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一章 純愛…ルート
僕の知らないところでバレていく
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「けほっけほっ」
咳をしながら目が覚めた。
「大丈夫か?」
隣のライアン様も既に起きていた。
「…へっき…」
声が掠れて出ていなかった。
「昨日やり過ぎたか?」
首を振った。
昨日は…気持ち良かった。
昨日の事を思い出すと心臓がバクバクして破裂しそうだったけど、相手がライアン様だと思うと興奮する。
…また、したいかも…。
当然かもしれないけど手首も目隠しも外されていたのに今気が付いた。
目の前にいるライアン様を見ることが出来、触ることが出来る。
手を伸ばせば唇に触れる事が出来た。
「ぁっ」
触れていた指が食べられる。
唇に触れればそう言うこともあり得るのに一切頭になかった。
動物に安易に手を伸ばして噛まれる子供のように驚いてしまった。
「だめっ」
指を引き抜き唇を奪った。
ライアン様とキスをするのは僕の唇だけ。
誰にも渡さない。
「風呂…入るか?」
コツンとおでこを当てた。
「はいるぅ。」
最近ではエッチの翌朝は二人で泡風呂に入るようになった。
だけど、事後の洗浄魔法をしてくれなくなり浴槽に入る前にライアン様の手によって綺麗にされる。
その間、僕はライアン様に抱きつき快感に耐える。
昨日の余韻と朝からの濃厚すぎる接触に、浴槽に浸かる時にはライアン様の身体の上で安心しきったように守られていた。
朝食も二人で食堂に向かう。
部屋を出る時に無性に手を繋ぎたくてライアン様にお願いすれば、快く叶えられた。
手を繋いで食堂に向かう姿は婚約者同士でもなかなか無い光景で、盛り上がっている恋人同士なら良くある光景でも期間限定のペアでは珍しい。
「よぉ、おはよう。朝から仲良いなっ。」
エドバルド様だった。
「あぁ、はよっ。」
「おはようございます。」
大きいライアン様の身体の横から顔を出して挨拶した。
「昨日は苛ついてたのに、今日は爽やかだな。」
「……ん?何かあったんですか?」
ライアン様が苛つくなんて…。
…僕に対して怒っていたことと関係ある?
「………何でもない、席で待ってろ。持っていく。」
「んっあ、はいっ。」
手が離れると少し寂しかったが、二人は食事を取りに行ってしまった。
どの席にするのか辺りを見渡し悩むと、近くにフレデリック様を見つけたので足が向いていた。
「あっおはようございます。」
「んっ、おはようございます。」
「ここ良いですか?」
「どうぞ。」
「ライアン様とエドバルド様ももうすぐ来ると思います。」
僕はフレデリック様の前に座った。
「ん?もしかして風邪でも引いた?声がっ…。」
「えっ?…あっいえ…大丈夫です…。」
「…あぁ」
フレデリック様からの返事で多分、何故声が枯れているのかバレたのが分かる。
恥ずかしい。
フレデリック様は潔癖というか、そういう話をしない人だから学園で当然の事でも気まずくなってしまう。
「おまたせぇーっ。」
エドバルド様の明るい声に助けられた。
隣にライアン様が座る。
「ありがとうございます。」
四人で食事をするのにも慣れ始めた。
「二人ってさぁ、最近同じ香りするよねぇなんで?」
エドバルド様は興味本意で聞いただけだと思う、そこまで深い意味はなく…。
同じ香水や同じ何かを共有しているくらいの疑問で聞いたに違いない。
まさか一緒にお風呂に入ってるなんて言えない。
「あぁ、一緒に風呂入ってるからなっ」
「あっ」
言っちゃうの?
躊躇いもなく…。
ライアン様大胆っ。
「風呂?」
「………。」
二人とも驚いてる。
朝からする話じゃないよ…。
「風呂?」
そんなに聞かないで。
「へぇ、フィンコック様はお風呂好きなんだね。」
あっそっち?
