【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

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一章 純愛…ルート

シャルマン フィンコックって良いな(生徒二人)

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「フィンコック良いな。」

試験結果を確認しに掲示板に訪れると、掲示板の前でフィンコックとサンチェスターがキスをしていた。
周囲の目も気にせず、色気を振り撒く姿は目が離せない。
元々綺麗な顔のフィンコック、入学当初はペアになりたいと騒がれていたが性格を知り違う意味で騒がれるようになった。

「急になんだよ、前までは嫌だとか言ってたじゃないかよ。」

確かにこいつの言う通りだ。
顔に騙されて性格はとんでもなかったと言うのが俺の中のフィンコックの印象だった。
俺も周囲の奴らと同じようにペア用紙に拒否の意味を込めてフィンコックの名前を書いていた過去がある。

「いやぁさぁ、誰にでも興味ない奴が自分にだけエロくなるとか気持ちいいだろ…あの顔見ろよ。」

視線の先にはペアの男とキスをして、艶冶な姿で周囲の男の本能を煽っているフィンコックがいる。

「蕩けきった顔、エロいねっ。」

遠くにいた俺達でさえこの反応だ、側でフィンコックの表情を目撃した奴らは引き寄せられるように近付いていたが、ペアの男が守っていた。

「しかも、あのシャルマン フィンコックだぜ?」

「フィンコックをあれだけ変えるってサンチェスターなにしたんだろうな?」

ライアン サンチェスター。
奴の名前を最近よく聞く。
あのフィンコックにペアを継続させた男。
王子とのペアを断らせた男。
そして「キス」が許された男。
今抱く側で王子より注目を集めている男だ。

「教えてくんねぇかなぁ。」

…嘘だ。
そんなの俺のプライドが許さねぇ。
 
「教えて貰って誰に試すんだよ?」

誰に?
誰だろうな…。
 
「んー今のペアは…そう言えばよ、薬の検査の時に「今までペアになった奴の事も忘れらんねぇ」って宣言してたのいたよな?」

自白の症状が出た男。
入学当初フィンコックと並ぶように騒がれていた男爵家の男だ。
始めは顔で騒がれ、次は魔力検査で騒がれた。
彼の魔力量は大して多くはないが、珍しい光属性の持ち主であることが分かると一気に噂が広まった。
光属性は俺達の学年では彼だけだ。
というより、今の学園には彼しかいない。
何年か前には居たが高位貴族に囲われたと聞く。
伯爵家の俺でさえ見たことがなく、実在するのかすら疑わしい。
あいつもきっと高位貴族に嫁げばそうなるだろうな。
もしかしたら年齢も一緒なので王子の側室も考えられる…運が良ければ。
王族も何代か前に光属性の側室が居たと聞くが、誰一人光属性を継いでいなかった。
今回も欲しているのではと容易に推測できる。
下位貴族が光属性ね…。
愛人として人気になるだろうな。

「そうだった…かな、テアドールは喜んでたし過去のペアの奴らも御機嫌だったな。」

テアドールだけじゃなくバーナードも光属性とペアの経験あったな。
光属性と分かってから高位貴族ばかりがペアになっているのは偶然か?
男爵家にそんな力はない。
だとすると他貴族か光属性自身が動いたか。
やたら教師にすり寄っているように見えたな…。 
フィンコックとは違いうまくやっているように見える。

「「皆良かった」は、結果的にどれも同じだったって事だろ?」

「んーまぁ、そう言うことかな?それでもテアドールは良かったんじゃないのか?宣言の光属性とのペアの前はフィンコックだったしな。」

偶然か?
フィンコックの後に光属性とペアになるって…そう言えば…。

「誰にも反応しない奴と誰にでも反応する奴…誰にでも反応すんのは詰まんねぇよな…。そう言えばよぉ、フィンコックのペアに取り入ろうとしてたあの二人組ってどこ行ったんだろうな?」

フィンコックで傷付いた男に優しく、まるで聖女のように振る舞うも腹ん中では高位貴族に取り入ろうとハイエナやってる奴ら。
気付かない時は良い奴と思っていたが、裏の顔を知ってしまうと遠慮するような奴らだった。
あいつらはフィンコックへの暴言が酷かった。
フィンコックが相手にしていなかったので大事にはならなかったが、万が一公爵に知られたら徒では済まされないだろう。
それが分かる奴らは、あの子爵二人を相手にしないが…気が緩んでんのか関係を持つ奴が増えていた。

「あぁ、彼らね。噂によると貸出されたんじゃ?って言われてる。」

「貸出?アイツらが?」

貸出って子供が出来ない夫婦に一年契約で代わりに出産するんだよな?
ただし、子供が出来ても出来なくても期限が過ぎれば出ていか無ければならない。
一度貸出になった者は今後、結婚も愛人も難しくなると言われている。
貸出は金に困った貴族か、平民がなる仕事だ。
娼婦よりも辛いと言われている。
出産は魔力と体力を使う為何度もできる事ではなく、命懸けの仕事と言われている。
それを、子爵令息二人が同時に?
何か問題を起こしていたのか?…軽いものではなく何か大きな事だ。
でなけらば貸出なんて想像も出来ない。

「噂だよ噂、急に消えたからね。だけど一度貸出されたら結婚も愛人も難しいよねぇ。彼ら高位貴族に近付く為にフィンコックのペアになった欲求不満な奴らに目を付けてたんだから。」

「………公爵か?」

「それも疑ったけど、子爵家が何かやらかしたみたいだよ王族が動いたって騒がれてたし。」

「んーそうか…。」

王族…。
フィンコックの為に王族が動くとは思えない…。
あれだけ追いかけていたのに、ペアになったかと思えば交換を希望したのはフィンコックだった。
王族としては、あれだけ振り回されれば迷惑な話で、そんな奴のために権力を使うとは思えない。

「彼らには深入りしない方がいいよ。」

「だな。…あそこに居んのってドルドリッチだよな?なにしてんだアイツ?」

平民相手に貴族が不満をばら蒔いていた。

「さぁ?…あいつも今じゃ噂になること多いな。」

「ん?」

ドルトリッチ ミッドシュルディガー。
公爵家でBクラスの奴。
出会った頃から平民への態度が悪く周囲を険悪にさせていた男だ。

「あいつも、過去にフィンコックとペアだったんだんだよな。その時、詰まんねぇだの面白味がないだの色々触れ回ってた。結果フィンコックから拒絶されて三回目は無かったみたいだけど、当時は自分が断ったって豪語してたけどフィンコックの変わりようからして詰まらなかったのも面白くなかったのもあいつなんじゃないのか?って、噂が出始めだんだよ。この様子だと本当かもな。」

「それで、威張り散らしてるってわけか。」

「だな。」

そう言うところだろ?変な噂が立つのはよ。
 
「…ライアン サンチェスターか…。」

「辺境伯爵家の騎士でそこまで有名じゃなかったが…今回の試験も奴が関係しているらしい。」

辺境騎士…必要な存在だが、辺境というのは王都に滞在が出来ないと言うことで結婚は嫌煙されがちなんだよな。
伯爵家で能力もあり顔も良いのに、王都から離れたくないパーティーには毎回出席しお茶会でも自慢話に花を咲かせたい連中は奴を婚約者候補にも選ばないんだとか。
愛人という選択肢もあるが、嫁ぐ方が愛人をというのは難しく、爵位が低ければ尚更だ。愛人が持てるのはサンチェスターの方だろうな。

「フィンコックが勉強したなんて信じらんねぇけど、サンチェスターが不正をするとは思えないし信じるしかないわなぁ。」

「魔法の試験も真面目にやって、終了直後に倒れてギノフォード先生に運ばれたってよ。」

「魔法にしか興味の無いギノフォード先生が不真面目なフィンコックを?」

ギノフォード先生ね。
誰にでも入省出来るものじゃない魔法省の推薦を蹴って教師を選んだ変わり者。
侯爵家次男で自由人、生徒に人気で婚約者候補として狙われている。

「それもあって、サンチェスターのフィンコックへの囲い方は凄まじいな。」

「え?」

教師にも嫉妬って見境ねぇな。

「あれ?知らないか?」

「何がだよ。」

「フィンコックの身体。」

「身体?」

あぁ、確かに少し辛そうに歩いていたな?

「何日か前から首に凄い噛み痕があるってやつ、俺も見たけど歯形がくっきりだった。」

歯形?
あのフィンコックの身体に痕を残すなんて…。

「それ本当かよ?見に行こっ。」

「…そういう時だけ行動力有るよな…。」

フィンコック…最近良い匂いだよな。
今後はきっとサンチェスターが卒業までペアになるんだろうな。

残念だ。

…一度くらいペアになりたかった…なんて都合が良いよな…拒否したい相手に名前を書いておきながら…。
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