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二章 ハーレムルート

危険猫ドラッグ

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裸でライの腕の中にいると、昼食の準備が整ったと声をかけられた。

服は~と探すが談話室で猫化した為に僕の服はここにはなくライの服を借りて食堂に向かい、既にワイアット様が先に席についていた。
食事は和やかに進み先程よりかは緊張感はなかった。

その後猫の僕を気に入ってくれたのか猫としてお母様に可愛がってもらい、ライの家族に受け入れられた…のかな?

だけど、まだワイアット様は…どうなんだろう。

猫の姿でライの部屋に戻りライの膝の上で仰向けで手にじゃれ両手で抱えてライの指を舐めた。

「いつまで猫なんだよぉ。」

「んにゃ?…んっにゃあ?」

するりとライの手が消え、抱えていた温もりがなくなったと思ったら身体を抱えられ僕のお腹にライが埋もれた。
どうしたのか動かず様子を確認すると、僕のお腹でスーハーしてる。

「にゃっにゃにゃ?」
(にゃにしてるにょ?)

スーハースーハー

ライ?
ポンポンと頭を叩いてもライのスーハーは続き、ライがその気なら僕もライの頭の匂いをクンクンと嗅いだ。
お互い匂いを嗅ぎあった。

「にゃん?」

ライが離れていくので、強制的に嗅ぎ合いっこは終わった。

「エッチするか?」

「にゃん」

するする。
今から戻るから待ってね。

ポン

裸でライの膝に寝転がっており、抱えられるように唇を重ねエッチを期待していた。

こんこんこん

「んにゃっ」

誰?
今から良いところなのにっ。

「兄さん…僕です。」

ワイアット様だった。
見つめあい、どうするべきか沈黙が流れた。

「あぁ、少し待ってくれ。」

「にゃぁん」

…エッチはお預けになってしまった。

今回服はライがちゃんと回収してくれていたのですぐに服を着て、ワイアット様を迎え入れた。

ワイアット様はクッキーを手に視線を彷徨わせていた。

「わっ、美味しそう。」

ライに隠れるように立っていた僕はひょこっと顔を出した。
クッキーは出来たてで、とても良い香りが鼻腔を擽る。

「…中に」

ライは一拍置いてからワイアット様を招いた。

僕の思考は美味しそうなクッキーを早く食べたいという欲望に支配され、ライの手を引っ張りながら急いでソファを目指した。
当然のように僕の隣にはライがいて、足や肩が振れるほどの距離に居り手を繋がなくてもライの存在を感じていた。
僕の視線はクッキーに釘付けで、後から来た使用人に紅茶を頂いた。

「どうぞ。」

「んふふ、ありがとぅございます。」

一つ手に取り口にすると、とても甘くて美味しかった。
公爵家とは違うクッキーで大人な香りと味だった。

「ライも食べる?はい。」

以前ペア継続となった時に食べさせあいをしたので、深く考えること無く自然にしてしまった。
貴族がするような行為ではないので、目の前にいたワイアット様が硬直していた事で自分の失態に気付いた。

気付いた頃にはライの口にクッキーは消えていた。

「ぁっ…はした…ない…ですね…」

しゅんと落ち込んでしまった。

「あっ、いえ…そうではないんです。兄さんに驚いただけです。」

僕の行為というより受け入れたライに驚いたようだった。

「俺?」

ライもなぜ自分なのか疑問だったらしい。

「そういう行為をするとは…。」

相手に食べさせるというのは貴族ではしない行為で、ライみたいな人は甘える行為は拒絶しがちなのかも…。
家族でもあまり目にしない行為と言うことは、僕が無理矢理させちゃったかな?

「あぁ、シャルだからな。」

「僕だから?」

「そっ、シャルだから。他の奴とはしねぇよ。」

僕…特別?

「んふふ、食べる?」

「あぁ」

僕はライの特別?その事実に嬉しくなった。

「はい……ぁんっもぅ、ライィ」

もう一つ可愛らしいクッキーを手に取りライの口元に差し出したが、僕の指ごと食べられてしまった。
洒落合う仕草がまさにバカップルのような行動で、それを見せられているワイアット様の気持ちを考えていなかった。

ちゅっ

「んふふ」

ライの唇の端にキスをして、イチャイチャを続けていた。

「んっん゛ん」

「へ?ぁっ…ごめんなしゃい。」

ワイアット様の咳払いで、またやってしまった事に気付いた。
二人きりじゃないのに、エッチな雰囲気を…。

「なんだ?」

やらかしてしまった僕の代わりにライが空気を変えてくれた。

「フィンコック様にお尋ねしたいことが…」

「なっなんでしょっうか?」

失態から動揺して、うまく話せなくなっていた。

「フィンコック様は公爵家で、獣人です。王族に嫁ぐことも出来たのでは?」

真剣な目で尋ねてくるワイアット様だが、その質問は過去の僕を知っての事なのかなと思うと動揺してしまう。

「ぼっ僕はライが好きです。ライと結婚します、絶対します。」

気持ちを試されているようで怖かった。

「…そう…なんですね…気を悪くさせてしまって申し訳ありません。貴族であれば爵位の高い人と結婚したがるのではと考えいました。」

…僕を知っての事ではなく、貴族的な考えからの質問だったのかな?
つい声を荒げて反論してしまったのをちょっぴり反省した。

「…あっいえ…そうですよね…。多分、以前の僕もそうだったんだと思います。だけど、今の僕は爵位より好きな人と一緒にいたいんです。ライを離したくありません。」

少し冷静になり僕の考えを伝えた。

「……そんな方もいらっしゃるんですね。」

「ん?いると思いますよ?」

「………」

なんだろう?
何かあったのかな?

「ふっ紅茶のお代わり貰ってくるから、二人で話してろよ。」

ライは気を使って僕達二人きりにしてくれた。

「えっと…何か有ったんですか?」

「いえ、大抵の人は爵位で判断するので今の立場から下の爵位の人間との婚約はしたがらないものと勝手に決めつけていました。」

「お家の都合で仕方がない方もいらっしゃると思いますが、本人の気持ちを優先してくださる家門も多くいると思いますよ?」

「フィンコック様は公爵家です、公爵家の中でも上位です。そんな方が伯爵家しかも辺境ですよ?躊躇いなどは無かったんですか?」

「ライと離れる方が嫌です。側にいることが出来るなら爵位なんて関係ありません。」

「社交パーティーやお茶会も、なかなか参加出来なくなりますよ?」

「両方とも苦手なので…。」

「公爵家の方でも?」

「あっはい…。」

あんまり…沢山人がいるところは…お祭りは好きだけどパーティーとかは…苦手かな。

「珍しいですね。爵位が高ければ周囲なんて気にならないのでは?」

「気になります…気になって気になって…僕は目立つのはあまり…苦手です。」

「そうなん…ですか…。」

「はい。」

そうなんです。
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