【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

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二章 ハーレムルート

久しぶりの食堂

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お互い無言のまま洗浄魔法がされた。

バスローブで拭いながらエドと抱き合いながらふと頭によぎる。
僕達のエッチの授業は子供が出来やすくだったり、お互いの身体の相性を探るため。
それに魔道具がなければ妊娠は出来ないのに、洗浄魔法で綺麗にするなんて…。

僕は獣人になっちゃって子供が出来やすいから洗浄魔法しないといけないんだけどさっ…やっぱり…。

「エド…お腹…淋しい…。」

沢山あったのが今は空…。

「………」

エドからの返事はないが力強く抱き締められた。

僕ってこんなにさみしがり屋だったのかな?

こっちの世界に来てから弱くなってしまったのかも…。
皆に甘やかされて…けど、僕は異世界人でどこか繋がりを欲しているのかもしれない。

僕の家族が欲しいのかもしれない…。

「大丈夫だ、ルマンが望めばいつでもくれてやる。俺の全てがお前のだ。」

「…ん……んぁっ」

そういいながらエドにお尻を綺麗にされてしまった。
バスローブから服に着替えて二人で食堂に…。

「エド?」

「ん?」

「僕…服が…」

「…ぁっ、猫の姿で来たんだっけか。俺の服でいいか?」

「ぅん」

大きいエドの服を借り、エドの香りに包まれると安心する。

「匂うか?」

「え?」

「匂い嗅いでるから。」

「ふふ。エドに抱きしめられてるみたいで安心するの。」

「………」

「わっ」

突然エドに抱き締められた。

「エド?どうしたの?」

エドは無言のままだったので僕も抱き締め返した。
何か不安にさせてしまったのかな?と思い背中を擦った。
「大丈夫だよ?」と落ち着かせるように。

「エド?大丈夫だよ?僕が側にいるよ?」

「…あぁ」

エドが落ち着いたので二人で食堂に向かった。

食堂までの道のり多くの人に振り向かれ道を開けられる。
すれ違う人の表情が皆、目を見開いて僕を凝視していた。

僕っていつぶりの学園になるんだっけ?

最後は…始業式だっ。
僕、始業式からずっと休んでるんだ。
もう何ヵ月だろう…。

僕のことなんて忘れていた所に急に戻ってきたりしたら、皆驚くよね。
なんとなくエドの大きな身体に隠れながら歩いてしまった僕は卑怯者だ。
食堂の入り口でなんとなく踏みとどまってしまい、一歩が難しかった。

数カ月ぶりの大勢がいる場所は緊張する。

誰も僕なんて気にしてないだろうけど怖くて、エドの服を握りしめていた。

「ルマン、大丈夫だ俺がいる。」

「…んっ」

顎を取られキスしていた。
食堂の入り口付近で僕はエドから勇気を貰った。

「おいっ」

知っている声が響いた。

「おぉ…ライアンか…」

「シャル」

「ライ?おはっん…」

ライの姿を見つけ挨拶の途中でライとの距離が無くなり唇が触れていた。
キスに流されてしまい、僕の中に燻っていた不安が全て消えていた。

やっぱりライは凄い。

「三人で何してるんだ?」

後方からリックも現れた。

「リック?」

「おはよう」

「おはよっんっ」

またしても挨拶の途中でしっかりと唇を塞がれてしまった。
皆、挨拶最後までさせて。

「ずっとここにいても仕方がない…朝飯食べようぜ。」

「あぁ」

エドとライの言葉で僕達四人は漸く食堂に入った。
扉は塞いではいなかったが、誰も通らず僕達を眺めていたらしい。
恥ずかしくも注目は浴びていたが、皆が守ってくれているのが伝わる。

「席はここでいいか、シャルここで待ってろ俺が二人分持ってくる。」

「僕平気だよ?」

「席取っておいてくれ。」

「ぁっそっか、わかった」

ライが僕の分を持ってきてくれる代わりに、僕はライの席を確保しなきゃだよね。

「…なら、俺がフレデリックの分持ってくるからルマンの事頼むぞ。」

「あぁ」

ライとエドが食事を取りに行き、僕とリックが席の確保を任された。

「シャルマン?」

「なに?」

「この服…エドバルドのだよね?」

「…ぅん、借りたの。」

どうしたの?

「ふぅん」

なんか神妙な面持ちで…。

「………」

これってどう反応すればいいの?

「今日は俺の服着てね?」

「…リックの?うんっふふ」

潔癖っぽいリックが服を貸してくれるなんて嬉しい。

「どうした?」

「リックと過ごせるの楽しみだなぁって。」

「そうっ?」

「うん」

「放課後迎えに行くから教室で待ってて。」

「うん待ってる。」

「お待たせ。」

見上げるとライとエドが戻ってきた。

ライは僕の隣に座り目の前に座るリックの隣にエドが座った。
食堂で食べるの久しぶりでそれだけで楽しかった。
沢山の視線は感じたけど、皆がいると気にならない。
食堂にはいる前の不安を忘れ、和やかに食事を終え皆で食堂を後にした。

僕は制服に着替えたり授業の準備で久しぶりの自室に行った。
心配だと言い、皆が僕の部屋まで着いて来てくれた。

嬉しいけど、皆時間大丈夫なのかな?

着替えたり授業の準備しなきゃなのに…。
僕が急がなきゃだよね。
久しぶりの僕の部屋はなんだか他人の部屋みたいで少し違和感があった。

「シャルどうした?」

「ふぇっ…ぁっなんでもない。すぐに準備するね。」

僕は急いで着替え…なんだが凄く視線を感じ、振り向くと僕の着替えを凝視する三人の視線があった。

「なっ…あっち…皆あっち向いてて。」

危うく脱ぎそうだった服を戻し、皆が僕から視線を反らすのを待った。

「何度も裸見たんだ、着替えくらい良いだろ?」

「ライっだめ。あっち向いて。」

「あぁ、俺達だって朝から裸で抱き合ったろ?」

「エエエエエド静かに向こう向いて。」

「………」

「リックもお願いぃ。」

三人はなんとか僕とは逆の方を向いてくれた。
三人を何度も確認しながら僕は制服に着替えていく。

エドの服を脱いで僕は驚いた。

自分が下着を身に付けていないことを思い出した。
危なかった、三人に見られながら脱いでいたら恥ずかしいことになっていたに違いない。
三人にバレないように下着を身につけ制服を着た。

「はぁ…着替えたよ。」

服を着替えただけなのにちょっと疲れた。

僕が伝えると三人は振り向き僕の全身を確認した。
無言で見つめられるとなんだか怖い。
僕は皆の視線から視線から逃れるように授業の準備を終え鞄を持った。

「お待たせしました。」

「あぁ、じゃぁシャルは俺と一緒に来いよ。一人にさせられないからな。」

「なに言ってんだよ、俺の部屋に戻るよな?」

ライとエドが言い争いを始めてしまったので、助けを求めるようにリックを見た。

「今日は僕の番だから、僕の部屋に来るのがいいんじゃないかな?」

リックが一番冷静でいて、笑顔で二人を制した。

「「………」」

「シャルマン、僕の部屋に行こっ。」

リックに手を引かれ歩きだし、振り向くと二人は悔しそうな顔をしながら付いてきた。
納得はしてないが、リックの提案を飲んだみたい。

喧嘩しなくて良かった。
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