232 / 414
二章 ハーレムルート
あぁ、俺の所為だ エイダン グレモンド
しおりを挟む
兄さん達が部屋に籠り数時間。
まだ…その…なのかと思うとこちらが気恥ずかしい。
婚約者として甘い時間だけでなく、まったりしているだけなのかもしれないが深く考えてはいけないと頭を振るもフィンコック様の姿が瞼に浮かぶ。
兄の婚約者になんて失態を…。
静かに二人を待った。
食事の準備が整い、使用人が二人に呼び掛けにいくことに。
何も言わないが、もう終わったのかな?と要らぬ心配をしていた。
ばたばたばた。
普段の伯爵家の使用人とは思えないほ程の様子で、廊下を走る足音が聞こえた。
騒音に自然と扉の向こうへ視線が集まり、使用人が注目される中現れた。
「旦那様…エドバルド様のお部屋の前が…」
「なんだっ」
「分かりません…その…何がなんだか…」
非常事態にも関わらず何が言いたいのかわからない使用人の言葉に、父さんは慌て兄さんの部屋を目指した。
現れた使用人は新人ではないので多少の事が起きても動じないと思っていたが、許容範囲を越えた何かが伯爵家で起きていることが伺えた。
父さんだけでなく俺も母さんもエヴァンも続いた。
兄さんの部屋の前では二人の使用人が数名の使用人に押さえられていた。
まさか侵入者?フィンコック様を狙ってか?
「どういう状況だ?」
「…それが…」
なんだよ?早く言えよっ。
埒が明かず取り押さえられている人間を確認すると、俺が考えているような状態とは違った。
武器を所持し憎悪だったり険悪な表情を剥き出しにしているのかと想像したが、そこにいた人物は頬が紅潮し締まりのない顔で身体を捩っていた。
理解に苦しむ状況で不穏な空気の中、取り押さえられている人物は周囲の目もきにせず喘ぎ出した。
「まさか…フェロモン…」
「えっ?」
父さんは何かを知っているようだった。
フェロモンってなんだ?
「その二人は使用人部屋に隔離、他の使用人もエドバルドの部屋付近に近寄らないように。」
「「「はい」」」
「父さん…兄さんは…」
「話しは後だ。まずこの場を離れる。」
父さんの様子にただならない異常事態を感じる。
兄さん達は大丈夫なんだろうか?
後ろ髪を引かれながら談話室に向かった。
誰も何も言わず父さんの指示に従い、早足で談話室へと戻る。
部屋に入り落ち着いてから話すつもりなんだろうが、心中穏やかではいられなかった。
「父さん…」
「あぁ、皆落ち着いて聞いてくれ。」
「「「はぃ…。」」」
「フィンコック様が獣人だと話したな?獣人については解明されていないというか何が分かっていないのかもわからない状態だ。」
「はぃ」
「獣人について学園に入学した時に学ぶ事が多いだろうが、百年も前の情報だ充分ではないし正確でもない。その中で今日のフィンコック様の状態はフェロモンの暴走によるものだと考えられる。」
「…フェロモン?」
「獣人は求愛行動だったり生存本能から相手の本能を掻き立てる香りを発する。人間に逆らうことは出来ないだろう。」
「…それが何故?」
「最近は制御できているという話だったんだが…何かに刺激されたとかか?…エイダン、部屋に行った時フィンコック様の様子はどうだった?」
「うっ…いや…その…。」
「なんだ?ハッキリしないな。」
言えない。
俺が部屋に突撃した時に二人はもう既に…致していたなんて…。
ん゛…確か兄さんに何か言われた…あれ…なんだっけ…。
俺の婚約者…裸…の前に言われた…尻尾を握っていた時になんか…○○○○帯だからって言われたよな?
なんだっけ…○○○○帯?○○○○帯…せいかん帯…せいかん帯?性感帯…性感帯…そう性感帯だっ。
思い出せたぁ、はぁ~すっきり…ふぅ。
………。
え?性感帯って…。
俺かなり尻尾触ってたよな…強めに引っ張ったりと…俺がっ…。
俺か?
