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二章 ハーレムルート
アレッサンドロ ギノフォード
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目覚めると私の胸に顔を埋めていた。
「にゃむにゃむ」といいながら、服を掴んで離さない。
どんな夢を見ているのか。
無意識に私は頭や頬を撫でていた。
「ふにゃぁん」
目が覚めたのだろう、撫でていた私の手を追ってくる。
「もうそろそろ起きませんか?」
「んにゃぁ」
瞼が開き、美しい漆黒の瞳に私が写った。
私の指を咥え、愛撫し始めた。
寝ぼけているのか?それとも私を誘って…。
そんなはずは…ないな。
「こら、イタズラはダメですよ。」
「うにゃぁん」
これ以上は不味いと強制的に終了させる為に布団を剥ぎ取れば、真っ白い生足が存在した。
明らかにズボンを穿いていなかった。
パンツは…。
「なんて格好してるんです?」
「ふにゃ?」
これは完全に誘惑している。
「にゃ゛っ…にゃうにゃうにゃうにゃう」
必死に首を振る姿で、偶然だとしても心臓に悪い。
「そんな声出して、貴方は…朝食持ってきますから、服を着てなさい。」
私は部屋を出た。
一晩中あの姿のフィンコックといたのかと思うと…。
私がどれだけ悩んでいたかも知らないフィンコックの無防備さは桁外れだ。
棟に隔離され身体を動かすことをしていないから、眠りが浅く夜中に起きてしまったのだろう。
散歩に誘えばとても喜んでいた。
フィンコックは折角離して置いた朝食を隣にセットし直した。
困ったものだ、こちらの苦労も知らずに。
尻尾が私に絡まる場所を求めて背中に触れている。
フィンコックは終始笑顔を絶やすことがなく、腕や足が触れてしまう距離で以前より近い。
その後、二人で外へ出て散歩に喜んでいたが次第に学園に向かって鳴いていた。
「……そろそろ戻りますか?」
「………にゃん」
その後からは私に触れる事はなく、以前の教師と生徒の距離に戻ってしまった。
私は名残惜しくも授業に逃げた。
その夜は引き留められることはなく、翌日も沈んだままだった。
散歩しても何処か物悲しげで、勉強が始まっても集中できていないようだった。
サンチェスターが恋しいか?
連休私ではない人間が来ると伝えれば怯えた表情をするも、サンチェスターだと分かると私を忘れサンチェスターに飛び付いた。
彼の頭の中に、もう私はいなかった。
二人きりにすべく部屋を後にしようとすれば、私が出る前から二人だけの世界だった。
フィンコックはサンチェスターしか必要としていない瞬間だった。
私が訪れる三日後まで二人は…。
三日後には「私なんて来ないでくれ」と願っているのだろう…。
三日後。
私はノックをして声をかけてから部屋の中へ入った。
婚約者達のそういう現場を避けるために。
三日も経つと彼は少し話せるようになっていた。
私が知らないうちに。
話せるようになったのに、フィンコックとの距離を感じる。
食事を終えた二人から「問題なかった」と…。
問題が一つずつ解決していくと彼はここから出ていき、寮に戻る。
フィンコックとの二人きりの時間はもう終わる。
これでいい、これで…。
授業のあるサンチェスターと共に部屋を出ようとすると甘い香りに気付いた。
途端に酩酊状態の様にふらつき、膝から崩れ落ちた。
その後は、朦朧とする意識の中で香りのもとを辿るとそこにはフィンコックがいる。
まともに考えられたのはそこまで。
その後はフィンコックを味わい尽くしていた。
「にゃむにゃむ」といいながら、服を掴んで離さない。
どんな夢を見ているのか。
無意識に私は頭や頬を撫でていた。
「ふにゃぁん」
目が覚めたのだろう、撫でていた私の手を追ってくる。
「もうそろそろ起きませんか?」
「んにゃぁ」
瞼が開き、美しい漆黒の瞳に私が写った。
私の指を咥え、愛撫し始めた。
寝ぼけているのか?それとも私を誘って…。
そんなはずは…ないな。
「こら、イタズラはダメですよ。」
「うにゃぁん」
これ以上は不味いと強制的に終了させる為に布団を剥ぎ取れば、真っ白い生足が存在した。
明らかにズボンを穿いていなかった。
パンツは…。
「なんて格好してるんです?」
「ふにゃ?」
これは完全に誘惑している。
「にゃ゛っ…にゃうにゃうにゃうにゃう」
必死に首を振る姿で、偶然だとしても心臓に悪い。
「そんな声出して、貴方は…朝食持ってきますから、服を着てなさい。」
私は部屋を出た。
一晩中あの姿のフィンコックといたのかと思うと…。
私がどれだけ悩んでいたかも知らないフィンコックの無防備さは桁外れだ。
棟に隔離され身体を動かすことをしていないから、眠りが浅く夜中に起きてしまったのだろう。
散歩に誘えばとても喜んでいた。
フィンコックは折角離して置いた朝食を隣にセットし直した。
困ったものだ、こちらの苦労も知らずに。
尻尾が私に絡まる場所を求めて背中に触れている。
フィンコックは終始笑顔を絶やすことがなく、腕や足が触れてしまう距離で以前より近い。
その後、二人で外へ出て散歩に喜んでいたが次第に学園に向かって鳴いていた。
「……そろそろ戻りますか?」
「………にゃん」
その後からは私に触れる事はなく、以前の教師と生徒の距離に戻ってしまった。
私は名残惜しくも授業に逃げた。
その夜は引き留められることはなく、翌日も沈んだままだった。
散歩しても何処か物悲しげで、勉強が始まっても集中できていないようだった。
サンチェスターが恋しいか?
連休私ではない人間が来ると伝えれば怯えた表情をするも、サンチェスターだと分かると私を忘れサンチェスターに飛び付いた。
彼の頭の中に、もう私はいなかった。
二人きりにすべく部屋を後にしようとすれば、私が出る前から二人だけの世界だった。
フィンコックはサンチェスターしか必要としていない瞬間だった。
私が訪れる三日後まで二人は…。
三日後には「私なんて来ないでくれ」と願っているのだろう…。
三日後。
私はノックをして声をかけてから部屋の中へ入った。
婚約者達のそういう現場を避けるために。
三日も経つと彼は少し話せるようになっていた。
私が知らないうちに。
話せるようになったのに、フィンコックとの距離を感じる。
食事を終えた二人から「問題なかった」と…。
問題が一つずつ解決していくと彼はここから出ていき、寮に戻る。
フィンコックとの二人きりの時間はもう終わる。
これでいい、これで…。
授業のあるサンチェスターと共に部屋を出ようとすると甘い香りに気付いた。
途端に酩酊状態の様にふらつき、膝から崩れ落ちた。
その後は、朦朧とする意識の中で香りのもとを辿るとそこにはフィンコックがいる。
まともに考えられたのはそこまで。
その後はフィンコックを味わい尽くしていた。
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