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一章 純愛…ルート
魔法の国だけじゃなかった
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午前中の授業では指されることはなく無事に過ぎていき、緊張していたが授業内容がとても面白くてかなり真面目に受けていた。
歴史については驚くべき事もあった。
なんとこの世界には魔法があるだけでなく、獣人も居たようだった。
だけど過去形。
今ではとても珍しく最後の獣人は百年ほど前らしい。
獣人との交配は魔道具を使わずとも子を宿すことが出来るみたいで、魔力の高い人が相手でも産まれやすいとのこと。
獣人として産まれることは珍しく、成熟してから獣人化になることもあるとか。
百年も前の事なので、もう存在することはないというのが専門家の見解らしい。
それでも諦めず毎年獣人化の検査を始業式にするみたい。
検査と言っても魔道具に血を一滴と魔力を流すと反応が有って簡単に調べることが出来るとか。
シャルマンも検査は受けているが、当然獣人ではなかった。
最後に獣人化した者は魔力が一切無く、更には一妻多夫だと学んだ。
なんと羨ましく、子供の人数は十八人と大家族だったみたい。
女性とは違い魔法の国の男性の出産は、一週間から二週間程で産まれる。
出産は体力よりも魔力を消費するが、妊娠するには魔力の少ない方が有利と男性同士の妊娠出産は複雑で、簡単ではないらしい。
出産後の育て方は日本人と同じ感じだと思う…多分ね。
先生の話から獣人様のお相手は全員高位貴族だったことが伺えた。
珍しい獣人を貴族達が放っておくわけがないよね。
もしかしたらフィンコック公爵家も祖先を辿るとそうだったりして。
授業を真面目に聞いていたけど、獣人の家系図の事はよく分からなかった。
秘匿ってやつなのかな?
お昼は食堂で沢山の人が居るのに僕は一人で食べている。
誰かを誘うことも誘われることもなく一人で…。
つい日本人の癖で「いただきます。」と言ってしまい、急に僕が独り言を言ったことで周囲の人達に不審がられてしまい、その後は一人で黙々と食事をした。
僕が有名なシャルマンと言うことで誰もなにも言わないが、警戒しているのは伝わる。
粗相がないようにと冷静さを装い緊張しながら静かに食べ進めた。
その後、僕が大人しく食事していたので周囲の人達も僕から意識を外し食事を楽しんでいた。
初めて見る料理で躊躇いはあったが、一口食べればどれも美味しかった。
それでもなんだか居づらい為、急いで食べその場を離れた。
午後の授業まで時間があり、どこかで時間を過ごさないとと考えるも逃げられるような場所が思い浮かばなかった。
教室も気まずいし…裏庭?も良くわからない…。
やっぱりこういう時こそ本だと思い、図書室に行く事にした。
夢の中のシャルマンからは図書室の記憶がなかった。
きっとシャルマンは図書室に行ったことが無いのかもしれない。
図書室は大体一階だろうと当たりをつけ向かった。
フラフラと彷徨うこと数分、図書室を見つけることに成功した。
どこの国も図書室は同じで、とても静かで過ごしやすい。
目的はないけど、何処にどんな本があるのか把握するため図書室内を歩き続けた。
そして僕の興味を引いたのは「魔法」についての本だった。
…魔法の国なのだから魔法の本があるのは当たり前だがそんな感情すらも楽しくて、棚にある本の背表紙を眺め続けた。
初心者でも分かる魔法の本を手にし、ワクワクしながら誰にも気付かれないだろう席に座った。
本を読み進めるうちに魔法を試したい衝動が膨れ上がる。
やっぱり魔法が使える国に来たら魔法を使いたかった。
「初心者の為のわかりやすい魔本の本」というタイトルの本を借りるのは少し恥ずかしいなと思ったが、さすが魔法の国。
借りるときはブレスレット型のネームプレートをかざすだけで登録された。
ハイテクだ。
誰にも見られること無く本を借りることが出来た。
借りてきたばかりの本を誰にも見られないように抱え、人のいなさそうな場所へ向かう。
人がいない所なんて思い付かずフラフラと歩き続けた。
魔法の練習だがら訓練場かな?と足を運んだ。
訓練場はシャルマンも利用したことがあり迷わずに着いたが、昼休みにも関わらず沢山の人が訓練に励んでいた。
逞しい人ばかりだからずっと観ていたいと邪な思いに一瞬囚われかけたが、魔法の練習というのをなんとか思い出し再び人がいない場所を求め彷徨い続け、
漸く人の居ない誰にも見られないであろう場所に辿り着いた。
ハンカチを敷いて本が汚れないように置いた。
僕の属性は風と水。
この世界に二属性持ちは普通であり、三属性も珍しくはない。四属性になれば優秀とされ、五属性は大変珍しいとされる。
属性は地、水、火、風、の四種が基本属性でそこに氷と雷に光と闇が入る。
氷と雷に関しては魔法の才能と魔力量で修得することが出来るが、光と闇に関しては生まれもっての才能であり大変珍しい。
光と闇属性持ちは婚約に有利とも言われ、王家や高位貴族さえ光と闇属性を望み、能力が開花した者は平民でも重宝される。
王子の婚約者になれないのはそういうのも関係が有るのかもしれない…。
なぜなら、爵位はわからないが僕達の学年には光属性の子が存在するらしい。
シャルマンはよくある風と水…僕も特別な力には憧れがある。
だけど無いものを強請っても仕方がないので、僕でも出来る魔法の練習することにした。
本に書いてあるように集中して魔力を込める。
込める、込める…こめ…る…。
何も起こらない。
んー、何度込めても何も起こらない。
もう一度本を読み直した。
全身の魔力の流れを感じ、一点に集中させ掌に集め放つ…だ。
初心者はまず水もしくは風をイメージさせなさいと注意事項に書いてあった。
自身の魔力量がわからず火などを扱うと辺りを燃やす可能性があるらしい。
初心者は水もしくは風と太線で書いてある。
そもそも僕には風と水しか使えないので大丈夫。
よし、ではもう一度やるぞっ。
水をイメージする。
瞼を閉じ全身に分散されている魔力を感じ、掌に集中させ水にする。
ピチャン
緊張しながら瞼を開ければ掌サイズの水の球体があった。
「できたぁ」
嬉しさのあまり両手を上げれば、頭の上から水が降ってきた。
今しがた自分で作り出した水を頭から被ってしまった。
「うわぁ、やっちゃった…。」
僕は水だったから良かったけど、火を扱える人が同じような行動をしていたらどうなっていたか…。
本に書いてある注意事項はちゃんと読まないとっ。
髪は濡れちゃったけどこのくらいなら大丈夫と、僕は気にせず魔法を続けようとしたらチャイムがなったので、急いで本を手にし教室へ向かった。
上からその光景を誰かがずっと観ていたことも、魔法の風で僕のハンカチが舞い上がり四階のある教室へ入り僕の行動を観ていたい人物が手にしていたことも知らなかった。
歴史については驚くべき事もあった。
なんとこの世界には魔法があるだけでなく、獣人も居たようだった。
だけど過去形。
今ではとても珍しく最後の獣人は百年ほど前らしい。
獣人との交配は魔道具を使わずとも子を宿すことが出来るみたいで、魔力の高い人が相手でも産まれやすいとのこと。
獣人として産まれることは珍しく、成熟してから獣人化になることもあるとか。
百年も前の事なので、もう存在することはないというのが専門家の見解らしい。
それでも諦めず毎年獣人化の検査を始業式にするみたい。
検査と言っても魔道具に血を一滴と魔力を流すと反応が有って簡単に調べることが出来るとか。
シャルマンも検査は受けているが、当然獣人ではなかった。
最後に獣人化した者は魔力が一切無く、更には一妻多夫だと学んだ。
なんと羨ましく、子供の人数は十八人と大家族だったみたい。
女性とは違い魔法の国の男性の出産は、一週間から二週間程で産まれる。
出産は体力よりも魔力を消費するが、妊娠するには魔力の少ない方が有利と男性同士の妊娠出産は複雑で、簡単ではないらしい。
出産後の育て方は日本人と同じ感じだと思う…多分ね。
先生の話から獣人様のお相手は全員高位貴族だったことが伺えた。
珍しい獣人を貴族達が放っておくわけがないよね。
もしかしたらフィンコック公爵家も祖先を辿るとそうだったりして。
授業を真面目に聞いていたけど、獣人の家系図の事はよく分からなかった。
秘匿ってやつなのかな?
