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二章 ハーレムルート
心地よい目覚め
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頬を撫でられている気がした。
優しい手、ずっと撫でていて欲しい。
「ふにゃぁん」
「もうそろそろ起きませんか?」
耳に響く心地良い声。
もっと聴いていたい、この瞬間が少しでも長く続いてほしい。
「んにゃぁん」
不満が漏れてしまった。
目の前には綺麗な先生の指が見えた。
無意識にパクっと咥え、吸いながら軽く噛んだ。
「こら、イタズラはダメですよ。」
「うにゃっ」
先生にこんなことするつもりはなかったのに…
「起きますよ」
上体を起こし掛けていた布団を剥ぎ取られた。
「なんて格好してるんです?」
「ふにゃ?」
格好ってなんの事?
首を傾けながら自身を見下ろせば、お尻が…
「にゃ゛っ」
なんで?
どういう事?
僕は寝ぼけて脱いじゃったの?
「にゃうにゃうにゃう」
何度も何度も頭を振った。
「はぁ、全く…。」
怒った?飽きられた?
どうしよう…。
「にゃーんにゃーん」
「そんな声出して、貴方は…。朝食持ってきますから、服を着てなさい。」
「………にゃん」
尻尾が窮屈でズラしたまま寝ていたら寝相で脱げちゃったんだと思う。
今度からは上は大きめの服にして、ズボンは…尻尾に合わせて切るしかないかな?
パンツも切らないと…。
尻尾って…ずっと付いてるのかな?
人間化しないのかな?
これからはもっと獣人について勉強した方がいいのかも。
「朝食ですよ。」
「んにゃっ」
今日は先生も一緒なの?
一人じゃない食事だった。
「朝食を終えたら散歩に行きますか?」
「にゃんにゃ…にゃーん」
パタパタと移動し先生に抱き付いた。
獣人になってから一肌が恋しくて仕方がない。
「食事が終わったらです。」
「にゃん」
僕は先生の隣に朝食をセットし直した。
先生も笑って許してくれて食べている間、尻尾が先生の存在を求めていた。
見ていなくても尻尾が触れているだけで、安心することが出来た。
食事をしている間、僕は終始笑顔を絶やすことがなかった。
誰かといる、先生と一緒にいる…それだけで楽しくて仕方がない。
その後、先生と二人で外へ出て散歩した。
久しぶりの外に感動してしまった。
今頃ライアン様は授業中かな?
会いたいな…。
「にゃーん、にゃーん、にゃーん」
ライアン様がいるであろう学園に向かって鳴いた。
届くはずの無い叫び。
「……そろそろ戻りますか?」
「………にゃん」
温もりが恋しく先生に触れたかったけど…少し冷静になった。
先生はライアン様じゃない…
静かになった僕を心配するように先生は声をかけてくれたけど、今は一人になりたかった。
何かを察した先生は授業に向かい、僕は笑顔で見送る事が出来た。
「にゃいにゃんにゃにゃ、にゃいにゃんにゃにゃ、にゃいにゃんにゃにゃ」
いくら、ライアン様と言っても上手く発音出来なかった。
それでも僕は続けた。
ライアン様とちゃんと言えるようになったら会えるんじゃないかって思って…。
昼食をとり夕食となっても、僕は一人になることを恐れたりはしなかった。
夜は眠るのが上手く出来なかったけどライアン様じゃない誰かといるのは違う気がした。
月明かりに照らされながら布団を被り、ライアン様を思い出していた。
大きな身体で僕を受け止めてくれて、逞しい腕で抱きしめてくれる。
綺麗で長い指、あの指に触られると我慢が効かなくなる。
そしてライアン様の唇。
美味しくて一度キスをすると止められない。
もっともっとと続けたくなる。
ライアン様に会いたいよぉ。
「にゃーにゃーにゃー」
その後も鳴き続け「ライアン様」の名前を言う練習をした。
ラを言うことから始めたけど、らって難しいのかも。
話すのって難しいんだ、知らなかった。
「にゃ、にゃ、にゃ」
「ら」はやっぱり難しい。
今日はもう眠ることにした。
ライアン様の事を考え、悩んでいたらライアン様で頭が一杯になり今日はライアン様の夢を見ることが出来そうだと何となくだけどそう思った。
優しい手、ずっと撫でていて欲しい。
「ふにゃぁん」
「もうそろそろ起きませんか?」
耳に響く心地良い声。
もっと聴いていたい、この瞬間が少しでも長く続いてほしい。
「んにゃぁん」
不満が漏れてしまった。
目の前には綺麗な先生の指が見えた。
無意識にパクっと咥え、吸いながら軽く噛んだ。
「こら、イタズラはダメですよ。」
「うにゃっ」
先生にこんなことするつもりはなかったのに…
「起きますよ」
上体を起こし掛けていた布団を剥ぎ取られた。
「なんて格好してるんです?」
「ふにゃ?」
格好ってなんの事?
