【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

二章 ハーレムルート

神殿

この世界では、生まれ赤ちゃんは神殿で祝福を授かることが習わしだった。
その話を聞いて僕もアドルフを連れてライと行くものだと思っていたが、早すぎる出産と僕の獣人ではないかという噂を拭えないまま神殿に出入りするのは危険ではと意見があり話し合いの結果、僕とライ抜きでアドルフの祝福を授かることが一番だと判断された。
僕は持ち前のワガママを発揮し「一緒に行きます」と宣言したが、お義父様にそれで危険が少しでも避けられるならフィンコック様には別行動を願いたいと言われてしまった。
ライの家族に嫌われたくないのとアドルフの側にいたい僕は葛藤の末、頷くしかなかった。

初めての子供で出来るなら何でも僕も一緒が良かった。

全ての成長を共にしたかったが、僕のワガママでアドルフを危険にしたくない。
なので、僕が婚約者達の家族に挨拶している期間に別行動でアドルフは神殿に祝福をもらうことになった。
念のためアドルフは乳母の子供と言うことで祝福を授かる。
表向きはお父様とお母様そしてライのお義父様とお義母様が僕達の子供を授かる魔法液を頂く為、事前予約で神殿に訪れたということになっていた。
世間的には僕に子供は居らず、アドルフの存在は隠されている。
貴族は産まれた時に周囲に紹介するためにパーティーを開き、直ぐに出生届を提出するが平民では届けを提出するのは裕福な家庭以外出すことはない。
そもそも識字率が高くないので提出できないのもある。
領主も働くことの出来る大人は管理しても、子供の数までは把握していなかった。
なので大人になった平民、もしくは貴族に見初められた平民だけが書類に乗る。
貴族の間でも何らかの理由がある時に、出生届を提出しない場合がある。
アドルフの場合は時期を見て提出はするが、今ではないと判断された。
それでも、祝福は直ぐにでも授けたかったのでシャルマンと別行動させることで目眩ましが出来るのではと考えたと話してくれた。
皆がアドルフの事を考えてくれていたのに、僕がワガママ発言した事が申し訳なくなった。
側にいるだけがアドルフの為ではない、僕と別行動することで守れることもあると知った。
僕が獣人になってしまった為に、アドルフを危険な目に合わせてしまう。
常に一緒にいたいなんてワガママを言っちゃいけなかった。
祝福には立ち会えないけど、アドルフの人生が素晴らしいものであるように遠くから僕も祈った。