「ぅん。」
「…一緒に風呂?」
そこは忘れてエドバルド様っ。
「泡風呂が好きで今朝も一緒に入った。」
「…ぁっぁっぁっ」
なんでそんな詳しく言っちゃうの?言わなかったらバレないのに。
ライアン様のバカっ。
「泡風呂ねぇ?」
ニヤつくエドバルド様の次の質問が恐い。
「良い香りだね、何処の?」
フレデリック様が話をそらしてくれた。
いい人。
「これは、購買に売ってる石鹸とシャンプーとコンディショナーです。」
「えっ、購買で売ってるやつ?」
「はいっ、僕は結構好きです。」
食事を終えた生徒がパタパタと立ち去った。
多くの生徒が一斉に席を立ったので、もうそんな時間なのかと時間を確認するも余裕があった。
偶然皆が一斉に立ち去っただけだったのかな?
僕達も食事を終え授業の準備の為に部屋に戻った。
その間も許す限り手を繋いでいた。
「フィンコックって最近怪我でもしたのか?」
真剣な表情でエドバルド様が聞いてきた。
急にどうしてだろう?
「えっ?いえ、してませんよ?」
「ふーん…そぅ。」
それ以上はなかった。
気になることでもあったのかな?
「ライアン様、僕部屋戻りますね」
「あぁ」
僕が立ち去った後、ライアン視点。
「結構な事してんだなぁ。」
最近エドバルドがシャルに興味を持っているように感じる。
「…なにがだよ?」
「手首…痣がはっきりついてたな。」
目敏いな。
制服で隠れていたのに、いつ気が付いたんだ?
「声も掠れてたね。」
フレデリックもか…。
それでも二人は知らないんだよな。
シャルのあの時の姿を。
「……ふっ」
噂だけしか知らない二人は知ることがないのかと思うと笑みが溢れた。
「なんだよ、思い出し笑いかよ。」
「いや、俺はただシャルの願いを叶えてるだけだ。」
「「………ぇえっ、それって」」
二人の声が重なる。
それだけ驚いたのだろう、本来のシャルに。
教える気はなかったが、俺だけのシャルを自慢したかった。
「んじゃ教室で」
勝ち誇ったように部屋に戻った。
あっ、シャルに枕カバー買ってやんねぇと…破いちまったな。
咳をしながら目が覚めた。
「大丈夫か?」
隣のライアン様も既に起きていた。
「…へっき…」
声が掠れて出ていなかった。
「昨日やり過ぎたか?」
首を振った。
昨日は…気持ち良かった。
昨日の事を思い出すと心臓がバクバクして破裂しそうだったけど、相手がライアン様だと思うと興奮する。
…また、したいかも…。
当然かもしれないけど手首も目隠しも外されていたのに今気が付いた。
目の前にいるライアン様を見ることが出来、触ることが出来る。
手を伸ばせば唇に触れる事が出来た。
「ぁっ」
触れていた指が食べられる。
唇に触れればそう言うこともあり得るのに一切頭になかった。
動物に安易に手を伸ばして噛まれる子供のように驚いてしまった。
「だめっ」
指を引き抜き唇を奪った。
ライアン様とキスをするのは僕の唇だけ。
誰にも渡さない。
「風呂…入るか?」
コツンとおでこを当てた。
「はいるぅ。」
最近ではエッチの翌朝は二人で泡風呂に入るようになった。
だけど、事後の洗浄魔法をしてくれなくなり浴槽に入る前にライアン様の手によって綺麗にされる。
その間、僕はライアン様に抱きつき快感に耐える。
昨日の余韻と朝からの濃厚すぎる接触に、浴槽に浸かる時にはライアン様の身体の上で安心しきったように守られていた。
朝食も二人で食堂に向かう。
部屋を出る時に無性に手を繋ぎたくてライアン様にお願いすれば、快く叶えられた。
手を繋いで食堂に向かう姿は婚約者同士でもなかなか無い光景で、盛り上がっている恋人同士なら良くある光景でも期間限定のペアでは珍しい。
「よぉ、おはよう。朝から仲良いなっ。」
エドバルド様だった。
「あぁ、はよっ。」
「おはようございます。」
大きいライアン様の身体の横から顔を出して挨拶した。
「昨日は苛ついてたのに、今日は爽やかだな。」
「……ん?何かあったんですか?」
ライアン様が苛つくなんて…。
…僕に対して怒っていたことと関係ある?
「………何でもない、席で待ってろ。持っていく。」
「んっあ、はいっ。」
手が離れると少し寂しかったが、二人は食事を取りに行ってしまった。
どの席にするのか辺りを見渡し悩むと、近くにフレデリック様を見つけたので足が向いていた。
「あっおはようございます。」
「んっ、おはようございます。」
「ここ良いですか?」
「どうぞ。」
「ライアン様とエドバルド様ももうすぐ来ると思います。」
僕はフレデリック様の前に座った。
「ん?もしかして風邪でも引いた?声がっ…。」
「えっ?…あっいえ…大丈夫です…。」
「…あぁ」
フレデリック様からの返事で多分、何故声が枯れているのかバレたのが分かる。
恥ずかしい。
フレデリック様は潔癖というか、そういう話をしない人だから学園で当然の事でも気まずくなってしまう。
「おまたせぇーっ。」
エドバルド様の明るい声に助けられた。
隣にライアン様が座る。
「ありがとうございます。」
四人で食事をするのにも慣れ始めた。
「二人ってさぁ、最近同じ香りするよねぇなんで?」
エドバルド様は興味本意で聞いただけだと思う、そこまで深い意味はなく…。
同じ香水や同じ何かを共有しているくらいの疑問で聞いたに違いない。
まさか一緒にお風呂に入ってるなんて言えない。
「あぁ、一緒に風呂入ってるからなっ」
「あっ」
言っちゃうの?
躊躇いもなく…。
ライアン様大胆っ。
「風呂?」
「………。」
二人とも驚いてる。
朝からする話じゃないよ…。
「風呂?」
そんなに聞かないで。
「へぇ、フィンコック様はお風呂好きなんだね。」
あっそっち?
「ぅん。」
「…一緒に風呂?」
そこは忘れてエドバルド様っ。
「泡風呂が好きで今朝も一緒に入った。」
「…ぁっぁっぁっ」
なんでそんな詳しく言っちゃうの?言わなかったらバレないのに。
ライアン様のバカっ。
「泡風呂ねぇ?」
ニヤつくエドバルド様の次の質問が恐い。
「良い香りだね、何処の?」
フレデリック様が話をそらしてくれた。
いい人。
「これは、購買に売ってる石鹸とシャンプーとコンディショナーです。」
「えっ、購買で売ってるやつ?」
「はいっ、僕は結構好きです。」
食事を終えた生徒がパタパタと立ち去った。
多くの生徒が一斉に席を立ったので、もうそんな時間なのかと時間を確認するも余裕があった。
偶然皆が一斉に立ち去っただけだったのかな?
僕達も食事を終え授業の準備の為に部屋に戻った。
その間も許す限り手を繋いでいた。
「フィンコックって最近怪我でもしたのか?」
真剣な表情でエドバルド様が聞いてきた。
急にどうしてだろう?
「えっ?いえ、してませんよ?」
「ふーん…そぅ。」
それ以上はなかった。
気になることでもあったのかな?
「ライアン様、僕部屋戻りますね」
「あぁ」
僕が立ち去った後、ライアン視点。
「結構な事してんだなぁ。」
最近エドバルドがシャルに興味を持っているように感じる。
「…なにがだよ?」
「手首…痣がはっきりついてたな。」
目敏いな。
制服で隠れていたのに、いつ気が付いたんだ?
「声も掠れてたね。」
フレデリックもか…。
それでも二人は知らないんだよな。
シャルのあの時の姿を。
「……ふっ」
噂だけしか知らない二人は知ることがないのかと思うと笑みが溢れた。
「なんだよ、思い出し笑いかよ。」
「いや、俺はただシャルの願いを叶えてるだけだ。」
「「………ぇえっ、それって」」
二人の声が重なる。
それだけ驚いたのだろう、本来のシャルに。
教える気はなかったが、俺だけのシャルを自慢したかった。
「んじゃ教室で」
勝ち誇ったように部屋に戻った。
あっ、シャルに枕カバー買ってやんねぇと…破いちまったな。
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