【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨 七緒

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二章 ハーレムルート

また来まず…ぅっう゛っう゛

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なんとか身支度を整え遅めの朝食を頂き、アレックスが来るまで談話室で待っていた。

アレックスは学園から直接向かってくる予定なので、時間は不確かの為屋敷の前で出迎える事はなかった。

逆上せてソファで寛いでいた後、僕達は致すことなく健全な婚約者をしていた。
それでも今日までのリックは、朝食前に僕の母乳を飲み切っていた。
皆、お泊まり終了日には必ず母乳を飲み切るという行為をするのはそんなにも母乳は美味しいかな?

赤ちゃんだけじゃなく大人も好きな味なの?

疑問に思いながらも使用人の登場でアレックスが到着したのを知り、皆で玄関ホールまで行くと、久しぶりのアレックスの姿があった。
リックと現れた僕の全身を確認するように上から下まで視線が動き、数秒見つめあい笑顔を見せてくれた。

僕は今何を確認されたの?

アレックスとリックが話している間、僕はリックの家族に挨拶をしていた。
フランクリン様とはコロッケのソースと餃子のタネについて話し、婚約者が出来た暁には必ず紹介するので来てくださいとお誘いいただいた。

食の力は恐るべし。

こうなるって知っていたら、もっとお母さんの手伝いして覚えておくんだったと思ってしまう。
お義父様とはリックの事を話した。

「フレデリックのあの笑顔を引き出してくれてありがとう…フレデリックは優し過ぎて感情の起伏が余りなかったんだ。特に固執や執着とは無縁だと思っていてね。それは常に冷静を保ち、乱されることなく貴族としては良いことではあるが、親からするとどこか不安もあった。フィンコック様といる時には自己主張をするようになって安心した。多少度が過ぎているのではと感じたが、私はフィンコック様に感謝している。」

「あっいえ、そんな…。僕はリックに甘えてばかりで困らせちゃってます…これからはもっとリックの支えになるように頑張りますので、よろしくお願い致します。」

「ふっ、ありがとう。…私達は感謝してるから、あまり妻に怯えないでくれ。」

「ふぇつ」

おおおお怯えてたの気付いておらっしゃったんですの?
お義父様は忙しく一緒に居られる時間は少なかったのに…。

「妻はあれでもフィンコック様を好いています。お互いが傷付かない選択をして欲しかっただけなんだ。」

「…そうなんですね。僕…勘違いを…お義母様に謝らないと…。」

「そんなことはしなくて良い。また、来てくれるだけで。」

「はい゛沢゛山゛来ま゛ずっう゛っう゛っ…。」

涙こらえたら言葉に力が入り込み、大量の濁点がついてしまった。

「もう、なに泣いてんの?今生の別れじゃないんだから。ほら泣かないのっ。」

子供をあやすようにお義母様に抱き締められ、背中をポンポンされた。

「う゛っう゛っう゛っお義母様゛。」

「そんな泣き虫でどうするの?これからもフィンコック様にはいろんな試練があるんだから強くなりなさい。フレデリックだけでなく皆と一緒になることを選んだんでしょ?この程度で泣き言言ってると返して貰うよ?」

「や゛だぁ、リッグど別れだぐない゛。」

「なら、泣かないのっ。」

ぱん

「にゃ゛ん」

お尻を軽くだけと叩かれ根性を入れられた。

「フレデリックの事、よろしくね。」

耳元で囁く声に僕は力強く頷いた。

「シャルマンどうしたの?」

「…リッグ…」

お義母様の腕の中から押し出され、リックの腕の中にいた。

「四日後にはまたシャルマンの屋敷に行くからすぐ逢えるよ?」

「うん゛ちゃんと来てね。」

「勿論。」

涙を指で拭われ、唇をを重ねた。

お義母様達や使用人…アレックスも居たが少し長めのキスをした。
唇が離れ代わりにコツンとおでこを重ね「大丈夫、すぐだから」と宥められる。
僕がこれから別の婚約者のところに行くのに、優しく送り出してくれるリック。
優しすぎるから僕は我が儘でリックを繋ぎ止めておきたくなるんだ。

「リック…毎日僕の事、思い出してね。」

「うん。」

「約束だよ。」

「約束。」

おでこが離れアレックスの元までエスコートされた。
リックは僕の背中を押すように歩き、アレックスは僕が来るのを静かに待っていてくれた。
リックからアレックスの手に僕が受け渡された。

「よろしくねお願いします。」

「あぁ」

リックとアレックスのやり取りを僕は邪魔することなく眺めていた。
二人が精神的に大人なのか僕が子供なのか、嫌になったりしないのかな?嫉妬とか喧嘩にならないのかな?と幼稚な疑問を抱いていた。

二人が…皆が既に負の感情を乗り越え、限られた自分の時間を僕の事だけを考え愛することに集中すると結論を出していることに全く気付いていなかった。

二人に導かれるようにアレックスの馬車に乗り、リックの屋敷を離れていった。
馬車の中から手を振れば皆が笑顔で返してくれる。
皆の姿が見えなくなるまで外を眺めた。
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