112 / 414
二章 ハーレムルート
退学について
しおりを挟む
ギノフォード先生から直接、婚約が決定したことが報告された。
両親からの手紙のやり取りで決まったことを知っていても現実的ではなかった。
今日、ギノフォード先生は僕の部屋に泊まる。
そういうことをするかどうかはわからないけど、婚約者となり初めての顔合わせになる。
「婚約者」という言葉が、僕を緊張させた。
僕の部屋にギノフォード先生がやってきてソファに座るも何だか隣に座ることが出来ず向かいに座ってしまった。
「…フィンコック、聞いていますか?」
「ふぇっ」
「聞いてなかったのですね?」
ギノフォード先生は笑顔でいるのにとても恐怖を感じた。
最近は皆の笑顔に恐怖を感じているのは良くないよね…。
何かで聞いたが子供が暗闇を恐れるのは問題ない、大人が光を恐れる事のが悲劇…。
人の笑顔を恐れる僕も?
ここでは使い方が違うのかな?
だけど…。
どうにか逃げないと…。
「にゃん」
「誤魔化されませんよ。」
………だめだった。
なんの話してたのかな?
「貴方の獣耳と尻尾が人間化出来、フェロモンを制御出来たら学園に復帰出来ます。と言ったんです。」
僕、戻れるだ…。
「にんげんか?」
「耳と尻尾が仕舞えるようになると文献に記述がありましたから、それがわかりやすい学園復帰の条件になります。」
「みみとしっぽ。」
体を捻り、自身のお尻を見た。
お尻からは黒いのものがウネウネしてる。
これさえ仕舞えれば僕は学園に戻り普通の学生になれる。
話すのもゆっくりではあるが喋れるようになった。
これなら、学園復帰も近いかも…一番の問題は今は見ない振りをした。
だってフェロモンなんて見えないもんっ。
「せんせっ、にんげんかするにはどうしたらいいんですか?」
「分かりません。」
…急に突き放された。
びっくり…先生、怒ってます?
「………」
「百年ぶりの獣人なので、分からないことだらけです。人間化も実際に見た人間は既に存在してません…百年も前の事なので。」
そうですよね…百年前の事ですから…。
今日のギノフォード先生をイジワルに感じるのは、先程話を聞いていなかった僕の後ろめたさからかな?
なんだか、僕の周りにいる人は次第に意地悪な人になっていく気がする。
「…学園…退学しますか?」
「へぇ?」
退学?なんで急に?
先生は僕に辞めて欲しいってこと?
「サンチェスターと結婚したら、すぐにでも辺境で暮らせますよ。」
「たい…がく?」
「えぇ、そうすれば耳や尻尾を隠す必要有りません。」
「たいがくすれば、ライアン様といっしょにいられる?」
「はい」
「………」
「サンチェスターもその方が嬉しいかもしれませんね、ずっと一緒にいられるんですから。」
「せんせいは?」
「私の事は気にしなくていいんですよ。」
「ぅんん、だめ…せんせいもいっしょでしょ?」
「大丈夫ですよ、どこにいても私は貴方を守りますから。」
それだと本当に僕は先生を利用しているだけな気がする。
先生は本当にそれでいいの?
婚約者なのに?
先生の考えていることが全くわからないよ。
目の前の先生は完璧な笑顔で僕を見つめている。
綺麗な笑顔過ぎで先生の本当の気持ちが見えない…。
今更ながら僕は先生の隣に座らなかったことを後悔した。
「……せんせい。」
「はい。」
「わからないんです…。」
「なにがです?」
「だんなさまがたくさんいてもゆるされることが…だって、ライアン様もせんせいもぼくだけなのにぼくはちがうから…ふたりをうらぎってる…。」
僕が獣人だから仕方がないことなのかもしれない…けど…。
「…そんな風に考えていたんてすか?」
「よくないこと…イケナイことでしょ?」
「フィンコック公爵夫妻は素敵な夫妻ですね…ですが、世の中の人皆がそうであるわけではないんです。好きな人と結婚しても子を生めない可能性もあります、そうなれば第二夫人・第二夫がいるのは当然です。子を生む為だけに愛人を何人も囲う貴族もいます。それが当然の考えてあり、当たり前に受け入れていたのでフィンコックが悩んでいることに気付けませんでした…フィンコックは私やサンチェスターに悪いと思っていたのですか?」
「…はぃ。」
素敵な人を二人も手に入れちゃうなんて欲張りだよ。
うんん、欲張りとかじゃなくて二人に対して失礼。
僕は僕だけをみて欲しいって思っちゃうもん。
「フィンコックは優しいんですね。確かに…誰かの一番になりたいと思いますが、私はフィンコックの夫の一人になれるだけで幸せですよ。」
夫の一人…。
「…だめ…だって、だれかはせんせいをいちばんにおもってるのに…ぼくはせんせいをいちばんにできない。せんせいはせんせいをいちばんにおもっているひとといっしょになったほうがしあわせに…。」
「フィンコック、私はフィンコックを愛しています。フィンコックは私の事が嫌いですか?」
「ぅんん…すきです…でも、いちばんじゃないです。」
ごめんなさい。
「私はそれで充分ですよ。」
だめだよ…。
自分の事大事にして。
「………」
「…フィンコック。隣座ってもいいですか?」
「…はぃ」
小さく頷いた。
先生は隣に座り僕の方を向いたので、僕も真似して先生の方へ向いた。
「私がフィンコックに触れてもいいですか?」
「へ?ふれる?」
「嫌なら止めます、嫌でなければ私はフィンコックに触れ続けます。」
「…は、はい」
先生は僕の手に触れ、頬に触れ唇をなぞられた。
そこまでは嫌悪を感じたりはしなかった。
「キス…しても良いですか?」
キス…キスってキスだよね?
断ったら先生は傷つく?
受け入れたらライアン様が傷つく…。
どうしたらいいんだろうか…。
両親からの手紙のやり取りで決まったことを知っていても現実的ではなかった。
今日、ギノフォード先生は僕の部屋に泊まる。
そういうことをするかどうかはわからないけど、婚約者となり初めての顔合わせになる。
「婚約者」という言葉が、僕を緊張させた。
僕の部屋にギノフォード先生がやってきてソファに座るも何だか隣に座ることが出来ず向かいに座ってしまった。
「…フィンコック、聞いていますか?」
「ふぇっ」
「聞いてなかったのですね?」
ギノフォード先生は笑顔でいるのにとても恐怖を感じた。
最近は皆の笑顔に恐怖を感じているのは良くないよね…。
何かで聞いたが子供が暗闇を恐れるのは問題ない、大人が光を恐れる事のが悲劇…。
人の笑顔を恐れる僕も?
ここでは使い方が違うのかな?
だけど…。
どうにか逃げないと…。
「にゃん」
「誤魔化されませんよ。」
………だめだった。
なんの話してたのかな?
「貴方の獣耳と尻尾が人間化出来、フェロモンを制御出来たら学園に復帰出来ます。と言ったんです。」
僕、戻れるだ…。
「にんげんか?」
「耳と尻尾が仕舞えるようになると文献に記述がありましたから、それがわかりやすい学園復帰の条件になります。」
「みみとしっぽ。」
体を捻り、自身のお尻を見た。
お尻からは黒いのものがウネウネしてる。
これさえ仕舞えれば僕は学園に戻り普通の学生になれる。
話すのもゆっくりではあるが喋れるようになった。
これなら、学園復帰も近いかも…一番の問題は今は見ない振りをした。
だってフェロモンなんて見えないもんっ。
「せんせっ、にんげんかするにはどうしたらいいんですか?」
「分かりません。」
…急に突き放された。
びっくり…先生、怒ってます?
「………」
「百年ぶりの獣人なので、分からないことだらけです。人間化も実際に見た人間は既に存在してません…百年も前の事なので。」
そうですよね…百年前の事ですから…。
今日のギノフォード先生をイジワルに感じるのは、先程話を聞いていなかった僕の後ろめたさからかな?
なんだか、僕の周りにいる人は次第に意地悪な人になっていく気がする。
「…学園…退学しますか?」
「へぇ?」
退学?なんで急に?
先生は僕に辞めて欲しいってこと?
「サンチェスターと結婚したら、すぐにでも辺境で暮らせますよ。」
「たい…がく?」
「えぇ、そうすれば耳や尻尾を隠す必要有りません。」
「たいがくすれば、ライアン様といっしょにいられる?」
「はい」
「………」
「サンチェスターもその方が嬉しいかもしれませんね、ずっと一緒にいられるんですから。」
「せんせいは?」
「私の事は気にしなくていいんですよ。」
「ぅんん、だめ…せんせいもいっしょでしょ?」
「大丈夫ですよ、どこにいても私は貴方を守りますから。」
それだと本当に僕は先生を利用しているだけな気がする。
先生は本当にそれでいいの?
婚約者なのに?
