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一章 純愛…ルート
秘密の訓練
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皆には内緒の先生と秘密の訓練が始まった。
秘密ってほどではないんだけど、誰にも話していないってだけ。
訓練場所もあまり使われていない、第三鍛練場だった。
あのフィンコックが先生と訓練しているとなればすぐに噂になるとギノフォード先生が気を使ってくれた。
初心者が行う魔法の訓練を、魔法マニアといっても良いくらいのギノフォード先生に付き合わせるなんて高位貴族のワガママと言われても仕方がないくらいの事をしている。
何故なら魔力量の多い人からすると、僕が行っているのは学園に入る前に習うべき基礎中の基礎らしい。
それほどAクラスとFクラスの人間の魔力量には差があるようだった。
それでもFクラスの人間は魔法を極めようとはしない。
魔力が上がれば子供が出来にくくなってしまうからだ。
残酷だが子供が埋めない人間は幸せになるのが難しいとされているのが、この世界の常識のようだった。
なのでFクラスは魔法の授業は実技より筆記が主で、実技試験で楽なものを選ぶのは一般的でシャルマンだけが楽をしていたわけではない。
皆、シャルマンの影に隠れていたに過ぎない。
Fクラスの者が最難度の試験を受けるのは、侯爵家次男のギノフォード先生へのアピールだったり成績優秀者のみが参加できる王家主催のパーティーに呼ばれる為だったりする。
シャルマンは公爵家なのでお茶会には当然呼ばれるので無理をする必要がなかった。
最近は夢を見なくなったが、シャルマンと王子が話す姿も以前は見ていた。
二人は真剣に会話するも次第にシャルマンが必死になり王子はちょっと…苦しそうな表情をさせていた。
シャルマンは必死に追いかけているようにも見えた。
…王子はシャルマンが嫌いだったのかな?
僕になってからは王子を追いかけることはないので王子が今何をしているとか誰とペアなのかは知らない…あっ、僕が変わってもらったので今はハーヴィル様が王子とペアです。
噂でハーヴィル様は珍しい光属性の使い手だと言うのを知った。
僕のワガママにもイヤな顔せずに受け入れてくれる心優しい人だったので、光属性を使えるのも納得だった。
だって、ゲームや漫画とかでは光は聖女を現していることが多くて、異世界から落っこちた僕よりも彼みたいな可愛くて優しい人の方が光属性はとても似合っている。
良くあるゲームだったらきっと王子と彼は運命の恋人なんだろうな。
僕は異世界から来た…なんだろう?
異世界から来ると大抵がチート能力が授けられるのに僕には何もなかった。
神様にも忘れられちゃったのかな?…そんな風に考えると悲しくなったので、ここまでにした。
だって、今日は魔法の訓練の為に来たんだもん。
いっぱい練習して少しでも魔力を増やして、一つでも多くの魔法を使ってみたかった。きっと楽しいんだろうな。
今日は先生が簡単に出来てしまう二属性を同時に生み出す訓練をした。
この世界では大抵の人が皆一つか二つの属性を持っていて、優秀な人は四つ持ち五つ持つ人は魔法に優れている人とされている。
ギノフォード先生は属性を五つ持ち、魔法省から声が掛かったにもかかわらず学園の教師をする変わり者の先生だと聞いた。
そんなすごい人がどうして先生をやってるのか興味はあったが、生徒の僕が聞いて良い事ではない気がしたので何も聞かなかった。
僕は運が良い事に二つの属性持ちだった。
魔力量は少ないけど。
まずは一つずつ属性を出すところから始めた。
僕の属性は水と風。
といっても掌サイズの水の塊と、手で仰ぐ程度の風が生み出すのが精一杯だけど。
それを2つ同時にするのはかなりの難易度で、水を生み出せば風は消えて、風に集中すれば水は地面に消えていた。
ただただ、交互に出しているだけになるもかなりの魔力を消費した。
「はぁはぁはぁ」
魔力を使うと言うのは体力を使うのと同じで次第に全身がダルくなってくる。
呼吸は荒くなり汗も首筋を流れるのを感じた。
「フィンコック今日はここまでにしましょう。」
ギノフォード先生の声は僕に届いていた…けど、コツを付かんだのでもう少しで出来そうな予感なんだ。
今やめたくない。
もう少し、もう少し。
「ふぇえ」
ため息くらいの風と、雫一滴一滴が生まれ融合していく。
じっくり見ないとわからないくらいの魔法でもギノフォード先生は把握してくれた。
魔力の多い人にはこの程度でも僕には大事件なことだった。
「で、できた、出来た、センセっ、出来た、出来たよね?」
勢い余って先生の胸に飛び込んでいた。
「えぇ、確認しました。」
優しく肩を包まれ距離をとられ、僕は嬉しくて先生に抱きついてしまったと理解した。
「あっ、すみません。」
「いえ、よく頑張りましたね。」
「エヘヘ……ありぇぇ……」
視界が斜めに落ちていく、どうしたんだろう。