「俺の所為かも…」
「なんだと?」
「いや…フィンコック様に尻尾と耳があって…触れてしまいました。」
「耳と尻尾ぐらいなら…だめなのか?」
「獣人の方にはせい…弱い部分らしく、俺は知らずに本物なのか確認するために強めに色々と…。」
「それで刺激されたと?」
「多分…はい…」
「そうか…フィンコック様の…が落ち着くまでエドバルドの部屋には近付かないようにする事。」
「「はい」」
まだ…その…なのかと思うとこちらが気恥ずかしい。
婚約者として甘い時間だけでなく、まったりしているだけなのかもしれないが深く考えてはいけないと頭を振るもフィンコック様の姿が瞼に浮かぶ。
兄の婚約者になんて失態を…。
静かに二人を待った。
食事の準備が整い、使用人が二人に呼び掛けにいくことに。
何も言わないが、もう終わったのかな?と要らぬ心配をしていた。
ばたばたばた。
普段の伯爵家の使用人とは思えないほ程の様子で、廊下を走る足音が聞こえた。
騒音に自然と扉の向こうへ視線が集まり、使用人が注目される中現れた。
「旦那様…エドバルド様のお部屋の前が…」
「なんだっ」
「分かりません…その…何がなんだか…」
非常事態にも関わらず何が言いたいのかわからない使用人の言葉に、父さんは慌て兄さんの部屋を目指した。
現れた使用人は新人ではないので多少の事が起きても動じないと思っていたが、許容範囲を越えた何かが伯爵家で起きていることが伺えた。
父さんだけでなく俺も母さんもエヴァンも続いた。
兄さんの部屋の前では二人の使用人が数名の使用人に押さえられていた。
まさか侵入者?フィンコック様を狙ってか?
「どういう状況だ?」
「…それが…」
なんだよ?早く言えよっ。
埒が明かず取り押さえられている人間を確認すると、俺が考えているような状態とは違った。
武器を所持し憎悪だったり険悪な表情を剥き出しにしているのかと想像したが、そこにいた人物は頬が紅潮し締まりのない顔で身体を捩っていた。
理解に苦しむ状況で不穏な空気の中、取り押さえられている人物は周囲の目もきにせず喘ぎ出した。
「まさか…フェロモン…」
「えっ?」
父さんは何かを知っているようだった。
フェロモンってなんだ?
「その二人は使用人部屋に隔離、他の使用人もエドバルドの部屋付近に近寄らないように。」
「「「はい」」」
「父さん…兄さんは…」
「話しは後だ。まずこの場を離れる。」
父さんの様子にただならない異常事態を感じる。
兄さん達は大丈夫なんだろうか?
後ろ髪を引かれながら談話室に向かった。
誰も何も言わず父さんの指示に従い、早足で談話室へと戻る。
部屋に入り落ち着いてから話すつもりなんだろうが、心中穏やかではいられなかった。
「父さん…」
「あぁ、皆落ち着いて聞いてくれ。」
「「「はぃ…。」」」
「フィンコック様が獣人だと話したな?獣人については解明されていないというか何が分かっていないのかもわからない状態だ。」
「はぃ」
「獣人について学園に入学した時に学ぶ事が多いだろうが、百年も前の情報だ充分ではないし正確でもない。その中で今日のフィンコック様の状態はフェロモンの暴走によるものだと考えられる。」
「…フェロモン?」
「獣人は求愛行動だったり生存本能から相手の本能を掻き立てる香りを発する。人間に逆らうことは出来ないだろう。」
「…それが何故?」
「最近は制御できているという話だったんだが…何かに刺激されたとかか?…エイダン、部屋に行った時フィンコック様の様子はどうだった?」
「うっ…いや…その…。」
「なんだ?ハッキリしないな。」
言えない。
俺が部屋に突撃した時に二人はもう既に…致していたなんて…。
ん゛…確か兄さんに何か言われた…あれ…なんだっけ…。
俺の婚約者…裸…の前に言われた…尻尾を握っていた時になんか…○○○○帯だからって言われたよな?
なんだっけ…○○○○帯?○○○○帯…せいかん帯…せいかん帯?性感帯…性感帯…そう性感帯だっ。
思い出せたぁ、はぁ~すっきり…ふぅ。
………。
え?性感帯って…。
俺かなり尻尾触ってたよな…強めに引っ張ったりと…俺がっ…。
俺か?
「俺の所為かも…」
「なんだと?」
「いや…フィンコック様に尻尾と耳があって…触れてしまいました。」
「耳と尻尾ぐらいなら…だめなのか?」
「獣人の方にはせい…弱い部分らしく、俺は知らずに本物なのか確認するために強めに色々と…。」
「それで刺激されたと?」
「多分…はい…」
「そうか…フィンコック様の…が落ち着くまでエドバルドの部屋には近付かないようにする事。」
「「はい」」
22
お気に入りに追加
2,877
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる