。猫化しながら始業式の時の事も聞かれ、だいぶ時間が立ってしまって記憶も薄れてしまったが、覚えている限りを伝えたつもりだった。撫でる仕草でもなく本当に調査っていう手付きで触れられる。
その間アレックスに抱き締められながら落ち着かされ、病院に来て検査に暴れる猫や犬の気分を味わっていた。
不安で抱き締めて貰えると安心します。
飼い主さんよろしくです。
「ふにゃぁ…」
「大丈夫ですよ。」
アレックスは優しく抱き締めながら頭をポンポンしてくれた。
「終わったよ…そんな「みゃぁみゃぁ」鳴くなっ。」
終わりを告げるお義兄様。
「ふぇ?」
僕はアレックスに抱き締められながら尻尾の検査に怯え「みゃぁみゃぁ」と鳴いていたらしい。
なんかよく分かんないけど怖かったんだもん。
もぞもぞと動きアレックスの膝の上に跨がり隙間なく確りと抱き付いた。
「本物の猫みたいだな。」
お義兄様の声がするも僕はアレックスの腕の中に顔を埋めた。
もう、ご家族への挨拶での好印象なんてものは捨てた。
健康診断は健康でも怖くなる診断だった。
「…にゃぁ」
ポン
悲しみが勝りベッドの上で隠れることなく人間に戻り、ベッドに置かれた服に手を伸ばし服を着ていく。
アレックスの服を身に纏い側へと駆け寄り、両頬に手を添えられて背伸びをすれば僕が何を求めているのか察知して望みを叶えてくれた。
もっとして欲しいのに唇は離れてしまい瞳で求める。
「これ以上はまた後で。家族が待っているので。」
そうでした。
「にゃん…はい」
アレックスにエスコートされ談話室へ戻った。
ソファに座り腕を見せると、その後からは僕の腕の魔法具の話で持ちきりで全く口を挟めず皆の様子伺っていた。
邪魔にならないように腕だけを差し出し自分を消した。
やはり魔法省に勤める人達の会話、専門用語ばかりなのか単に僕の知識不足なのか外国語のように聞こえる。
皆が地図を見ながら会話をしていると、僕の腕輪と連動して地図の一点が光っていた。
「にゃぁっ」
ちゃんと反応するかの最終確認だとか。
腕輪の確認が終わると皆で昼食となり、食堂の席に着くと一人分多く準備されていた。
お義父様にお義兄様と奥様、そしてアレックスに僕…もう一人は誰だろう?
アレックスに聞こうと思った瞬間タイミングが良いのか悪いのか使用人により扉が開き一人の人物が登場した。
「遅れて申ち訳ありましぇん。」
現れたのは可愛らしい小さな男の子だった。
「アデルバートいらっしゃい。」
ルパート様に呼ばれてアデルバート様は隣の席に座った。席について落ち着くと普段とは違い見知らぬ僕を見付け、見つめ合ってしまった。彼は瞬きを何度も繰り返し、最終的には首をかしげてしまった。
「ふっ、あちらの方はアレッサンドロ様の婚約者だよ。挨拶できる?」
「はいっ。僕の名前はアデルバート ギノフォードでしゅ、よろしくお願いしましゅ。」
「ご丁寧な挨拶ありがとうございます、僕はシャルマン フィンコックと申します。この度アレッサンドロ様の婚約者となりましたので、よろしくお願いします。」
アデルバート様の笑みにつられて僕も「エヘヘ」と笑っていた。
アデルバート様に癒されながら食べていると、お義兄様からの視線に気付いた。一度気付いてしまうと冷静で入られず挙動不審になってしまう。
だって…ずっと見られてるんだもん。
もぅ、今度はなんですか?
まだ僕がアレックスの事を利用しているって思ってるの?
違うって言ったのに…。
それとも何か粗相をしちゃったのかな?
はっもしかして僕って食べ方汚い?
不安になりながらぎこちなく食事を進めていると、お義兄様から食事が終わり確認したいことがあると言われれば断ることも出来ず、談話室で検査された。
皆で談話室に向かうも、アデルバート様だけは名残惜しそうに自身の部屋に戻っていった。
聞けば、家庭教師の時間で今は文字の読み書きを練習中らしい。
「勉強頑張るので、まだ帰らないでくだしゃいね。僕、フィンコックしゃまとお話ししたいでしゅ。」
と心臓を撃ち抜かれたかと思うくらいの可愛さで約束を取り付けられた。
「うん、まだ帰らないよ。今日から三日間お泊まりするからよろしくね。」
「わぁ、はい。」
満面の笑みで喜ばれ使用人に手を繋がれながら部屋を出ていった。後ろを振り向きながら手を振ってくれる姿に、僕の方が一緒に付いて行きたくなる程心を掴まれてしまった。
「はぁ…可愛かった…。」
「私の息子に手を出すなよ…。」
「ひゃっ…」
振り向けば真後ろにお義兄様がいらっしゃった…。
「返事がないが。」
「…もちろんでしゅ…」
噛んだのか、アデルバート様のが移ったのか分からないが可愛さアピールではないのは確かであり、アデルバート様のような愛らしさは今の僕に欲しかった。
そして検査が始まった。
検査と言っても人間の時の耳と尾てい骨辺りを猫化する瞬間どうなっているのかを調べたかったらしい。ズボンとパンツをこれ以上はズラさないからと際どい所まで下げられた。猫化しながら始業式の時の事も聞かれ、だいぶ時間が立ってしまって記憶も薄れてしまったが、覚えている限りを伝えたつもりだった。撫でる仕草でもなく本当に調査っていう手付きで触れられる。
その間アレックスに抱き締められながら落ち着かされ、病院に来て検査に暴れる猫や犬の気分を味わっていた。
不安で抱き締めて貰えると安心します。
飼い主さんよろしくです。
「ふにゃぁ…」
「大丈夫ですよ。」
アレックスは優しく抱き締めながら頭をポンポンしてくれた。
「終わったよ…そんな「みゃぁみゃぁ」鳴くなっ。」
終わりを告げるお義兄様。
「ふぇ?」
僕はアレックスに抱き締められながら尻尾の検査に怯え「みゃぁみゃぁ」と鳴いていたらしい。
なんかよく分かんないけど怖かったんだもん。
もぞもぞと動きアレックスの膝の上に跨がり隙間なく確りと抱き付いた。
「本物の猫みたいだな。」
お義兄様の声がするも僕はアレックスの腕の中に顔を埋めた。
もう、ご家族への挨拶での好印象なんてものは捨てた。
健康診断は健康でも怖くなる診断だった。
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