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一章 純愛…ルート
ライアン視点
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今日は約束した祭りの日。
待ち合わせ場所には既にシャルマンがいた。
「待ったか?」
「うんん」
シャルマンと俺の友人が仲良くなるのは悪いことじゃない…。
「僕の事はシャルマンとお呼びください。」
シャルマンっ…。
俺はお前の特別じゃないのか?
そんな簡単に許すのか?
「…ダメ…ですか…?」
お前にとって俺もコイツらも同じか?
ペアは俺じゃなくても…いいの…か?
「お二人と、もっと仲良く…。」
もう辞めろ。
「シャルマン、焦るな。」
これ以上俺以外と深く関わろうとするな。
「…はぃ」
シャルマンに悲痛な表情をさせているのは器の小さな俺の所為だ。
それでも俺は…小さい男だな。
祭りの雰囲気が伝わるにつれてシャルマンの表情が明るくなった。
「シャルマン、はぐれるなよ。」
「あっはい。」
人混みを歩いた経験の少ないシャルマンには祭りの行き交う群れを歩くのは難しいだろう。
「ぅわぁっ。」
「気を付けろ。」
案の定シャルマンは躓き、力強く抱き寄せた。
シャルマンは気付いていない、すれ違う人間がシャルマンを意識していたことを。
側を歩いていたんじゃなく、側に寄って来ていた。
俺達が居なかったら祭りを理由にナンパしていたに違いない。
シャルマンの髪色や瞳の色はこの国には珍しくどうしても目を引いてしまう。
加えてあの美しい顔、誰もが振り向くのは当然だ。
「ごめんなさい。」
シャルマンの手を取った、こいつは俺のモノだと分からせるために。
誰にもやる気はない。
「俺の側を離れるな。」
「…はぃ。」
先程まで、はしゃいでいたのに今は静かに俺の隣に居る。
そんな顔をさせたかったんじゃない、守りたかったんだ。
俺の隣はつまらないか?
「腹減ってるか?」
「ん?んー、わかんない。」
シャルマンの返事は俺への評価のように感じた。
「あれ、食ってみるか?」
沈黙が怖かった。
「はいっ。」
シャルマンは進めれば受け入れる。
なにも知らない素直な気持ちを俺は利用していたのか?
俺じゃなく…エドバルドやフレデリックでも良かったのか?
「んっんぉいしー」
俺の進めた肉を喜んで食べる姿に安心した。
「あー俺も…好きだなぁ。」
「はい、どうぞ?」
エドバルドの言葉にシャルマンは持っていた肉を差し出した。
止めろ。
そんなこと俺にもしたこと無いだろ?
何でエドバルドなんだ…。
「あっいえ、なんでもないです。」
やめろ。
「え?…あの…エドバルド様がお嫌でなければ…。」
俺は嫌だ。
エドバルドも断れ…。
祈りむなしく食べさせていた。
「…ぇへ」
その顔を俺以外に向けるな。
結局フレデリックにも肉を進め最後の一個を食べる姿に釘付けになった。
「んぁっ」
シャルマンは公爵令息だ、串ものを食べたことがないんだろう。
肉を咥えて串を引き抜くのだが最後の一欠片を口にした瞬間肉の半分が落ちかけていた。
俺は迷う事なくシャルマンの残りの肉を食った。
周囲の人間が俺達に注目していたのには気付いていたが、あえて見せ付けるようにした。
当然その中にはエドバルドとフレデリックも入っていた。
肉を食べる際シャルマンの唇に触れた。
「ん」
顔を赤らめ俯いている姿を見て俺を意識しているのが分かるともっとシャルマンを俺だけしか考えられないようにしたかった。
その後もイヤらしい目で見る輩やシャルマンの二人に対する接し方に嫉妬を覚えた。
「こんな気持ち悪いもん渡されても調理できない、棄てろ棄てろ。…バカにしやがって。」
店主の怒鳴り声にシャルマンが怯えたのが分かる。
「大丈夫だ、気にするな。」
平民であれば日常茶飯事だが、貴族であんな大きな声をあげるのは滅多にないと落ち着かせたが、今度はシャルマンが大声をあげて店主に駆け寄った。
「なんだ、お前はっ。」
俺も急いで駆け寄った。
必死に言葉を紡ぎながらシャルマンは海の虫の調理を言い出した。
「ぼ、僕が調理しまう。」
一生懸命に伝えようとして噛む姿は可愛かったので気付かない振りをした。
その後シャルマンは驚く程手際よく調理を始めた。
信じていなかった訳ではないが、海の虫は見た目を敬遠され調理しようと端から考えている者はいなかった。
それをあそこまで美味しくするとは驚き、その後の料理も旨かった。
「へへ…はい、おいちぃっ」
最後にも噛んでいた。
エドバルドまフレデリックも気付いていたが触れないでいる。
幼い頃からの友人だからわかる…二人もシャルマンに興味を持ち始めていることを。
特にエドバルドは…。
待ち合わせ場所には既にシャルマンがいた。
「待ったか?」
「うんん」
シャルマンと俺の友人が仲良くなるのは悪いことじゃない…。
「僕の事はシャルマンとお呼びください。」
シャルマンっ…。
俺はお前の特別じゃないのか?
