【完結】ハーレムルートには重要な手掛かりが隠されています

天冨七緒

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一章 純愛…ルート

ライアン視点

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抱く相手は誰でも変わらない。
相手を感じさせ、相手の中で果てる。
それだけの行為。

貴族にとっては子孫を残すのが第一優先。
いくら魔道具が発達しても、子供は必ず授かるものではなかった。
なので結婚後に愛人を作るのは当たり前であり不思議なことではなかった。
今後愛人を作る可能性があることを前提で皆結婚をする。
結婚前交渉にも愛人についてや子供が出来なかった場合の跡取りや実家の後ろ楯について詳しく決めておく必要がある。
貴族の結婚は義務であり幸福の象徴ではなかった。
それでも恋愛結婚を夢見る者はいる。
彼らを否定するつもりはない。
ただ、俺は恋愛を信じたりはしない。

俺の両親は運が良かった。
政略結婚で父は辺境伯爵、母は伯爵家の三男だった。
伯爵家という立場はあっても子供が出来なければ惨めな思いをしてしまう。
父は魔力が高く、母は魔力が弱い人間だったから可能性は有ると自分に言い聞かせるも不安で一杯だったと幼い頃に聞いた。

「生まれてきてくれてありがとう。」

母に泣きながら言われたのは覚えている。
父を愛した結晶として俺が生まれたことで感謝しているわけではない。
俺が生まれたことで追い出されることも惨めな思いをすることもないという思いからの感謝だと理解していた。
父は辺境の騎士として活躍している、誰かを守る為に必死に戦う父を俺は尊敬していた。
なので、俺の存在で母が守れたのであればそれで良かった。
俺が生まれ三年後には弟が生まれた。
母はあれから父への愛を自覚して父も騎士として常に険しい表情の印象だったが母と二人一緒にいるのを目撃するようになった。
偶然両親のキスを目撃したときは衝撃だった。
あまりの衝撃に身動きが取れず、その場で立ち尽くしていれば母に見つかった。
母も息子に父との逢瀬の現場を見られ顔を赤くしていた。
父は動揺することなく母の肩を抱き俺に見せ付けてきた。
俺の両親は円満な夫婦で、俺はそんな二人の子供だった。

結婚前から無理に恋愛しなくても結婚後に両親のように仲睦まじい夫婦が俺の理想だ。

政略結婚の条件は子爵・伯爵・侯爵の次男、三男を希望している。
爵位が違いすぎれば家族でも上下関係が生まれ面倒だと聞いた事がある。
それに一番重要なのが、俺は父の後を継ぎ辺境騎士になる予定だ。
なので、俺は王都に住むつもりはない。
貴族夫人は大抵王都に住みたがるが、そういう相手は申し訳ないが断らざるを得ない。
本妻を王都に住ませ、愛人を辺境に住まわせることも一つの案なのかもしれないが面倒なのは避けたい。
相手が下位貴族であれば可能だが高位貴族では…。
なので、俺の結婚への条件は爵位と辺境に住めるかどうかだった。
そういう人物を学園で見付けなければならない…だが、必死に探すつもりはない。
同学年じゃなくてもそのような人間はいるだろう。
焦って煩わしいのには間違っても手を出したくない。
俺の第一優先は辺境騎士として領民を守ること。
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