先生の考えていることが全くわからないよ。
目の前の先生は完璧な笑顔で僕を見つめている。
綺麗な笑顔過ぎで先生の本当の気持ちが見えない…。
今更ながら僕は先生の隣に座らなかったことを後悔した。
「……せんせい。」
「はい。」
「わからないんです…。」
「なにがです?」
「だんなさまがたくさんいてもゆるされることが…だって、ライアン様もせんせいもぼくだけなのにぼくはちがうから…ふたりをうらぎってる…。」
僕が獣人だから仕方がないことなのかもしれない…けど…。
「…そんな風に考えていたんてすか?」
「よくないこと…イケナイことでしょ?」
「フィンコック公爵夫妻は素敵な夫妻ですね…ですが、世の中の人皆がそうであるわけではないんです。好きな人と結婚しても子を生めない可能性もあります、そうなれば第二夫人・第二夫がいるのは当然です。子を生む為だけに愛人を何人も囲う貴族もいます。それが当然の考えてあり、当たり前に受け入れていたのでフィンコックが悩んでいることに気付けませんでした…フィンコックは私やサンチェスターに悪いと思っていたのですか?」
「…はぃ。」
素敵な人を二人も手に入れちゃうなんて欲張りだよ。
うんん、欲張りとかじゃなくて二人に対して失礼。
僕は僕だけをみて欲しいって思っちゃうもん。
「フィンコックは優しいんですね。確かに…誰かの一番になりたいと思いますが、私はフィンコックの夫の一人になれるだけで幸せですよ。」
夫の一人…。
「…だめ…だって、だれかはせんせいをいちばんにおもってるのに…ぼくはせんせいをいちばんにできない。せんせいはせんせいをいちばんにおもっているひとといっしょになったほうがしあわせに…。」
「フィンコック、私はフィンコックを愛しています。フィンコックは私の事が嫌いですか?」
「ぅんん…すきです…でも、いちばんじゃないです。」
ごめんなさい。
「私はそれで充分ですよ。」
だめだよ…。
自分の事大事にして。
「………」
「…フィンコック。隣座ってもいいですか?」
「…はぃ」
小さく頷いた。
先生は隣に座り僕の方を向いたので、僕も真似して先生の方へ向いた。
「私がフィンコックに触れてもいいですか?」
「へ?ふれる?」
「嫌なら止めます、嫌でなければ私はフィンコックに触れ続けます。」
「…は、はい」
先生は僕の手に触れ、頬に触れ唇をなぞられた。
そこまでは嫌悪を感じたりはしなかった。
「キス…しても良いですか?」
キス…キスってキスだよね?
断ったら先生は傷つく?
受け入れたらライアン様が傷つく…。
どうしたらいいんだろうか…。
32
お気に入りに追加
2,864
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
やめて抱っこしないで!過保護なメンズに囲まれる!?〜異世界転生した俺は死にそうな最弱プリンスだけど最強冒険者〜
ゆきぶた
BL
異世界転生したからハーレムだ!と、思ったら男のハーレムが出来上がるBLです。主人公総受ですがエロなしのギャグ寄りです。
短編用に登場人物紹介を追加します。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
あらすじ
前世を思い出した第5王子のイルレイン(通称イル)はある日、謎の呪いで倒れてしまう。
20歳までに死ぬと言われたイルは禁呪に手を出し、呪いを解く素材を集めるため、セイと名乗り冒険者になる。
そして気がつけば、最強の冒険者の一人になっていた。
普段は病弱ながらも執事(スライム)に甘やかされ、冒険者として仲間達に甘やかされ、たまに兄達にも甘やかされる。
そして思ったハーレムとは違うハーレムを作りつつも、最強冒険者なのにいつも抱っこされてしまうイルは、自分の呪いを解くことが出来るのか??
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
お相手は人外(人型スライム)、冒険者(鍛冶屋)、錬金術師、兄王子達など。なにより皆、過保護です。
前半はギャグ多め、後半は恋愛思考が始まりラストはシリアスになります。
文章能力が低いので読みにくかったらすみません。
※一瞬でもhotランキング10位まで行けたのは皆様のおかげでございます。お気に入り1000嬉しいです。ありがとうございました!
本編は完結しましたが、暫く不定期ですがオマケを更新します!
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした
エウラ
BL
どうしてこうなったのか。
僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。
なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい?
孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。
僕、頑張って大きくなって恩返しするからね!
天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。
突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。
不定期投稿です。
本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。
溺愛お義兄様を卒業しようと思ったら、、、
ShoTaro
BL
僕・テオドールは、6歳の時にロックス公爵家に引き取られた。
そこから始まった兄・レオナルドの溺愛。
元々貴族ではなく、ただの庶子であるテオドールは、15歳となり、成人まで残すところ一年。独り立ちする計画を立てていた。
兄からの卒業。
レオナルドはそんなことを許すはずもなく、、
全4話で1日1話更新します。
R-18も多少入りますが、最後の1話のみです。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜
N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間)
ハーレム要素あります。
苦手な方はご注意ください。
※タイトルの ◎ は視点が変わります
※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます
※ご都合主義です、あしからず
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる