66 / 414
一章 純愛…ルート
僕の知らない僕
しおりを挟む
今日もギノフォード先生と秘密の訓練をする予定だけど、ライアン様に報告してからにしよう。
心配してくれるのは嬉しいけど、不安な思いはして欲しくないもん。
放課後ライアン様のクラスに急いで向かい、今日もギノフォード先生と魔法の訓練をすることを告げた。
「俺も一緒に行く。」
「ん?僕の魔法は初歩の初歩だからライアン様には面白くないよ?」
「シャルが真面目にやってる姿を見たい。」
「僕?ふふ、うん。」
ライアン様の胸のうちにまだ少し疑念があるとは全くもって考えてなくて、単純に一緒にいられることに浮かれていた。
手を繋いで鍛錬場に向かう間もスレ違う人達には振り向かれたり「ぇっ?」という声を聞いた。
なんだか最近ライアン様に触れてないと不安な気持ちになる。
僕ってライアン様の事大好きなんだなぁ。
「ライアン様は何属性ですか?」
「俺は火と雷、風と土だ」
「すごいっ四つも?」
「あぁ。」
「わぁ、ライアン様の魔法見てみたい。」
四つもなんて、何が出来るのか僕には未知の世界だ。
「あぁ。」
「いいの?」
「あぁ。」
嬉しい。
Fクラスなので授業でもすごい魔法を見る機会は全く無く、先生達も気を使ってなのかあまり魔法を使うことがなかった。
僕が今まで見てきたのは自分で作った小さな水溜まりと心地よい風くらいと、試験の時に隣の子が作った火くらいだった。
他は見たこと無いなぁ。
魔法の世界なのに。
そんなことを考えたいれば鍛錬場についた。
ライアン様と一緒だと時間が早く過ぎてしまう。
鍛練場には既にギノフォード先生がいた。
「おやっ、今日はサンチェスターも一緒ですか?」
「はぃっ…フフフ。」
嬉しくて笑顔が押さえられない。
「俺は見学しても良いですか?」
「構いませんよ、フィンコックは嬉しそうですね。」
「はいっ」
「それでは昨日と同じことをしてみましょう…今日は体調どうですか?」
「バッチリです。」
僕はライアン様が側にいるという浮かれた気持ちを沈め集中する。
ライアン様にも見られているからちゃんとしないと。
まず全身の魔力を想像する。
本や先生には「魔力の流れを感じること」と聞いたが、その流れを感じることさえ出来ない僕は自分で想像することしかなかったが、きっと魔力は血液のように流れているに違いないと考えた。
その魔力を掌に集めて片方を水に、もう片方を風と更に想像する。
魔法は想像力が大事だと思う。
「妄想大好きの僕ならきっと出来る」と自分に言い聞かせ自信をつけた。
離れた位置にライアン様とギノフォード先生が僕を見守りながら会話をしていた。
風魔法を使い、僕に二人の会話が届かないようにしていた。
僕には技術もないがどんな魔法があるのかも知らない事が多い。
「シャルはいつもあんな顔で訓練してるんですか?」
魔力に集中するあまり自分の姿まで気が回らずにいた。
目を瞑って邪念を捨て必死に体内から魔力を具現化することに夢中で、呼吸もままならず口を開け額に汗を浮かべ微かに吐息まで聞こえていた。
「えぇ、そうですね。」
「……。」
「フィンコックは真面目に一生懸命ですから、そのようなことを言ってしまえば集中出来なくなる恐れがありますので我慢してくださいね。」
「……はぃ…」
「昨日フィンコックと訓練をしました。その後彼は平気でしたか?」
「…はい。」
「彼の様子はどうでしたか?」
「…様子ですか?」
「フィンコックには伝えませんでしたが、彼の魔力量はFクラスの平均よりかなり低いです。一人で訓練させるのは危険な程、魔法を行う際は必ず周囲に誰かいることを確認してから行うように伝えた方がいいでしょう。」
「アイツそんなに無いんですか?」
「サンチェスターが考えているより遥かに少ないです…君からすると無いに等しいでしょうね。」
「………。」
「フィンコックは本当は魔法が好きだと話してくれました。話を聞いていると、こっそり訓練していたかもしれませんね。ですかそれは危険です。昨日は途中で止めさせましたが部屋で倒れたりはしませんでしたか?」
「倒れ…はしませんでした…部屋に入る際、足が縺れたりはしてましたが…。」
「…そうですか。」
「魔力は使えば多少増えるんですがフィンコックの場合魔力量は変わらない、下手をすると減少しているようにも感じます。身体に何らかの原因がある可能性も考えられます。なので今後フィンコックは放課後定期的にここで魔法の訓練を行いつつ原因を探っていきますので、あまり恐い顔で私を睨まないでくださいね。」
「……はい。」
二人の会話に気付くことなく僕は二種類の魔法を同時に発動をさせるという魔法に集中していた。
心配してくれるのは嬉しいけど、不安な思いはして欲しくないもん。
放課後ライアン様のクラスに急いで向かい、今日もギノフォード先生と魔法の訓練をすることを告げた。
「俺も一緒に行く。」