首を傾けながら自身を見下ろせば、お尻が…
「にゃ゛っ」
なんで?
どういう事?
僕は寝ぼけて脱いじゃったの?
「にゃうにゃうにゃう」
何度も何度も頭を振った。
「はぁ、全く…。」
怒った?飽きられた?
どうしよう…。
「にゃーんにゃーん」
「そんな声出して、貴方は…。朝食持ってきますから、服を着てなさい。」
「………にゃん」
尻尾が窮屈でズラしたまま寝ていたら寝相で脱げちゃったんだと思う。
今度からは上は大きめの服にして、ズボンは…尻尾に合わせて切るしかないかな?
パンツも切らないと…。
尻尾って…ずっと付いてるのかな?
人間化しないのかな?
これからはもっと獣人について勉強した方がいいのかも。
「朝食ですよ。」
「んにゃっ」
今日は先生も一緒なの?
一人じゃない食事だった。
「朝食を終えたら散歩に行きますか?」
「にゃんにゃ…にゃーん」
パタパタと移動し先生に抱き付いた。
獣人になってから一肌が恋しくて仕方がない。
「食事が終わったらです。」
「にゃん」
僕は先生の隣に朝食をセットし直した。
先生も笑って許してくれて食べている間、尻尾が先生の存在を求めていた。
見ていなくても尻尾が触れているだけで、安心することが出来た。
食事をしている間、僕は終始笑顔を絶やすことがなかった。
誰かといる、先生と一緒にいる…それだけで楽しくて仕方がない。
その後、先生と二人で外へ出て散歩した。
久しぶりの外に感動してしまった。
今頃ライアン様は授業中かな?
会いたいな…。
「にゃーん、にゃーん、にゃーん」
ライアン様がいるであろう学園に向かって鳴いた。
届くはずの無い叫び。
「……そろそろ戻りますか?」
「………にゃん」
温もりが恋しく先生に触れたかったけど…少し冷静になった。
先生はライアン様じゃない…
静かになった僕を心配するように先生は声をかけてくれたけど、今は一人になりたかった。
何かを察した先生は授業に向かい、僕は笑顔で見送る事が出来た。
「にゃいにゃんにゃにゃ、にゃいにゃんにゃにゃ、にゃいにゃんにゃにゃ」
いくら、ライアン様と言っても上手く発音出来なかった。
それでも僕は続けた。
ライアン様とちゃんと言えるようになったら会えるんじゃないかって思って…。
昼食をとり夕食となっても、僕は一人になることを恐れたりはしなかった。
夜は眠るのが上手く出来なかったけどライアン様じゃない誰かといるのは違う気がした。
月明かりに照らされながら布団を被り、ライアン様を思い出していた。
大きな身体で僕を受け止めてくれて、逞しい腕で抱きしめてくれる。
綺麗で長い指、あの指に触られると我慢が効かなくなる。
そしてライアン様の唇。
美味しくて一度キスをすると止められない。
もっともっとと続けたくなる。
ライアン様に会いたいよぉ。
「にゃーにゃーにゃー」
その後も鳴き続け「ライアン様」の名前を言う練習をした。
ラを言うことから始めたけど、らって難しいのかも。
話すのって難しいんだ、知らなかった。
「にゃ、にゃ、にゃ」
「ら」はやっぱり難しい。
今日はもう眠ることにした。
ライアン様の事を考え、悩んでいたらライアン様で頭が一杯になり今日はライアン様の夢を見ることが出来そうだと何となくだけどそう思った。
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