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二章 ハーレムルート

エドバルド グレモンド

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獣人になったフィンコックには驚いていた。

あの日は色々と驚かされっぱなしだった。
ライアンとフィンコックの婚約にも驚いていたが、王子も婚約したらしい。
その二組の話題で学園は大盛り上がりだった。

俺は一人フィンコックの婚約に少なからずショックを受けていた。

フィンコックは婚約したからか、昔の棘は一切なくライアンに夢中なのが分かる。
堂々と首に痕を付けていた…俺の前で。
フィンコックも恥ずかしいと言いながら喜んで「自分も付けたい」と…。
俺なんてフィンコックの事を様をつけずに呼び、嫌がる素振りは見せなかった事に今日から俺はフィンコックと呼べるようになったんだと喜んでいるくらいなのに…二人は…。

始業式の検査が行われるも獣人なんてなる奴いねぇだろ?と思っていた。
百年も現れてないのに期待するだけ無駄なのに、飽きることなく続けている始業式の恒例行事だと受け入れていた。
これさえなければもっと早く部屋に戻れんのになぁ。
当然ながら俺もライアンもフレデリックも反応はなかった。
Aクラスから始まりFクラスが終わるまでかなりの時間がある。

一人一人舞台に上がってやる意味有るのかね?
時間かかるだけだろ?
教室でやればいんじゃねぇの?もしくは、クラスごととか。

まだ終んねぇのか?
やっとDクラスまできた…あと二クラスかぁ。

ん?あれって王子の婚約者。
フィンコックはあいつをどう思ってんのかね?
後ろに居るであろうフィンコックを探した。
遠くてもすぐに見つかる、あの黒髪。
髪が黒いからか肌は白く頬もほんのり赤いように見えた。

やっぱ今でも少しは王子の婚約者に思うことがあんのかね?

いくらライアンとうまく行ってるからって、そう簡単に忘れらんねぇよな…。
その後もなんの反応を見せず、媚薬の検査で自白した男の順番だった。
可愛さのアピールなのか指を針で指されて「痛っ」と俺たちに聞こえるように声を上げていた。
こんな奴でも結構な人数が引っ掛かっているのが分かる。

そんなに良いかね?

俺はやっぱりフィンコックの方が…。
もうすぐフィンコックの番だなと目が離せなかった。
並んだ舞台上からライアンを見つけ浮かれているのが分かる、それはギノフォード先生に注意される程だった。
注意され遠目からでも見てとれる程落ち込んでいた。

犬みてぇな奴だな。

垂れた尻尾が見える。
その後大人しく検査を受けていたが、一瞬魔力の揺らぎが見えた直後フィンコックは倒れた。
何が起きたのか理解できずにいると、ライアンが飛び出していた。
フィンコックに制服をかけ隠しながら講堂から出ていったが、尻尾らしきものが見えたのは気の所為か?

俺以外にも気付き、フィンコックは獣人なのでは?と騒がれた。
獣人化したのか?と噂になるも「きっと王子を振り向かせたい悪あがきで自作自演したのでは」と言われていた。
ライアンと婚約したフィンコックがそんなことをするわけがないと理解はできても、獣人化することはないだろうと結論付けていた。

体調不良か?

朝はそんな素振りなかったのに…。
俺もあいつに会いたたくなった。
だが、俺の面会は許されなかった。
許されたのは婚約者であるライアンだけ。
ライアンにフィンコックの様子を聞くも歯切れが悪く「倒れて、目覚めない」としか言わなかった。
獣人化と関係有るのか尋ねても「今は分からない」しか言わなかった。

多分これは、本当なんだろう。

単なる体調不良か獣人化が影響しているのかはそんなすぐに結果ぎ出ることではないのだろう。

獣人化なんて起きるわけが…最後は百年前だぜ?いくらなんでもあり得ねぇ。

数日すればフィンコックに会えるはずと楽観的に考えていた。
だが、数週間経ってもフィンコックは授業に復帰してこない。
そうなってくると次第にフィンコックは本当に獣人化したのではないだろうか?と噂が広まるようになった。
その噂が確信に変わったのは、フィンコックとギノフォード先生の婚約だった。
重婚はあるが簡単に許されるものではなく、規定に定められた条件に該当するときのみである。
分かりやすいものは結婚し一年以内に子供が出きたかどうかだ。
大抵の貴族は書類などの提出はせず、簡単に愛人を作りいつでも捨てられるように重婚はしない。
それをギノフォード先生がしたと言うのはそう言うことなのだろうと結論付けた。

フィンコックは獣人だ。

フィンコックに逢いたくなった。
逢いたいのに中々復帰することも、面会も許されなかった。
ライアンは何日も欠席しているのは、フィンコックとずっと一緒にいるって事だろ?
悔しくて堪らなかった。
婚約者になれば俺もフィンコックにいつでも会えるのか?
会うのが許されるのは婚約者、婚約者になるためには会わなきゃいけない…。
俺にはどうすることも出来なかった。

そんな時にやっと逢えた。

久しぶりのフィンコックは猫だった。
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