10 / 414
一章 純愛…ルート
混乱する
しおりを挟む
お昼になってもあまり食欲が湧かなかった。
先程の彼らの会話が頭から離れなくて…。
申し訳ないと思いながら、ほとんど口を付けずに席を立った。
トレーを手に振り返れば目の前にはライアン様がいて驚いた。
ライアン様と偶然会うことなんて今までに無かったから。
「全然食ってねぇじゃん。」
「ぁっ…ぅん、あんまり食欲無くて…。」
ライアン様は僕の残ったトレーを見て、おもむろに僕のトレーに残っている果物に手を伸ばした。
一つを手にし、僕の方へ差し出す。
「食べろ…。」
「えっ?」
「食えって。」
ライアン様が僕の口元に果物を差し出していた。
確認を込めて見上げ視線が合うも諦めてくれる雰囲気はなかったので僕が諦め、ライアン様の指を食べないように果物だけを口にした。
その瞬間、カフェテリアがざわついた。
僕はシャルマンを知らないが、シャルマンを知っている者にとっては信じられない光景だった。
高位貴族でプライドの高いシャルマンが他人の手すがら食べ物を頂くなんて。
しかも、直接手にしたものを。
カフェテリアに居る人達は彼らから視線を外すことが出来ず、ひたすら次何するのかを見続けていた。
一つ食べ終えれば、別の果物を差し出される。
親鳥が雛鳥に餌を口移しで与えるように餌付けされていた。
気を付けながら食べていたが、ライアン様の指に唇か当たってしまい「あっ」と思いライアン様を見ても彼は無反応だった。
僕だけがライアン様を意識していた事実に少し胸に痛みが走る。
その後、何度も繰り返しトレーにあった果物を全て食べきっていた。
「よく、食ったな。」
ライアン様は僕の頭をポンポンと撫でてくれた。
なんだか扱いが幼い子を相手にしているようだったけど、それでも僕は少し嬉しくてライアン様を見上げれば驚いた。
笑顔のライアン様を初めてみた、それどころか僕に対して笑ってくれる人が初めてだった。
ライアン様の笑顔から目が離せなくて、彼が近づいてくるのがまるで画面を見ているような感覚だった。
僕の身長に合わせ、耳元で囁いてくる。
ライアン様にはそんな気がないかもしれないが、少しエッチな気分になる。
「今日、行くからな。」
今日、行くからな?行くからな?どこに?僕の所に?
えっ?十日後じゃないの?今日来てくれるの?
「ぅ、うん」
頷いて足早にその場を離れた。
多くの人の視線など全く気にならないほど、ライアン様の言葉が頭を駆け巡る。
えっ今日来てくれるの?
だってエッチの練習は一週間から十日のペースでいいって、最後にしたのは昨日なのに?
良いのかな?
本当に来るの?
…さっき…あの人が…。
僕は待ってて良いのかな?
先程の彼らの会話が頭から離れなくて…。
申し訳ないと思いながら、ほとんど口を付けずに席を立った。
トレーを手に振り返れば目の前にはライアン様がいて驚いた。
ライアン様と偶然会うことなんて今までに無かったから。
「全然食ってねぇじゃん。」
「ぁっ…ぅん、あんまり食欲無くて…。」
ライアン様は僕の残ったトレーを見て、おもむろに僕のトレーに残っている果物に手を伸ばした。
一つを手にし、僕の方へ差し出す。
「食べろ…。」
「えっ?」
「食えって。」
ライアン様が僕の口元に果物を差し出していた。
確認を込めて見上げ視線が合うも諦めてくれる雰囲気はなかったので僕が諦め、ライアン様の指を食べないように果物だけを口にした。
その瞬間、カフェテリアがざわついた。
僕はシャルマンを知らないが、シャルマンを知っている者にとっては信じられない光景だった。
高位貴族でプライドの高いシャルマンが他人の手すがら食べ物を頂くなんて。
しかも、直接手にしたものを。
カフェテリアに居る人達は彼らから視線を外すことが出来ず、ひたすら次何するのかを見続けていた。
一つ食べ終えれば、別の果物を差し出される。
親鳥が雛鳥に餌を口移しで与えるように餌付けされていた。
気を付けながら食べていたが、ライアン様の指に唇か当たってしまい「あっ」と思いライアン様を見ても彼は無反応だった。
僕だけがライアン様を意識していた事実に少し胸に痛みが走る。
その後、何度も繰り返しトレーにあった果物を全て食べきっていた。
「よく、食ったな。」
ライアン様は僕の頭をポンポンと撫でてくれた。
なんだか扱いが幼い子を相手にしているようだったけど、それでも僕は少し嬉しくてライアン様を見上げれば驚いた。
笑顔のライアン様を初めてみた、それどころか僕に対して笑ってくれる人が初めてだった。
ライアン様の笑顔から目が離せなくて、彼が近づいてくるのがまるで画面を見ているような感覚だった。
僕の身長に合わせ、耳元で囁いてくる。
ライアン様にはそんな気がないかもしれないが、少しエッチな気分になる。
「今日、行くからな。」
今日、行くからな?行くからな?どこに?僕の所に?
えっ?十日後じゃないの?今日来てくれるの?
「ぅ、うん」
頷いて足早にその場を離れた。
多くの人の視線など全く気にならないほど、ライアン様の言葉が頭を駆け巡る。
えっ今日来てくれるの?
だってエッチの練習は一週間から十日のペースでいいって、最後にしたのは昨日なのに?
良いのかな?
本当に来るの?
…さっき…あの人が…。
僕は待ってて良いのかな?
38
お気に入りに追加
2,864
あなたにおすすめの小説
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる