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二章 ハーレムルート

フレデリック バルデモア

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僕は反応しない奴だった。

誰にも…。
何が?
子孫を残すべきモノが。

それに気付いたのは初めてペアと行為に及んだ時だった。
緊張から来るものだろうと説明されたが二度ほど試し、すぐにペアが変わった。
次の相手は生徒に扮した、その行為専門の人だった。
思春期で悩みだすと更に反応しくなることもある為の学園の配慮らしい。
必ずとは言わないが学年に数人は同じ悩みを抱えている生徒がいると話してくれた。
いくら仲が良くてもライアンやエドバルトにもそんな話をしたことはなかった。
このまま行けば、僕はきっと旦那でありながら妻とその愛人を養うだけの働く人間になるのだろうと思っていた…。

あの日まで。

初めて僕のが反応した。
獣人となったフィンコックのフェロモンが暴走し、今まで感じたことのない興奮を経験した。
全身の血液が一点に集中していき、それは泣きそうになる程嬉しいことだった。
このままフィンコックを犯したい、孕ませたいという恐ろしい感情に支配されていき冷静さを失っていた。
恐ろしい考えにも関わらず興奮し昂っていく。
初めての体験に加減も分からずフィンコックを貪った。
フィンコックは僕の全てを受け入れ感じてくれた。
初めてで拙い僕の行為を「もっと」と求め腕を握られ唇を重ねた。

あのフィンコックが…。

高慢で高飛車で他人を見下すことしか出来ないと聞いた、あのフィンコックを僕が抱き、快感に善がっている。
愛おしそうに僕のを口にするフィンコックの姿を覚えている。
記憶は曖昧で断片的ではあったしなんと声をかけたかも覚えていないが、鮮明な箇所もあった。
腰を振れば振るほど高い声をあげ、フィンコックのモノからはピュッピュッと僕に合わせるように噴き出す。
キスを求める仕草や手にさえ愛おしく、口付けを贈りたくなる。

一度の関係でこんなにも心を持っていかれるなんて知らなかった。

初めてを経験した人が忘れられないと聞いたことがあった。
だが、皆一年生の頃にその思いと折り合いをつけていた。

僕は…出来るだろうか…。

獣人を甘く見ていた。
猫の姿のフィンコックは愛らしかったが、猫としてだった。
この感情は…どうなんだろうか…。

獣人のフェロモン…なんて恐ろしいんだ。

頭に有るのは「フィンコックがもっと欲しい」「もっとフィンコックの中に出したい」だった。

今まで辛かった分フィンコックに全てをぶつけてしまった。
嬉しいことに、フィンコックは「もっとぉ」と欲しがってくれた。
あの時はライアンとエドバルドも居た。
僕だけの言葉じゃないのは分かっているが、エッチで他人に求められるのがこんなにも嬉しいことだと教えてくれたのは確かだ。

獣人なら何人でも結婚出来る。
なら、僕とも結婚して欲しい。
僕には分かるんだ、フィンコック以外はきっと今でも反応しないと。
ライアンはわからないが、エッチ好きのエドバルトもあんなに興奮していた。
多分だがエドバルトも今後フィンコック以外と出来ないか、出来ても満足することはないだろう。
それだけ獣人とのエッチは魅力的で危険なものだった。

フィンコックの初対面の印象は噂通り…とは、少し違っていた。
誰彼構わず当たり散らすというよりは誰にも興味がないように見えた。

人と距離を置き目も会わせない…エッチの時は無反応…もしかしたら僕と同じなんじゃないかと考えたこともあった。

一年時の初めてペアで僕に問題があると分かった時から、僕が生徒とペアになることは無いのでフィンコックとのペアは無いと決まっていた。
どんなことがあろうとフィンコックとは関係を持つことがないと決まっていたのに、まさか僕の悩みを解決してくれたのがフィンコックだなんて…。

関わることがないだろうと避けることはないが近付くこともなかった。
クラスも離れていたし関わることなく三年が過ぎるだろうと…まさかフィンコックに救われるとは思わなかった。

もう僕は貴方の為ならなんでも出来ますと宣言しても良いくらいだった。
フィンコックの側にいることが出きるのであれば、貴方の奴隷でも構わない。
ライアンの婚約者であり、ギノフォード先生ともしている。

僕も立候補しても良いだろうか?

フィンコックの事を愛しても許されるだろうか…。
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