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二章 ハーレムルート

でしゅ

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扉が開き一斉に注目を浴び、繋いでいたリックの手を強く握っていた。

「大丈夫。」

リックの優しい声が上から降ってきた。

「ぅん」

リックへの返事の声が自分でも驚くほど出ていなかった。

「いらっしゃい、もう大丈夫かい?」

リックに良く似たお義父様に心配されてしまった。

反応からすると僕の獣人を知っているのはご両親だけで弟さんは知らないように見える。
お義父様は僕が突然猫化してしまったんだと思ったに違いない。
ただ単に服がなくて元に戻れなかっただけです…なんて言えない…。

「はぃ、だっ大丈夫でしゅ…ぁっ」

噛んじゃった、最悪だっ。
お義父様は優しく微笑み、僕の失態を気付かない振りをしてくれた。

「私がフレデリックの父で当主のランハート バルデモアだ。よろしく」

優しい笑顔の未来のリックだった。
素敵な旦那様で格好良い…

やんっ痛いっ。

繋いでいた手を力強くリックに握られ、見上げると…やっぱり笑顔だ。

「僕は妻のミイルズ バルデモア」

お義母様も綺麗ぇ。

リックの両親は二人とも柔らかい雰囲気の人だった。

「初めまして、僕は弟のフランクリン バルデモアです。学園では一年です。」

フランクリン様はお義母様似で僕と同じ…いやっ僕より華奢な感じに見える…人間の姿に戻らないと分からないけど…ぅん、きっと僕より小さい。
もしかしたら彼は僕と同じ抱かれる側の人かな?
つまり子供を産める身体の人ってこと。

「ぼぼ…僕はシャルマン フィンコックです。この度フレデリック様との婚約を認めていただきありがとうございます。至らない点も多々あるかと思いますが精進して参りますのでよろしくお願いします。」

今回はちゃんとご挨拶出来た?
今日は…成功?

「こちらこそ、フレデリックとの婚約を了承していただきありがとうございます。」

「いえっ僕の方がっリックに…」

「シャルマン、ここは「はい」だけでいいんだよ。」

「あっ…はいっ」

「ふふフィンコック様は素直ですね。」

照れてしまい返事が出来なかった。

「ちゃんと挨拶出来たね。」

「うん…ふふふ」

リックにもそう思ってもらえたのなら良かった、えへへ。
気が緩みリックに身体を委ねていまい、リックの両親がとても優しい表情で微笑んでくれていた。
皆でソファに座り紅茶を飲みながら談笑した。

お義母様からフレデリックの子供の頃の話を沢山教えてもらった。

「ねぇ、兄さん?」

「なんだ?」

「先程の猫はどうしたんですか?」

「あぁ~あの猫なぁ…。」

「兄さんは魔力が高い方なので犬猫は逃げちゃうのに珍しい猫ですね。我が家で飼いましょうよ、僕は猫大好きですよ?」

「フランクリン、お前に話さなければならない重要なことがある。」

「え?」

「良いですか?フィンコック様。」

「はい勿論です。」

きっと僕の獣人のことだよね?

僕たちだけが知っている「何かに」フランクリン様は身構えた。

「フランクリン、今は他言無用で学園でも公表はしていないが…」

なにこの間?

凄い焦らしテクニック。
早く言ってあげてください、僕の方が持ちません。

「フィンコック様は…」

早く言ってぇ。

「獣人だ。」

「………」

フランクリン様は何度も瞬きを繰返しながら、とてもぎこちない動きで僕の方へと向きを変えた。
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