【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

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二章 ハーレムルート

婚約話

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ガチャ

鍵か解除され扉が開いた。
誰か入ってくるのか見なくても分かるようになった。
足音かな?

「シェンチェっ」

まだ、完璧とは言えないが会話が出来るくらいにはなったと思う。

先生は…喜んでくれないの?
どうしたんだろう?
今日はなんだか怖い顔してるように見える。
やっぱり、気を失っている間に何かしちゃったんだ…。
僕は一体なにしちゃったんだろう…。

「あっ、シェンチェっ。」

「食事…持ってきましたよ。」

「にゃっ…はぃ」

咄嗟の時は「にゃ」になってしまう。
先生が僕を見ないようにしているのに気付いてしまい動揺している。

嫌われちゃったのかな…。

あっ僕って元は嫌われていたんだっけ?
魔法の訓練を一緒にしてくれたから僕は先生の事を師匠と思って尊敬して好きだから、なんだか悲しい。
ライアン様よりとかそういうのではなく、僕には知り合いが少ないから…。
先生の隣は安心だし、いい香りが落ち着いた。
不安だった時一緒に眠って抱きしめてくれた思い出もある。
それらを思い出すと、今の先生の反応は寂しくなってしまう。

硬い表情のギノフォード先生は僕が食事している姿を目を逸らすことなく見続けてくる。

やっぱり、なにか怒っているのかな?
これから怒られるのかな?

「フィンコック」

僕が食べ終わるとギノフォード先生が口を開いた。

怖いっ。
先生に嫌われたくないよっ。

「フィンコック、私は貴方を愛してます。」

「………」

アイシテマス?
アイシテマスってなんだっけ?

「あい…?にゃっ」

あいと呟いた瞬間理解できた。
愛してますって愛してるってこと?先生が僕を?

「にゃっにゃっにゃっ」

顔が熱くなってきた。
きっと僕は今、真っ赤に違いない。
それほど先生の告白には驚いた?
驚いた?嬉しい?…嬉しい?
僕は嬉しいのかな?
嫌われてなくて良かったけど、愛してるって…。

「フィンコックにはサンチェスターという婚約者がいるのは存じてます。」

「…にゃっ、にゃい」

はい、僕はライアン様が大好きです。

「私を二人目の婚約者にしていただけませんか?」

「ふ、ふ、ふ、ふたりめ、ふたりめ、ふたりめこんにゃくしゃ?」

「…はい」

「………」

「愛し合っている二人を引き裂きたいわけではありません、本来なら告げるつもりもありませんでした。ですが、状況が変わりました。フィンコックが獣人になってしまったので…。」

僕が獣人だから…。
二人目の婚約者?

「………」

「獣人は大変貴重な事は分かりますね?」

「…にゃん」 

百年ぶり…なんですよね?

「多くの貴族が狙っています、もしかしたら王族も。それだけでなく、獣人研究家達もきっとあなたを欲しどんな手段を使うのか分かりません。それら全てを相手にするのに公爵家と伯爵家と爵位だけを見れば充分かもしれませんが、二家門だけでは安全とは言えません。そこに侯爵家一つ増えたところで対して変わりませんが、魔法省に勤める父と兄、私も魔法に関しては自信があります。多少なりとも戦力になるかと…私を利用してください。」

「しょんにゃっ」

「私は貴方を愛してます、貴方を守らせてください。」

「………」 

「一人で今すぐに決めなくて良いです。サンチェスターと話し合ってください」

「……にゃぃ…………」

ライアン様と先生との婚約について話すの?
先生の気持ちは嬉しかった…けど、それは嫌われてなくて嬉しかったで…。
それで婚約って…。

僕は先生を利用するために婚約するの?

よく分からず先生を見つめてしまう。

「…思うことがあれば、何でも聞いてください。」

ギノフォード先生にこんなこと聞いていいのか分からず無言で見つめていた。

「……ちぇ…シェンチェ…イは、びょくのでぃょこが?」

先生は僕のどこが?

「フィンコックは入学当初から問題児でしたね。」

「にゃ゛っ」 

問題児。
はっもしかして真面目な先生と不良が恋に落ちてしまうってやつですか?

「ふふ、ですが二年生になってある時からとても真面目に勉強するようになりましたね…魔法の訓練も…。」

「にゃぁ」

不真面目な生徒が真面目になったギャップですか?

ギノフォード先生に褒められると単純に嬉しい。

「Fクラスの人間で訓練するのは大変珍しかったですし、あのフィンコックがと驚きました。試験を真面目に受けた事や本気で訓練する姿、それに初心者の為の魔法の本を何度も借りているのを知り興味が湧いてしまいました。」

「にゃっにゃっ」

なんで何度も本借りたの知ってるの?

