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一章 純愛…ルート
柑橘系にしました
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もっと知りたいなぁ…あの人のこと。
フラフラっと一人学園内を散策していた。
何処かで彼に会えないかと期待して。
日本とは違う建物の作りや雰囲気を味わいながら彼のことを考えてしまう。
学園の隣の建物の一階には学園生活に必要なものや日用品などが買える店があった。
面白そうなので中を覗けば、映画にでてきそうなほど雰囲気のある場所だった。
店内は僕しかいなかったのでのんびりみることが出来、気になる商品を観ていく。
奥まった所に石鹸とシャンプーにコンディショナーが並んでいた。
僕の部屋のお風呂場には、それらの物を見つけることが出来ず、記憶でもシャルマンのお風呂シーンだけは出てこなかった。
そこは個人情報だから?と思い込むことにしていた。
だって…お風呂に入ってないってことは…無いでしょ?
彼が風呂嫌いだったとしても身体は臭くなかったし髪もサラサラだった。
何処かにきっと有るんだろうけど、見付けられなかった。
なのでここで買ってしまおう。
買い方は記憶にあった。
学園では一人一人、銀の楕円形のネームプレートを貰う。
それはクレジットカードのように買い物の時や図書室で本を借りる時に翳すと記録され、後に清算されるようになっている。
皆、ネックレスだったりブレスレットにしているみたい。
シャルマンはブレスレットにしていた。
石鹸やシャンプーの香りは無臭か柑橘系かイチゴの三種類だったので、今回僕は全て柑橘系に統一してみた。
これからお風呂楽しみだな。
早速今日から使おうっ。
嬉しくって両手に買ったものを抱き締めながら廊下を歩いた。
いつも無表情のシャルマンが笑顔で廊下を歩くだけで多くの人の視線を集めていた。
寮に戻りまだ早いとは思ったが、お風呂場に直行し石鹸やシャンプーを使い始める。
とても良い香りで洗っていて楽しくなってくる。
コンディショナーも洗い流した後、髪の手触りがだいぶ違った。
もしかしたらシャルマンは洗い流すだけで石鹸など使っていなかったのかな?
久しぶりの気持ちいいお風呂に長風呂してしまい、今日はポカポカいい気分で眠れそう。
布団に入ってその日はぐっすりだった。
次の日移動教室の際に廊下を歩くだけで通りすぎる人達が、振り向いたりゆっくり深呼吸していたが僕は全く気付かなかった。
当然だが何処へ行くにも僕は常に一人で皆の後ろを着いていった。
前世からそうだったのであまり気にはならなかった。
「フィンコック………フィンコック………フィンコック」
後ろから肩を捕まれ驚きと同時に「ひゃん」と変な声をあげてしまった。
手で口を抑え振り向けば、あの時の彼がいた。
「大丈夫か?」
僕は何度も頷いた。
彼に変な風に思われたのではと不安になった。
「今日部屋に行くが問題ないか?」
僕の部屋に?
嬉しくて口角が上がった。
良かった口許を手で覆っていて。
「イヤなら行かない。」
僕が返事をしなかったことで拒否と受け取ってしまったみたいで、彼はすぐにでも去ろうとする。
「あっあ、ちっ違うの。」
慌てるように言葉を発するもその後なんと言って良いのか悩んでしまう。
「ん?」
彼は一切表情を変えることも無く僕を見続ける。
きっと彼にとっては、ただの授業で僕に声かけたのも不本意なのか知れない。
そう思うとなかなか言葉が出てこなかった。
「ぁ、ぁ、あ、ぃ、ぃや、イヤじゃ、ない…。」
恥ずかしい?怖い?わからないけど、彼の顔が見ることが出来なかった。
「………なら、後で行くわ。」
「ぅん」
小さく頷いた。
その光景を少し離れたところから観ていた彼の友人二人は驚き、理解が追い付かず目の前の光景が信じられずにいた。
シャルマンは高位貴族で顔がよければ一度はする。
但し下手だったり何かが気に入らないと二度目三度目が無くなるのは有名な話。
彼は前回が一度目で多分今日は二度目だと思う。
断られる可能性もあると念頭に有ったのだろう、僕が返事に困ったのを拒絶と受け取ったのもそんな予備知識からかと。
僕の「イヤじゃない。」発言はやはり驚く事なのかも。
イヤじゃないなんてウソ、本当は凄く嬉しかった。
出来るならもっとして欲しいくらい、だけど僕が彼を求めるなんてこと出来ない。
シャルマンのイメージもあるが、僕自信がそんな大それたこと出来るわけがない。
長年自分自身に嘘で塗りかため隠し続けてきたのに、急に素直に感情を出すなんて考えられない。
それに、きっと迷惑になる。
彼より爵位のあるシャルマンに「もっと、して。」何て言ったら彼は断ることが出来ないはず。
これ以上無理矢理させるのは彼に悪く、彼が来てくれるのを僕は待つしかない。
誘われたのは前回から十日後。
期間ギリギリ、やっぱり極力僕とはしたくないんだと思う。
それでも声をかけてくれるだけで嬉しかった。
今日来るならお風呂しっかり入らないと。
彼は僕の恋人じゃないってわかってるけど、勘違いしてしまいそう。
好きになったら迷惑なのに、止められそうにないかも。
ペアが変わるまでは上手くやっていけると良いな。
フラフラっと一人学園内を散策していた。
何処かで彼に会えないかと期待して。
日本とは違う建物の作りや雰囲気を味わいながら彼のことを考えてしまう。
学園の隣の建物の一階には学園生活に必要なものや日用品などが買える店があった。
面白そうなので中を覗けば、映画にでてきそうなほど雰囲気のある場所だった。
店内は僕しかいなかったのでのんびりみることが出来、気になる商品を観ていく。
奥まった所に石鹸とシャンプーにコンディショナーが並んでいた。
僕の部屋のお風呂場には、それらの物を見つけることが出来ず、記憶でもシャルマンのお風呂シーンだけは出てこなかった。
そこは個人情報だから?と思い込むことにしていた。
だって…お風呂に入ってないってことは…無いでしょ?
彼が風呂嫌いだったとしても身体は臭くなかったし髪もサラサラだった。
何処かにきっと有るんだろうけど、見付けられなかった。
なのでここで買ってしまおう。
買い方は記憶にあった。
学園では一人一人、銀の楕円形のネームプレートを貰う。
それはクレジットカードのように買い物の時や図書室で本を借りる時に翳すと記録され、後に清算されるようになっている。
皆、ネックレスだったりブレスレットにしているみたい。
シャルマンはブレスレットにしていた。
石鹸やシャンプーの香りは無臭か柑橘系かイチゴの三種類だったので、今回僕は全て柑橘系に統一してみた。
これからお風呂楽しみだな。
早速今日から使おうっ。
嬉しくって両手に買ったものを抱き締めながら廊下を歩いた。
いつも無表情のシャルマンが笑顔で廊下を歩くだけで多くの人の視線を集めていた。
寮に戻りまだ早いとは思ったが、お風呂場に直行し石鹸やシャンプーを使い始める。
とても良い香りで洗っていて楽しくなってくる。
コンディショナーも洗い流した後、髪の手触りがだいぶ違った。
もしかしたらシャルマンは洗い流すだけで石鹸など使っていなかったのかな?
久しぶりの気持ちいいお風呂に長風呂してしまい、今日はポカポカいい気分で眠れそう。
布団に入ってその日はぐっすりだった。
次の日移動教室の際に廊下を歩くだけで通りすぎる人達が、振り向いたりゆっくり深呼吸していたが僕は全く気付かなかった。
当然だが何処へ行くにも僕は常に一人で皆の後ろを着いていった。
前世からそうだったのであまり気にはならなかった。
「フィンコック………フィンコック………フィンコック」
後ろから肩を捕まれ驚きと同時に「ひゃん」と変な声をあげてしまった。
手で口を抑え振り向けば、あの時の彼がいた。
「大丈夫か?」
僕は何度も頷いた。
彼に変な風に思われたのではと不安になった。
「今日部屋に行くが問題ないか?」
僕の部屋に?
嬉しくて口角が上がった。
良かった口許を手で覆っていて。
「イヤなら行かない。」
僕が返事をしなかったことで拒否と受け取ってしまったみたいで、彼はすぐにでも去ろうとする。
「あっあ、ちっ違うの。」
慌てるように言葉を発するもその後なんと言って良いのか悩んでしまう。
「ん?」
彼は一切表情を変えることも無く僕を見続ける。
きっと彼にとっては、ただの授業で僕に声かけたのも不本意なのか知れない。
そう思うとなかなか言葉が出てこなかった。
「ぁ、ぁ、あ、ぃ、ぃや、イヤじゃ、ない…。」
恥ずかしい?怖い?わからないけど、彼の顔が見ることが出来なかった。
「………なら、後で行くわ。」
「ぅん」
小さく頷いた。
その光景を少し離れたところから観ていた彼の友人二人は驚き、理解が追い付かず目の前の光景が信じられずにいた。
シャルマンは高位貴族で顔がよければ一度はする。
但し下手だったり何かが気に入らないと二度目三度目が無くなるのは有名な話。
彼は前回が一度目で多分今日は二度目だと思う。
断られる可能性もあると念頭に有ったのだろう、僕が返事に困ったのを拒絶と受け取ったのもそんな予備知識からかと。
僕の「イヤじゃない。」発言はやはり驚く事なのかも。
イヤじゃないなんてウソ、本当は凄く嬉しかった。
出来るならもっとして欲しいくらい、だけど僕が彼を求めるなんてこと出来ない。
シャルマンのイメージもあるが、僕自信がそんな大それたこと出来るわけがない。
長年自分自身に嘘で塗りかため隠し続けてきたのに、急に素直に感情を出すなんて考えられない。
それに、きっと迷惑になる。
彼より爵位のあるシャルマンに「もっと、して。」何て言ったら彼は断ることが出来ないはず。
これ以上無理矢理させるのは彼に悪く、彼が来てくれるのを僕は待つしかない。
誘われたのは前回から十日後。
期間ギリギリ、やっぱり極力僕とはしたくないんだと思う。
それでも声をかけてくれるだけで嬉しかった。
今日来るならお風呂しっかり入らないと。
彼は僕の恋人じゃないってわかってるけど、勘違いしてしまいそう。
好きになったら迷惑なのに、止められそうにないかも。
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