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二章 ハーレムルート
あぁ、俺の所為だ エイダン グレモンド
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兄さん達が部屋に籠り数時間。
まだ…その…なのかと思うとこちらが気恥ずかしい。
婚約者として甘い時間だけでなく、まったりしているだけなのかもしれないが深く考えてはいけないと頭を振るもフィンコック様の姿が瞼に浮かぶ。
兄の婚約者になんて失態を…。
静かに二人を待った。
食事の準備が整い、使用人が二人に呼び掛けにいくことに。
何も言わないが、もう終わったのかな?と要らぬ心配をしていた。
ばたばたばた。
普段の伯爵家の使用人とは思えないほ程の様子で、廊下を走る足音が聞こえた。
騒音に自然と扉の向こうへ視線が集まり、使用人が注目される中現れた。
「旦那様…エドバルド様のお部屋の前が…」
「なんだっ」
「分かりません…その…何がなんだか…」
非常事態にも関わらず何が言いたいのかわからない使用人の言葉に、父さんは慌て兄さんの部屋を目指した。
現れた使用人は新人ではないので多少の事が起きても動じないと思っていたが、許容範囲を越えた何かが伯爵家で起きていることが伺えた。
父さんだけでなく俺も母さんもエヴァンも続いた。
兄さんの部屋の前では二人の使用人が数名の使用人に押さえられていた。
まさか侵入者?フィンコック様を狙ってか?
「どういう状況だ?」
「…それが…」
なんだよ?早く言えよっ。
埒が明かず取り押さえられている人間を確認すると、俺が考えているような状態とは違った。
武器を所持し憎悪だったり険悪な表情を剥き出しにしているのかと想像したが、そこにいた人物は頬が紅潮し締まりのない顔で身体を捩っていた。
理解に苦しむ状況で不穏な空気の中、取り押さえられている人物は周囲の目もきにせず喘ぎ出した。
「まさか…フェロモン…」
「えっ?」
父さんは何かを知っているようだった。
フェロモンってなんだ?
「その二人は使用人部屋に隔離、他の使用人もエドバルドの部屋付近に近寄らないように。」
「「「はい」」」
「父さん…兄さんは…」
「話しは後だ。まずこの場を離れる。」
父さんの様子にただならない異常事態を感じる。
兄さん達は大丈夫なんだろうか?
後ろ髪を引かれながら談話室に向かった。
誰も何も言わず父さんの指示に従い、早足で談話室へと戻る。
部屋に入り落ち着いてから話すつもりなんだろうが、心中穏やかではいられなかった。
「父さん…」
「あぁ、皆落ち着いて聞いてくれ。」
「「「はぃ…。」」」
「フィンコック様が獣人だと話したな?獣人については解明されていないというか何が分かっていないのかもわからない状態だ。」
「はぃ」
「獣人について学園に入学した時に学ぶ事が多いだろうが、百年も前の情報だ充分ではないし正確でもない。その中で今日のフィンコック様の状態はフェロモンの暴走によるものだと考えられる。」
「…フェロモン?」
「獣人は求愛行動だったり生存本能から相手の本能を掻き立てる香りを発する。人間に逆らうことは出来ないだろう。」
「…それが何故?」
「最近は制御できているという話だったんだが…何かに刺激されたとかか?…エイダン、部屋に行った時フィンコック様の様子はどうだった?」
「うっ…いや…その…。」
「なんだ?ハッキリしないな。」
言えない。
俺が部屋に突撃した時に二人はもう既に…致していたなんて…。
ん゛…確か兄さんに何か言われた…あれ…なんだっけ…。
俺の婚約者…裸…の前に言われた…尻尾を握っていた時になんか…○○○○帯だからって言われたよな?
なんだっけ…○○○○帯?○○○○帯…せいかん帯…せいかん帯?性感帯…性感帯…そう性感帯だっ。
思い出せたぁ、はぁ~すっきり…ふぅ。
………。
え?性感帯って…。
俺かなり尻尾触ってたよな…強めに引っ張ったりと…俺がっ…。
俺か?