そんな簡単に許すのか?
「…ダメ…ですか…?」
お前にとって俺もコイツらも同じか?
ペアは俺じゃなくても…いいの…か?
「お二人と、もっと仲良く…。」
もう辞めろ。
「シャルマン、焦るな。」
これ以上俺以外と深く関わろうとするな。
「…はぃ」
シャルマンに悲痛な表情をさせているのは器の小さな俺の所為だ。
それでも俺は…小さい男だな。
祭りの雰囲気が伝わるにつれてシャルマンの表情が明るくなった。
「シャルマン、はぐれるなよ。」
「あっはい。」
人混みを歩いた経験の少ないシャルマンには祭りの行き交う群れを歩くのは難しいだろう。
「ぅわぁっ。」
「気を付けろ。」
案の定シャルマンは躓き、力強く抱き寄せた。
シャルマンは気付いていない、すれ違う人間がシャルマンを意識していたことを。
側を歩いていたんじゃなく、側に寄って来ていた。
俺達が居なかったら祭りを理由にナンパしていたに違いない。
シャルマンの髪色や瞳の色はこの国には珍しくどうしても目を引いてしまう。
加えてあの美しい顔、誰もが振り向くのは当然だ。
「ごめんなさい。」
シャルマンの手を取った、こいつは俺のモノだと分からせるために。
誰にもやる気はない。
「俺の側を離れるな。」
「…はぃ。」
先程まで、はしゃいでいたのに今は静かに俺の隣に居る。
そんな顔をさせたかったんじゃない、守りたかったんだ。
俺の隣はつまらないか?
「腹減ってるか?」
「ん?んー、わかんない。」
シャルマンの返事は俺への評価のように感じた。
「あれ、食ってみるか?」
沈黙が怖かった。
「はいっ。」
シャルマンは進めれば受け入れる。
なにも知らない素直な気持ちを俺は利用していたのか?
俺じゃなく…エドバルドやフレデリックでも良かったのか?
「んっんぉいしー」
俺の進めた肉を喜んで食べる姿に安心した。
「あー俺も…好きだなぁ。」
「はい、どうぞ?」
エドバルドの言葉にシャルマンは持っていた肉を差し出した。
止めろ。
そんなこと俺にもしたこと無いだろ?
何でエドバルドなんだ…。
「あっいえ、なんでもないです。」
やめろ。
「え?…あの…エドバルド様がお嫌でなければ…。」
俺は嫌だ。
エドバルドも断れ…。
祈りむなしく食べさせていた。
「…ぇへ」
その顔を俺以外に向けるな。
結局フレデリックにも肉を進め最後の一個を食べる姿に釘付けになった。
「んぁっ」
シャルマンは公爵令息だ、串ものを食べたことがないんだろう。
肉を咥えて串を引き抜くのだが最後の一欠片を口にした瞬間肉の半分が落ちかけていた。
俺は迷う事なくシャルマンの残りの肉を食った。
周囲の人間が俺達に注目していたのには気付いていたが、あえて見せ付けるようにした。
当然その中にはエドバルドとフレデリックも入っていた。
肉を食べる際シャルマンの唇に触れた。
「ん」
顔を赤らめ俯いている姿を見て俺を意識しているのが分かるともっとシャルマンを俺だけしか考えられないようにしたかった。
その後もイヤらしい目で見る輩やシャルマンの二人に対する接し方に嫉妬を覚えた。
「こんな気持ち悪いもん渡されても調理できない、棄てろ棄てろ。…バカにしやがって。」
店主の怒鳴り声にシャルマンが怯えたのが分かる。
「大丈夫だ、気にするな。」
平民であれば日常茶飯事だが、貴族であんな大きな声をあげるのは滅多にないと落ち着かせたが、今度はシャルマンが大声をあげて店主に駆け寄った。
「なんだ、お前はっ。」
俺も急いで駆け寄った。
必死に言葉を紡ぎながらシャルマンは海の虫の調理を言い出した。
「ぼ、僕が調理しまう。」
一生懸命に伝えようとして噛む姿は可愛かったので気付かない振りをした。
その後シャルマンは驚く程手際よく調理を始めた。
信じていなかった訳ではないが、海の虫は見た目を敬遠され調理しようと端から考えている者はいなかった。
それをあそこまで美味しくするとは驚き、その後の料理も旨かった。
「へへ…はい、おいちぃっ」
最後にも噛んでいた。
エドバルドまフレデリックも気付いていたが触れないでいる。
幼い頃からの友人だからわかる…二人もシャルマンに興味を持ち始めていることを。
特にエドバルドは…。
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