「ん?僕の魔法は初歩の初歩だからライアン様には面白くないよ?」
「シャルが真面目にやってる姿を見たい。」
「僕?ふふ、うん。」
ライアン様の胸のうちにまだ少し疑念があるとは全くもって考えてなくて、単純に一緒にいられることに浮かれていた。
手を繋いで鍛錬場に向かう間もスレ違う人達には振り向かれたり「ぇっ?」という声を聞いた。
なんだか最近ライアン様に触れてないと不安な気持ちになる。
僕ってライアン様の事大好きなんだなぁ。
「ライアン様は何属性ですか?」
「俺は火と雷、風と土だ」
「すごいっ四つも?」
「あぁ。」
「わぁ、ライアン様の魔法見てみたい。」
四つもなんて、何が出来るのか僕には未知の世界だ。
「あぁ。」
「いいの?」
「あぁ。」
嬉しい。
Fクラスなので授業でもすごい魔法を見る機会は全く無く、先生達も気を使ってなのかあまり魔法を使うことがなかった。
僕が今まで見てきたのは自分で作った小さな水溜まりと心地よい風くらいと、試験の時に隣の子が作った火くらいだった。
他は見たこと無いなぁ。
魔法の世界なのに。
そんなことを考えたいれば鍛錬場についた。
ライアン様と一緒だと時間が早く過ぎてしまう。
鍛練場には既にギノフォード先生がいた。
「おやっ、今日はサンチェスターも一緒ですか?」
「はぃっ…フフフ。」
嬉しくて笑顔が押さえられない。
「俺は見学しても良いですか?」
「構いませんよ、フィンコックは嬉しそうですね。」
「はいっ」
「それでは昨日と同じことをしてみましょう…今日は体調どうですか?」
「バッチリです。」
僕はライアン様が側にいるという浮かれた気持ちを沈め集中する。
ライアン様にも見られているからちゃんとしないと。
まず全身の魔力を想像する。
本や先生には「魔力の流れを感じること」と聞いたが、その流れを感じることさえ出来ない僕は自分で想像することしかなかったが、きっと魔力は血液のように流れているに違いないと考えた。
その魔力を掌に集めて片方を水に、もう片方を風と更に想像する。
魔法は想像力が大事だと思う。
「妄想大好きの僕ならきっと出来る」と自分に言い聞かせ自信をつけた。
離れた位置にライアン様とギノフォード先生が僕を見守りながら会話をしていた。
風魔法を使い、僕に二人の会話が届かないようにしていた。
僕には技術もないがどんな魔法があるのかも知らない事が多い。
「シャルはいつもあんな顔で訓練してるんですか?」
魔力に集中するあまり自分の姿まで気が回らずにいた。
目を瞑って邪念を捨て必死に体内から魔力を具現化することに夢中で、呼吸もままならず口を開け額に汗を浮かべ微かに吐息まで聞こえていた。
「えぇ、そうですね。」
「……。」
「フィンコックは真面目に一生懸命ですから、そのようなことを言ってしまえば集中出来なくなる恐れがありますので我慢してくださいね。」
「……はぃ…」
「昨日フィンコックと訓練をしました。その後彼は平気でしたか?」
「…はい。」
「彼の様子はどうでしたか?」
「…様子ですか?」
「フィンコックには伝えませんでしたが、彼の魔力量はFクラスの平均よりかなり低いです。一人で訓練させるのは危険な程、魔法を行う際は必ず周囲に誰かいることを確認してから行うように伝えた方がいいでしょう。」
「アイツそんなに無いんですか?」
「サンチェスターが考えているより遥かに少ないです…君からすると無いに等しいでしょうね。」
「………。」
「フィンコックは本当は魔法が好きだと話してくれました。話を聞いていると、こっそり訓練していたかもしれませんね。ですかそれは危険です。昨日は途中で止めさせましたが部屋で倒れたりはしませんでしたか?」
「倒れ…はしませんでした…部屋に入る際、足が縺れたりはしてましたが…。」
「…そうですか。」
「魔力は使えば多少増えるんですがフィンコックの場合魔力量は変わらない、下手をすると減少しているようにも感じます。身体に何らかの原因がある可能性も考えられます。なので今後フィンコックは放課後定期的にここで魔法の訓練を行いつつ原因を探っていきますので、あまり恐い顔で私を睨まないでくださいね。」
「……はい。」
二人の会話に気付くことなく僕は二種類の魔法を同時に発動をさせるという魔法に集中していた。
63
お気に入りに追加
2,877
あなたにおすすめの小説


美形×平凡の子供の話
めちゅう
BL
美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか?
──────────────────
お読みくださりありがとうございます。
お楽しみいただけましたら幸いです。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています

王子様から逃げられない!
白兪
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる