【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨 七緒

文字の大きさ
上 下
39 / 414
一章 純愛…ルート

ライアン視点

しおりを挟む
ペアの授業がもっと頻繁に有ればいいのに…入学したての学生のような事を考えていた。
そうすれば授業中も堂々とフィンコックに触れることが許される。
今回の授業は薬を服用し、その症状で子を宿しやすいかを見極めるものだった。
反応として、睡眠・自白・催淫の三種類のどれかが現れると説明された。
大半の人間というか、ほほ全生徒が睡眠効果が現れる。
睡眠に入る時間で子供が宿しやすいかが分かる。
子を宿しやすい者は数分で寝てしまい、難しいものは睡眠効果が現れるまで時間がかかる。
なんの反応もない者は…宿しにくいという結果だ。
最も子供を宿しやすい人間になると自白や催淫の効果があるとされているが、特に催淫は滅多にない症状だと説明を受けた。
それでも万が一を考えペアが相手のケアすることになっている。
薬が効くがどうかは、魔力量も関係なくはないが本人の体質か一番らしい。
服用する方には今日の授業内容は公表されていない。
何故なら服用するのは子を宿す側、生む人間にしか効かない薬だと言われている。
そして結果次第で婚約が決まることもあれば、愛人候補として話が来ることもある。
この検査は産む側にとっては人生が決まる日なのかもしれない。

今日のフィンコックはなんだか落ち着きがないように見える。
俺を見ては顔を伏せ再び視線が合うと顔を背けるのを何度も繰り返す。
二人きりのベッドの授業であれば、抱きしめてフィンコックの唇を貪り全身を味わい尽くすというのに人目があるこの状況では我慢するしかなかった。
教師がフィンコックを見る目が気に入らないな。
フィンコックもなんだか意識しているように見てとれる。

二人は過去に何か有ったりするのか?

…いちいち過去のことを詮索するべきではないと分かりつつも気になってしまう。
教師の話が終われば紅茶に手を伸ばすフィンコックを視界に捉えた。
その紅茶に何かが入っているとは疑わずに口をつける。
どんな反応だとしても構わない、フィンコックを初めて部屋へ招く予定だから。
小さな口でコクンと飲む姿は意地悪したくなる。
何をするかって、俺が口移しで飲ませたらその小さな口で受け止めきれるのか?とか…。
現実と妄想が入り乱れている間に、フィンコックの身体は反応が出始めた。
頬がほんのりと赤く染まり口で呼吸し始めた。

「おいっ平気か?」

俺の言葉に返事はなくとも確り俺を見つめている。
俺の頬にフィンコックの柔らかい手が触れ、唇をなぞりフィンコックの顔が近付き唇が喰われた。
小さな声を漏らしながら俺の口の中に入ろうと舌で唇を割る。
俺の反応に気を悪くしたのか、一度離れた。

「前みたいに…気持ちいいのして」

フィンコックの言葉は強烈で授業を忘れてしまいそうになる。

これはきっと催淫効果だ。

フィンコックは魔力が少ないし体力もない、当然薬は効きやすいだろうと予想はしていたがまさかの催淫の反応が出るとは思わなかった。
楽しみ過ぎて笑みがこぼれる。
この唇に今すぐ貪りつきたいと言う気持ちと、この顔を誰にも見せたくない。
フィンコックをここまで感じさせているのは俺だと見せ付けたい様々な感情が生まれる。
返事をしない俺に焦らされたのか再び唇が重なる。
フィンコックの俺の舌を求める必死な姿。
身長差があっても気にせず首に腕を回し自ら俺に跨がりキスを続ける。

「…ライアン様?どうして…」

これは薬の所為だけなのか?
薬がなければフィンコックは自ら俺を求めることもないのか?
相手が俺じゃなくてもそんな反応見せるのか?

「…俺じゃなくてもいいんじゃないのか?他の奴でも…。」

今なら頑なに自分の気持ちを言わないフィンコックから素直な気持ちが聞けるのではと思った。
俺の望む言葉でなかったら…俺は…ペア解消出来るだろうか…。

「ヤダ、ライアン様が良いっ。」

悩むこと無くフィンコックが答えた事に驚いた。

「ここには俺以外にもお前を知ってる奴がいる。」

言いながらも、フィンコックの身体を知るのは俺だけで十分だと思っている。

「僕はっライアン様しか知らないっ知りたく…ないよ。」

俺に縋り付いた。
泣いて…るのか?

「ねぇ、僕にもっと触って。」

俺の耳元で俺にしか聞こえない程の小さな声で囁いた。
悪魔の誘惑だな。
魔性、小悪魔通り越してフィンコックは悪魔だ。
俺はもうフィンコックに逆らえないだろう。
細い腰を引き寄せれば、フィンコックも自ら俺に身を寄せ俺の首筋に息がかかる。
抱き締めたまま立ち上がり、フィンコックを拐う。
この場で抱く気はない、例え授業だとしてもこれ以上のフィンコックを見せるつもりはなかった。
部屋までフィンコックは大人しく俺に身を預けていた。
こんなに軽くて大丈夫なのか?
初めてフィンコックを俺の部屋に招き入れた…というより閉じ込めた。
ベッドの上に優しく下ろし、未だに俺の首に腕を回し離さないフィンコックが愛おしい。

「フィンコック」

名前を呼べば、腕の力が少し緩み視線が合えば唇が重なる。
フィンコックとのキス。
柔らかい唇に小さな舌、もっと味わい尽くしたい。
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!

灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」 そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。 リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。 だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く。が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。 みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。 追いかけてくるまで説明ハイリマァス ※完結致しました!お読みいただきありがとうございました! ※11/20 短編(いちまんじ)新しく書きました! ※12/14 どうしてもIF話書きたくなったので、書きました!これにて本当にお終いにします。ありがとうございました!

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

悪役令嬢の兄、閨の講義をする。

猫宮乾
BL
 ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。

【完結】乙女ゲーの悪役モブに転生しました〜処刑は嫌なので真面目に生きてたら何故か公爵令息様に溺愛されてます〜

百日紅
BL
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でしたーー。 最後は処刑される運命の悪役モブ“サミール”に転生した主人公。 死亡ルートを回避するため学園の隅で日陰者ライフを送っていたのに、何故か攻略キャラの一人“ギルバート”に好意を寄せられる。 ※毎日18:30投稿予定

処理中です...