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二章 ハーレムルート
僕はライが好きです
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服を整え、隣の部屋のアドルフの様子を見に行った。
僕よりも先に目覚めていたアドルフは、乳母の腕の中で窓から見える景色を眺めていた。
アドルフは乳母が抱いたまま、僕達は談話室に向かった。
何事もないように歩いているけど、僕は今ずっとライに胸を揉ま…マッサージを受けている。
後ろからついてくる乳母やアドルフそれに騎士にはその事に気付かれていないとは思いたい…。
ライはアドルフの為にも僕の母乳か早く出るようにっていう優しさからだと思う。
多分皆にも僕の腰に腕を回しているくらいにしか見えてないはず…そうであって欲しい。
ライの手を剥がすことはしないけど、隠すように胸の前で手を重ねていた。
悪戯されてるように胸の先端を摘ままれるけど、ライはアドルフの…僕のためにしてくれているんだと言い聞かせた。
些細な時間を見つけて態々マッサージしてくれてるんだ、疑っちゃだめ…。
談話室の扉の前に到着するとライの手が離れていく。恥ずかしいと感じていたはずだったのに無くなると寂しく思っている僕は本当に自分勝手でワガママだと実感する。
胸にあった手は僕の肩に移動し扉が開き部屋へ入れば視界にはライのご両親と見知らぬ人の背中があった。
振り向く彼はライの弟だとすぐにわかった。
髪色も瞳もライと同じ、違うところはライより背は低く体格も華奢に見えることくらい。
華奢と言っても僕と比べては失礼に当たる逞しさだけど。
抱く側の人の中では華奢という意味で、雰囲気からして彼も抱く側なんだと思う。
それに彼はまだ学園に入学していないのだから、僕よりも三つ下の十四歳だと思う。
十四歳の子に身長を抜かれている事実は素直に悔しい。
同じくらいだと思っていたのに、近付くと彼の目線は僕よりも高い。
日本人の時より背が高くなったのに、この世界では小さい方に分類されている。
体格差のあるBLものは好きだけど…大きくなれるんだったら大きい人になりたかった。
こうスラッとしている感じの愛される側になりたかったな…。
そつなくこなす人で弱みを見せない完璧な人が、恋人の前だけには甘く蕩けてしまう…そんな人になりたかった。
…元が僕だから無理か…。
「……………………………………ット サンチェスターです」
あっ、考え事してたら聞きそびれちゃった。
きっと名前を言ってくれたんだよね?
確か、ライがワイアット様と言っていた…よね?
「ぼ…ぼ…僕はシャルマン フィンコックと申します。ライ…アン様の婚約者となりました。挨拶が遅くなりましたが、よろしくお願い致します。」
「…ん?フィンコック…様…公爵家のフィンコック様?」
「ぁっはぃ…」
ぁ…もしかしてシャルマンの悪い噂でも聞いちゃってるのかな?
過去の僕って、王子の婚約者の座を狙ってたんだっけ?
やっぱり、そういう噂って学園にいなくても広まっちゃうものだよね…。
「公爵家の方が伯爵家に嫁ぐのですか?」
「…だっ…だめ…ですか?」
僕みたいな我が儘公爵家は身内として反対だよね…。
僕もぅ嫌われちゃってる…。
「いやっ、だめというか…」
なんだか気まずい雰囲気になってしまった。
「んぎゃっんぎゃぁっんっきゃぁあ゛」
今まで乳母の腕の中で大人しかったアドルフが、僕の不安が移ってしまったように泣き出してしまった。
「あっ、アドルフ?大丈夫だよぉ。」
乳母に近寄り泣き笑いのような変な顔でアドルフのあやしたが、そんな顔では余計アドルフを泣かせてしまった。
「俺が。」
ライがアドルフを抱き上げあやすと、アドルフは次第に落ち着き始め僕よりもちゃんとライの方が親ができていた…。
「……その子供は…」
ワイアット様は確認するように尋ねていた。
なんとなく答えは予測できていたが、聞かずにはいられないそんな様子に見える。
「俺の子だ。」
「………」
ライの返事にワイアット様は複雑な表情で沈黙していた。
大切な家族を赤ちゃんを人質に繋ぎ止められていると思われたのかも…。
出来ちゃった結婚…婚約って思われてるのかな?