「俺の所為かも…」
「なんだと?」
「いや…フィンコック様に尻尾と耳があって…触れてしまいました。」
「耳と尻尾ぐらいなら…だめなのか?」
「獣人の方にはせい…弱い部分らしく、俺は知らずに本物なのか確認するために強めに色々と…。」
「それで刺激されたと?」
「多分…はい…」
「そうか…フィンコック様の…が落ち着くまでエドバルドの部屋には近付かないようにする事。」
「「はい」」
まだ…その…なのかと思うとこちらが気恥ずかしい。
婚約者として甘い時間だけでなく、まったりしているだけなのかもしれないが深く考えてはいけないと頭を振るもフィンコック様の姿が瞼に浮かぶ。
兄の婚約者になんて失態を…。
静かに二人を待った。
食事の準備が整い、使用人が二人に呼び掛けにいくことに。
何も言わないが、もう終わったのかな?と要らぬ心配をしていた。
ばたばたばた。
普段の伯爵家の使用人とは思えないほ程の様子で、廊下を走る足音が聞こえた。
騒音に自然と扉の向こうへ視線が集まり、使用人が注目される中現れた。
「旦那様…エドバルド様のお部屋の前が…」
「なんだっ」
「分かりません…その…何がなんだか…」
非常事態にも関わらず何が言いたいのかわからない使用人の言葉に、父さんは慌て兄さんの部屋を目指した。
現れた使用人は新人ではないので多少の事が起きても動じないと思っていたが、許容範囲を越えた何かが伯爵家で起きていることが伺えた。
父さんだけでなく俺も母さんもエヴァンも続いた。
兄さんの部屋の前では二人の使用人が数名の使用人に押さえられていた。
まさか侵入者?フィンコック様を狙ってか?
「どういう状況だ?」
「…それが…」
なんだよ?早く言えよっ。
埒が明かず取り押さえられている人間を確認すると、俺が考えているような状態とは違った。
武器を所持し憎悪だったり険悪な表情を剥き出しにしているのかと想像したが、そこにいた人物は頬が紅潮し締まりのない顔で身体を捩っていた。
理解に苦しむ状況で不穏な空気の中、取り押さえられている人物は周囲の目もきにせず喘ぎ出した。
「まさか…フェロモン…」
「えっ?」
父さんは何かを知っているようだった。
フェロモンってなんだ?
「その二人は使用人部屋に隔離、他の使用人もエドバルドの部屋付近に近寄らないように。」
「「「はい」」」
「父さん…兄さんは…」
「話しは後だ。まずこの場を離れる。」
父さんの様子にただならない異常事態を感じる。
兄さん達は大丈夫なんだろうか?
後ろ髪を引かれながら談話室に向かった。
誰も何も言わず父さんの指示に従い、早足で談話室へと戻る。
部屋に入り落ち着いてから話すつもりなんだろうが、心中穏やかではいられなかった。
「父さん…」
「あぁ、皆落ち着いて聞いてくれ。」
「「「はぃ…。」」」
「フィンコック様が獣人だと話したな?獣人については解明されていないというか何が分かっていないのかもわからない状態だ。」
「はぃ」
「獣人について学園に入学した時に学ぶ事が多いだろうが、百年も前の情報だ充分ではないし正確でもない。その中で今日のフィンコック様の状態はフェロモンの暴走によるものだと考えられる。」
「…フェロモン?」
「獣人は求愛行動だったり生存本能から相手の本能を掻き立てる香りを発する。人間に逆らうことは出来ないだろう。」
「…それが何故?」
「最近は制御できているという話だったんだが…何かに刺激されたとかか?…エイダン、部屋に行った時フィンコック様の様子はどうだった?」
「うっ…いや…その…。」
「なんだ?ハッキリしないな。」
言えない。
俺が部屋に突撃した時に二人はもう既に…致していたなんて…。
ん゛…確か兄さんに何か言われた…あれ…なんだっけ…。
俺の婚約者…裸…の前に言われた…尻尾を握っていた時になんか…○○○○帯だからって言われたよな?
なんだっけ…○○○○帯?○○○○帯…せいかん帯…せいかん帯?性感帯…性感帯…そう性感帯だっ。
思い出せたぁ、はぁ~すっきり…ふぅ。
………。
え?性感帯って…。
俺かなり尻尾触ってたよな…強めに引っ張ったりと…俺がっ…。
俺か?
「俺の所為かも…」
「なんだと?」
「いや…フィンコック様に尻尾と耳があって…触れてしまいました。」
「耳と尻尾ぐらいなら…だめなのか?」
「獣人の方にはせい…弱い部分らしく、俺は知らずに本物なのか確認するために強めに色々と…。」
「それで刺激されたと?」
「多分…はい…」
「そうか…フィンコック様の…が落ち着くまでエドバルドの部屋には近付かないようにする事。」
「「はい」」
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