【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

文字の大きさ
上 下
84 / 414
二章 ハーレムルート

心地よい目覚め

しおりを挟む
頬を撫でられている気がした。
優しい手、ずっと撫でていて欲しい。

「ふにゃぁん」

「もうそろそろ起きませんか?」

耳に響く心地良い声。
もっと聴いていたい、この瞬間が少しでも長く続いてほしい。

んにゃぁんまだ眠たいよ

不満が漏れてしまった。
目の前には綺麗な先生の指が見えた。
無意識にパクっと咥え、吸いながら軽く噛んだ。

「こら、イタズラはダメですよ。」

「うにゃっ」

先生にこんなことするつもりはなかったのに… 

「起きますよ」

上体を起こし掛けていた布団を剥ぎ取られた。

「なんて格好してるんです?」

ふにゃなに?」

格好ってなんの事?
首を傾けながら自身を見下ろせば、お尻が…

「にゃ゛っ」

なんで? 
どういう事?
僕は寝ぼけて脱いじゃったの?

にゃうにゃうにゃう違うの違うの違うの

何度も何度も頭を振った。

「はぁ、全く…。」

怒った?飽きられた?
どうしよう…。

にゃーんにゃーん違うの先生信じて

「そんな声出して、貴方は…。朝食持ってきますから、服を着てなさい。」

「………にゃんはい

尻尾が窮屈でズラしたまま寝ていたら寝相で脱げちゃったんだと思う。
今度からは上は大きめの服にして、ズボンは…尻尾に合わせて切るしかないかな?

パンツも切らないと…。

尻尾って…ずっと付いてるのかな?
人間化しないのかな?
これからはもっと獣人について勉強した方がいいのかも。

「朝食ですよ。」

んにゃっはい

今日は先生も一緒なの?
一人じゃない食事だった。

「朝食を終えたら散歩に行きますか?」

にゃんにゃ散歩にゃーんやったー

パタパタと移動し先生に抱き付いた。
獣人になってから一肌が恋しくて仕方がない。

「食事が終わったらです。」

にゃんはい

僕は先生の隣に朝食をセットし直した。
先生も笑って許してくれて食べている間、尻尾が先生の存在を求めていた。
見ていなくても尻尾が触れているだけで、安心することが出来た。
食事をしている間、僕は終始笑顔を絶やすことがなかった。
誰かといる、先生と一緒にいる…それだけで楽しくて仕方がない。
その後、先生と二人で外へ出て散歩した。
久しぶりの外に感動してしまった。

今頃ライアン様は授業中かな?
会いたいな…。

にゃーん、にゃーん、にゃーんライアン様、会いたいよ、会いたいよ

ライアン様がいるであろう学園に向かって鳴いた。
届くはずの無い叫び。

「……そろそろ戻りますか?」

「………にゃんはい

温もりが恋しく先生に触れたかったけど…少し冷静になった。

先生はライアン様じゃない…

静かになった僕を心配するように先生は声をかけてくれたけど、今は一人になりたかった。
何かを察した先生は授業に向かい、僕は笑顔で見送る事が出来た。

にゃいにゃんにゃにゃ、にゃいにゃんにゃにゃ、にゃいにゃんにゃにゃライアン様、ライアン様、ライアン様

いくら、ライアン様と言っても上手く発音出来なかった。
それでも僕は続けた。
ライアン様とちゃんと言えるようになったら会えるんじゃないかって思って…。

昼食をとり夕食となっても、僕は一人になることを恐れたりはしなかった。
夜は眠るのが上手く出来なかったけどライアン様じゃない誰かといるのは違う気がした。

月明かりに照らされながら布団を被り、ライアン様を思い出していた。

大きな身体で僕を受け止めてくれて、逞しい腕で抱きしめてくれる。
綺麗で長い指、あの指に触られると我慢が効かなくなる。
そしてライアン様の唇。
美味しくて一度キスをすると止められない。
もっともっとと続けたくなる。

ライアン様に会いたいよぉ。

にゃーにゃーにゃーライアン様僕はここにいるよ

その後も鳴き続け「ライアン様」の名前を言う練習をした。
ラを言うことから始めたけど、らって難しいのかも。
話すのって難しいんだ、知らなかった。

にゃ、にゃ、にゃら、ら、ら

「ら」はやっぱり難しい。
今日はもう眠ることにした。
ライアン様の事を考え、悩んでいたらライアン様で頭が一杯になり今日はライアン様の夢を見ることが出来そうだと何となくだけどそう思った。
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

人気アイドルになった美形幼馴染みに溺愛されています

ミヅハ
BL
主人公の陽向(ひなた)には現在、アイドルとして活躍している二つ年上の幼馴染みがいる。 生まれた時から一緒にいる彼―真那(まな)はまるで王子様のような見た目をしているが、その実無気力無表情で陽向以外のほとんどの人は彼の笑顔を見た事がない。 デビューして一気に人気が出た真那といきなり疎遠になり、寂しさを感じた陽向は思わずその気持ちを吐露してしまったのだが、優しい真那は陽向の為に時間さえあれば会いに来てくれるようになった。 そんなある日、いつものように家に来てくれた真那からキスをされ「俺だけのヒナでいてよ」と言われてしまい───。 ダウナー系美形アイドル幼馴染み(攻)×しっかり者の一般人(受) 基本受視点でたまに攻や他キャラ視点あり。 ※印は性的描写ありです。

平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます

ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜 名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。 愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に… 「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」 美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。 🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶 応援していただいたみなさまのおかげです。 本当にありがとうございました!

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

番だと言われて囲われました。

BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。 死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。 そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。

ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない

Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。 かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。 後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。 群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って…… 冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。 表紙は友人絵師kouma.作です♪

淫愛家族

箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。 事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。 二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。 だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

敏感リーマンは大型ワンコをうちの子にしたい

おもちDX
BL
社畜のサラリーマン柊(ひいらぎ)はある日、ヘッドマッサージの勧誘にあう。怪しいマッサージかと疑いながらもついて行くと、待っていたのは――極上の癒し体験だった。柊は担当であるイケメンセラピスト夕里(ゆり)の技術に惚れ込むが、彼はもう店を辞めるという。柊はなんとか夕里を引き止めたいが、通ううちに自分の痴態を知ってしまった。ただのマッサージなのに敏感体質で喘ぐ柊に、夕里の様子がおかしくなってきて……? 敏感すぎるリーマンが、大型犬属性のセラピストを癒し、癒され、懐かれ、蕩かされるお話。 心に傷を抱えたセラピスト(27)×疲れてボロボロのサラリーマン(30) 現代物。年下攻め。ノンケ受け。 ※表紙のイラスト(攻め)はPicrewの「人間(男)メーカー(仮)」で作成しました。

処理中です...