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二章 ハーレムルート

これが本当の僕

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もう、どのくらいしたのかとか考えるのはやめた。

思い出せないくらい…気持ち良く抱きしめてくれる先生の腕も心地良い。
甘い香りのする先生にずっと傍にいて欲しい。
片時も離れたくない。
意識がハッキリしてくると、僕たちはベッドに…いなくてソファで毛布を掛けていた。
気が付くとお尻がスッキリしてる…。

空っぽは淋しい。

あんなに沢山して暖かくて愛されたって証だったのに…。
淋しさを埋めるように先生の身体に身を寄せ目を閉じた。

再び目覚めると僕は一人だった。
先生の姿はどこを探しても部屋には無かった。

「ふっふにゃぁ…ふにゃぁ…」

淋しさで押し潰されそうだった。
先生の温もりを探すも辺りには見当たらない。
僕は…一人ぼっち…。

怖いっ。

ガチャ

扉が開き、先生が現れた。

「にゃぁん」

パタパタと先生に駆け寄り抱きついた。

「どうしたんです?…淋しかったんですか?」

先生は優しく抱き止めてくれた。

「…一人…やだ…」

「…少しと思い離れてしまいました…次からは声を掛けるか書き置きを残しますね。」

「…んっ」

「まだ裸だったんですね、服を着ないと襲われますよ。」

「……ぃぃよっ。」

一人じゃないなら。

「…誘惑に負けそうです…私には授業が有りますから…。」

「せんせっ…僕より授業?」

あっ、私と仕事どっち発言しちゃった。
どうしてこんなこと言っちゃうんだろう?
一瞬でも一人になると急に怖くて不安になる。
心がおかしい。

「………まさかそんな質問されて、こんなにも悩む日がこようとは…。」

「…先生…ごめんなさい…授業に行って…。」

「そんな悲しい顔で言われると…。」

「僕…平気でっ…ぁむっんっはっんん。」

前屈みになった先生が嬉しい。
僕にキスする為の優しい先生を知る度に心が暖まる。

「フィンコック愛してます…全てを棄てて良いくらい…なのであまり誘惑しないでください。」

僕がエッチしたいって言ったら、先生は先生辞めちゃうの?
それぐらい僕の事を?
その言葉を聞けただけで充分です。

「ぅん、ごめんなさい…えへへ、先生もう一度キスして。」

僕の願いは叶えられた。

「さぁ、早く服を着てください。」

キスが終わると先生は何事もなかったように離れようとした。
そうだ、僕は裸だったんだ。
裸は恥ずかしくていち早く服を着たいんだけど、離れたら見えちゃう…どうしよう…。

「あっ先生。」

「ん?何ですか?」

「…ぼ、僕が「いい」って言うまで扉の方向いてて。」

「…ふふっ…わかりました。」

僕の言葉の意図が伝わったのか、先生が笑いを堪えられていないのが分かる。

「ん」

先生から離れ急いで服を…どこ?ソファの近くを探すもパンツが見当たらず、仕方なくズボンと上の服だけ着た。
布団もベッドの上に置くだけでぐちゃぐちゃのまま。

「も、もう大丈夫です。」

「はい」

先生は朝食の準備を進めた。
僕と先生の二人分。
先生が対面に用意していたのを隣になるように僕が移動した。
僕の行動で先生と目が合うも「うふふ」と笑って誤魔化し二人で食事をした。

その間、尻尾が先生を求めていた。

食事を終え片付けながら今日の予定を聞いた。
もうすぐAクラスから魔法の試験がある為に先生もライアン様も長居が出来ない…つまりエッチは当分お預けということ。

…昨日は我慢せずにしなさいって言ったばかりなのに…。

「ん?なんですかこれは?」

先生が何か布を手にして…る。

「ん…ぁっ」

「パンツ?」

急いで先生が手にしている僕のパンツを奪った。

「ち、違うの違うの。探したけど見当たらなくて…。」

見られないようパンツを胸で抱えた。

「今の貴方はパンツを履いていないということですか?」

「…ふにゃぁ」

そんなこと、態々言わないで。
抱き寄せられ、ズボンの中に先生の手が滑り込んでくる。
尻尾を掠りお尻に触れる。

「…全く、貴方は妄りに誘惑しないでください。」

そんなつもりじゃなかったんです。

「んにゃん」

先生は僕を諭しながらお尻を触り続けた。
服の下にも手が入ってきて、背中から服を捲られる。
さっき着たばかりの服を脱がされ、素肌に先生の唇が触れる。

先生って僕が思った以上にエッチ…なのかもしれない。

先生の頭を抱えながら快感に酔いしれた。

「ぁあ゛ん゛」

ズボンも脱がされ、解されること無く性急に先生のモノが入ってきた。
痛いのは一瞬ですぐに僕の身体は快感として、受け取った。

「い゛い゛ですか…あんな事は私やサンチェスターの前以外ではしてはいけませんよ…こうなりますからね?」

「ん?…はっぃ…ん」

怒ってるの?態とじゃないんです…。

凄く奥まで入ってくるぅ…。
あぁ、もっと欲しい…それ良いっ。

「ぁんっんっん゛…やぁんっそれっ止めないでぇ」

先生を怒らせたくないけど、怒るとちょっと激しくされる。
その激しさを求めて怒らせたくなっちゃいそう。
先生を独占したい。

誰にも渡さない。

呪いを込めて先生にキスをした。
キスをしながら僕のパンツを先生のポケットに忍ばせた。
侯爵家の次男で魔法省にも顔が利いて見た目も最高、そんな人婚約者がいても欲しいと誰もが思うから。

僕は酷い奴だ。

先生を取られたくないなんて…。
ライアン様を愛してる…けど先生の事も…。

これが本当の僕なのかな?

貪欲で強欲、性欲に忠実でフェロモンで相手の理性を奪う。
身体を使って相手を翻弄し離さない。
被害者ぶって相手を引きずり込む…こんな自分が嫌なのに、この状況を喜んでる。
先生に強引に求められているようで、男の顔をしている先生に満足しながら喘いでいた。

もっと僕に夢中になって、周りなんて見えなくなるくらいになればいい。

先生が僕の中を満たしていく。
もっと欲しいよ。
溢れるくらい、僕を満たして。
もう、学園に戻れなくても良い。
だから、ずっと僕の中にいて。
沢山エッチな事して。
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