僕よりも先に目覚めていたアドルフは、乳母の腕の中で窓から見える景色を眺めていた。
アドルフは乳母が抱いたまま、僕達は談話室に向かった。
何事もないように歩いているけど、僕は今ずっとライに胸を揉ま…マッサージを受けている。
後ろからついてくる乳母やアドルフそれに騎士にはその事に気付かれていないとは思いたい…。
ライはアドルフの為にも僕の母乳か早く出るようにっていう優しさからだと思う。
多分皆にも僕の腰に腕を回しているくらいにしか見えてないはず…そうであって欲しい。
ライの手を剥がすことはしないけど、隠すように胸の前で手を重ねていた。
悪戯されてるように胸の先端を摘ままれるけど、ライはアドルフの…僕のためにしてくれているんだと言い聞かせた。
些細な時間を見つけて態々マッサージしてくれてるんだ、疑っちゃだめ…。
談話室の扉の前に到着するとライの手が離れていく。恥ずかしいと感じていたはずだったのに無くなると寂しく思っている僕は本当に自分勝手でワガママだと実感する。
胸にあった手は僕の肩に移動し扉が開き部屋へ入れば視界にはライのご両親と見知らぬ人の背中があった。
振り向く彼はライの弟だとすぐにわかった。
髪色も瞳もライと同じ、違うところはライより背は低く体格も華奢に見えることくらい。
華奢と言っても僕と比べては失礼に当たる逞しさだけど。
抱く側の人の中では華奢という意味で、雰囲気からして彼も抱く側なんだと思う。
それに彼はまだ学園に入学していないのだから、僕よりも三つ下の十四歳だと思う。
十四歳の子に身長を抜かれている事実は素直に悔しい。
同じくらいだと思っていたのに、近付くと彼の目線は僕よりも高い。
日本人の時より背が高くなったのに、この世界では小さい方に分類されている。
体格差のあるBLものは好きだけど…大きくなれるんだったら大きい人になりたかった。
こうスラッとしている感じの愛される側になりたかったな…。
そつなくこなす人で弱みを見せない完璧な人が、恋人の前だけには甘く蕩けてしまう…そんな人になりたかった。
…元が僕だから無理か…。
「……………………………………ット サンチェスターです」
あっ、考え事してたら聞きそびれちゃった。
きっと名前を言ってくれたんだよね?
確か、ライがワイアット様と言っていた…よね?
「ぼ…ぼ…僕はシャルマン フィンコックと申します。ライ…アン様の婚約者となりました。挨拶が遅くなりましたが、よろしくお願い致します。」
「…ん?フィンコック…様…公爵家のフィンコック様?」
「ぁっはぃ…」
ぁ…もしかしてシャルマンの悪い噂でも聞いちゃってるのかな?
過去の僕って、王子の婚約者の座を狙ってたんだっけ?
やっぱり、そういう噂って学園にいなくても広まっちゃうものだよね…。
「公爵家の方が伯爵家に嫁ぐのですか?」
「…だっ…だめ…ですか?」
僕みたいな我が儘公爵家は身内として反対だよね…。
僕もぅ嫌われちゃってる…。
「いやっ、だめというか…」
なんだか気まずい雰囲気になってしまった。
「んぎゃっんぎゃぁっんっきゃぁあ゛」
今まで乳母の腕の中で大人しかったアドルフが、僕の不安が移ってしまったように泣き出してしまった。
「あっ、アドルフ?大丈夫だよぉ。」
乳母に近寄り泣き笑いのような変な顔でアドルフのあやしたが、そんな顔では余計アドルフを泣かせてしまった。
「俺が。」
ライがアドルフを抱き上げあやすと、アドルフは次第に落ち着き始め僕よりもちゃんとライの方が親ができていた…。
「……その子供は…」
ワイアット様は確認するように尋ねていた。
なんとなく答えは予測できていたが、聞かずにはいられないそんな様子に見える。
「俺の子だ。」
「………」
ライの返事にワイアット様は複雑な表情で沈黙していた。
大切な家族を赤ちゃんを人質に繋ぎ止められていると思われたのかも…。
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