「あの本は私が書いたんです。」

「……にゃ゛っ、しぇんしぇいにゃー」

あの本とっても分かりやすくて面白かったです。
注意事項と先生の言うことは守りましょうって学びました。

「何年も置いてましたが、誰も借りたことがなかったんです…それをフィンコックが何度も。嬉しかったんですよ。」

「…ほぇっ」

あんなに分かりやすい本なのに誰も?

「知ってからは興味が湧いてしまいました。教師と言うこともあり告げるつもりはありませんでした。ですが…」

「…んにゃ?」

「私はフィンコックに伝えていないことがあります。」

「にゃぁん」

「私はフィンコックを抱きました。」

「………?」

抱きました…抱きました…抱きました?

いつ?

「覚えていませんね…。サンチェスターが泊まった日の事は覚えていますか?」

「にゃん」

それは覚えてます。

「サンチェスターを見送ったのは?覚えてます?」

「んー?」

見送った…ような気もしなくもない…。
次の日、すごくエッチな夢見ちゃったのは覚えて…。
夢の中で、ライアン様とギノフォード先生と気持ちいいこと沢山したんだっけ?

なんか、今ならもっと思い出せそう。

確か、ライアン様と美味しいキスを沢山してギノフォード先生には後ろからお尻を舐められた?そんなことある?

その後二人と代わる代わるして、僕が先生のを口にしたらライアン様が怒って後ろから激しくされながら胸を痛いくらい摘ままれた?
交代して、ライアン様のを口にしたらゴクンて飲んじゃってライアン様が恍惚な表情で頭を撫でてくれた?
ライアン様には右手を捕まれ胸を沢山吸われて、ギノフォード先生には左手を捕まれ背中や肩をいっぱい舐められ噛まれた…。
ギノフォード先生にうなじを噛まれた時に、ライアン様が獣みたいな顔になって僕の首筋を噛んだ?
僕がライアン様の手の指を舐めたり噛んだりしていたら、ギノフォード先生に僕の手の指を舐められ噛まれた…?
胸を吸われてる時、誰かの頭を抱えてた…。
後ろに振り向かされライアン様とキスしてた…。
ライアン様に後ろから突かれながら、ギノフォード先生とキスすると脳がしびれるほどおかしくなってしまった。
キスは止めたくなくて、僕のが積極的だった…ような?
その時、僕は「もっちょー」(もっとー)、「もっちょしちぇー」(もっとしてぇー)、「もっちょほちぃ」(もっと欲しい)って叫んでいたよね?
「にゅいちゃ、めぇ」(抜いちゃだめぇ)、「にゅかにゃいちぇ゛ー」(抜かないでぇ)って、言っていた気も…。
「びょくにょにゃかにぃ」(僕の中に)、「しょとはやぁ」(外はいやぁ)…って。
でも、あれは全部僕のエッチな夢で…現実じゃ…。

あれ?
夢じゃないの?

「にゃっにゃっにゃっ」

「思い出しましたか?」

「にゃぁん」

震えながら頷いた。

「フィンコック、あれは獣人の副作用なので仕方がないことです。」

「………」

副作用…仕方がないと言われても…。
僕はギノフォード先生としちゃってたのは現実…。
ライアン様の前で…というか三人で…。

うそ…。

「フィンコックは忘れたいかもしれませんが、私は幸せな気持ちでした。一生忘れたくありません。」

「……ふぅぇん…」

僕のすごくエッチな姿、覚えていてほしくない。

「最後かもしれない、愛した人との夢の一時だったので私は忘れませんよ。」

「………」

そんなこと言われたら、忘れてくださいなんて言えない…けど、僕にはライアン様という婚約者がいるんです。

浮気はダメ。

「私は貴方を知りたい、今もキスしたいと思っています。」

「……にゃっ」

あの先生が?
耳、耳元で囁かれた。
尻尾が上がる。
お尻がムズムズ…ダメなのに。
僕の気持ちを無視して身体が反応する。

「そんな顔したら、今すぐ押し倒したくなります…気を付けてください。」

顔?どんな顔?

ぱちん

僕は勢い良く手で顔を覆えば、小気味良い音が響いた。

「貴方って人は、本当に愛らしいですね。」

「にゃんっ」

耳元で囁くのだめぇ。
エッチィよ。

「私と婚約する事考えてみてください。」

先生は言うだけ言って、僕を置き去りに出ていった。

一人になって良かった。

ドキドキした…したけど、このドキドキはビックリしたとかの方。
先生は好きだよ、先生として。
嫌われてなくて良かったぁって。
だけどそれはライアン様の好きとは違う。
婚約者としては…。

僕にはライアン様がいるから。
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