「フィンコックっ」
先生の声がしたのに身体が動かない。
今はすごく眠い。
秘密ってほどではないんだけど、誰にも話していないってだけ。
訓練場所もあまり使われていない、第三鍛練場だった。
あのフィンコックが先生と訓練しているとなればすぐに噂になるとギノフォード先生が気を使ってくれた。
初心者が行う魔法の訓練を、魔法マニアといっても良いくらいのギノフォード先生に付き合わせるなんて高位貴族のワガママと言われても仕方がないくらいの事をしている。
何故なら魔力量の多い人からすると、僕が行っているのは学園に入る前に習うべき基礎中の基礎らしい。
それほどAクラスとFクラスの人間の魔力量には差があるようだった。
それでもFクラスの人間は魔法を極めようとはしない。
魔力が上がれば子供が出来にくくなってしまうからだ。
残酷だが子供が埋めない人間は幸せになるのが難しいとされているのが、この世界の常識のようだった。
なのでFクラスは魔法の授業は実技より筆記が主で、実技試験で楽なものを選ぶのは一般的でシャルマンだけが楽をしていたわけではない。
皆、シャルマンの影に隠れていたに過ぎない。
Fクラスの者が最難度の試験を受けるのは、侯爵家次男のギノフォード先生へのアピールだったり成績優秀者のみが参加できる王家主催のパーティーに呼ばれる為だったりする。
シャルマンは公爵家なのでお茶会には当然呼ばれるので無理をする必要がなかった。
最近は夢を見なくなったが、シャルマンと王子が話す姿も以前は見ていた。
二人は真剣に会話するも次第にシャルマンが必死になり王子はちょっと…苦しそうな表情をさせていた。
シャルマンは必死に追いかけているようにも見えた。
…王子はシャルマンが嫌いだったのかな?
僕になってからは王子を追いかけることはないので王子が今何をしているとか誰とペアなのかは知らない…あっ、僕が変わってもらったので今はハーヴィル様が王子とペアです。
噂でハーヴィル様は珍しい光属性の使い手だと言うのを知った。
僕のワガママにもイヤな顔せずに受け入れてくれる心優しい人だったので、光属性を使えるのも納得だった。
だって、ゲームや漫画とかでは光は聖女を現していることが多くて、異世界から落っこちた僕よりも彼みたいな可愛くて優しい人の方が光属性はとても似合っている。
良くあるゲームだったらきっと王子と彼は運命の恋人なんだろうな。
僕は異世界から来た…なんだろう?
異世界から来ると大抵がチート能力が授けられるのに僕には何もなかった。
神様にも忘れられちゃったのかな?…そんな風に考えると悲しくなったので、ここまでにした。
だって、今日は魔法の訓練の為に来たんだもん。
いっぱい練習して少しでも魔力を増やして、一つでも多くの魔法を使ってみたかった。きっと楽しいんだろうな。
今日は先生が簡単に出来てしまう二属性を同時に生み出す訓練をした。
この世界では大抵の人が皆一つか二つの属性を持っていて、優秀な人は四つ持ち五つ持つ人は魔法に優れている人とされている。
ギノフォード先生は属性を五つ持ち、魔法省から声が掛かったにもかかわらず学園の教師をする変わり者の先生だと聞いた。
そんなすごい人がどうして先生をやってるのか興味はあったが、生徒の僕が聞いて良い事ではない気がしたので何も聞かなかった。
僕は運が良い事に二つの属性持ちだった。
魔力量は少ないけど。
まずは一つずつ属性を出すところから始めた。
僕の属性は水と風。
といっても掌サイズの水の塊と、手で仰ぐ程度の風が生み出すのが精一杯だけど。
それを2つ同時にするのはかなりの難易度で、水を生み出せば風は消えて、風に集中すれば水は地面に消えていた。
ただただ、交互に出しているだけになるもかなりの魔力を消費した。
「はぁはぁはぁ」
魔力を使うと言うのは体力を使うのと同じで次第に全身がダルくなってくる。
呼吸は荒くなり汗も首筋を流れるのを感じた。
「フィンコック今日はここまでにしましょう。」
ギノフォード先生の声は僕に届いていた…けど、コツを付かんだのでもう少しで出来そうな予感なんだ。
今やめたくない。
もう少し、もう少し。
「ふぇえ」
ため息くらいの風と、雫一滴一滴が生まれ融合していく。
じっくり見ないとわからないくらいの魔法でもギノフォード先生は把握してくれた。
魔力の多い人にはこの程度でも僕には大事件なことだった。
「で、できた、出来た、センセっ、出来た、出来たよね?」
勢い余って先生の胸に飛び込んでいた。
「えぇ、確認しました。」
優しく肩を包まれ距離をとられ、僕は嬉しくて先生に抱きついてしまったと理解した。
「あっ、すみません。」
「いえ、よく頑張りましたね。」
「エヘヘ……ありぇぇ……」
視界が斜めに落ちていく、どうしたんだろう。
「フィンコックっ」
先生の声がしたのに身体が動かない。
今はすごく眠い。
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