お昼は食堂で沢山の人が居るのに僕は一人で食べている。
誰かを誘うことも誘われることもなく一人で…。
つい日本人の癖で「いただきます。」と言ってしまい、急に僕が独り言を言ったことで周囲の人達に不審がられてしまい、その後は一人で黙々と食事をした。
僕が有名なシャルマンと言うことで誰もなにも言わないが、警戒しているのは伝わる。
粗相がないようにと冷静さを装い緊張しながら静かに食べ進めた。
その後、僕が大人しく食事していたので周囲の人達も僕から意識を外し食事を楽しんでいた。
初めて見る料理で躊躇いはあったが、一口食べればどれも美味しかった。
それでもなんだか居づらい為、急いで食べその場を離れた。
午後の授業まで時間があり、どこかで時間を過ごさないとと考えるも逃げられるような場所が思い浮かばなかった。
教室も気まずいし…裏庭?も良くわからない…。
やっぱりこういう時こそ本だと思い、図書室に行く事にした。
夢の中のシャルマンからは図書室の記憶がなかった。
きっとシャルマンは図書室に行ったことが無いのかもしれない。
図書室は大体一階だろうと当たりをつけ向かった。
フラフラと彷徨うこと数分、図書室を見つけることに成功した。
どこの国も図書室は同じで、とても静かで過ごしやすい。
目的はないけど、何処にどんな本があるのか把握するため図書室内を歩き続けた。
そして僕の興味を引いたのは「魔法」についての本だった。
…魔法の国なのだから魔法の本があるのは当たり前だがそんな感情すらも楽しくて、棚にある本の背表紙を眺め続けた。
初心者でも分かる魔法の本を手にし、ワクワクしながら誰にも気付かれないだろう席に座った。
本を読み進めるうちに魔法を試したい衝動が膨れ上がる。
やっぱり魔法が使える国に来たら魔法を使いたかった。
「初心者の為のわかりやすい魔本の本」というタイトルの本を借りるのは少し恥ずかしいなと思ったが、さすが魔法の国。
借りるときはブレスレット型のネームプレートをかざすだけで登録された。
ハイテクだ。
誰にも見られること無く本を借りることが出来た。
借りてきたばかりの本を誰にも見られないように抱え、人のいなさそうな場所へ向かう。
人がいない所なんて思い付かずフラフラと歩き続けた。
魔法の練習だがら訓練場かな?と足を運んだ。
訓練場はシャルマンも利用したことがあり迷わずに着いたが、昼休みにも関わらず沢山の人が訓練に励んでいた。
逞しい人ばかりだからずっと観ていたいと邪な思いに一瞬囚われかけたが、魔法の練習というのをなんとか思い出し再び人がいない場所を求め彷徨い続け、
漸く人の居ない誰にも見られないであろう場所に辿り着いた。
ハンカチを敷いて本が汚れないように置いた。
僕の属性は風と水。
この世界に二属性持ちは普通であり、三属性も珍しくはない。四属性になれば優秀とされ、五属性は大変珍しいとされる。
属性は地、水、火、風、の四種が基本属性でそこに氷と雷に光と闇が入る。
氷と雷に関しては魔法の才能と魔力量で修得することが出来るが、光と闇に関しては生まれもっての才能であり大変珍しい。
光と闇属性持ちは婚約に有利とも言われ、王家や高位貴族さえ光と闇属性を望み、能力が開花した者は平民でも重宝される。
王子の婚約者になれないのはそういうのも関係が有るのかもしれない…。
なぜなら、爵位はわからないが僕達の学年には光属性の子が存在するらしい。
シャルマンはよくある風と水…僕も特別な力には憧れがある。
だけど無いものを強請っても仕方がないので、僕でも出来る魔法の練習することにした。
本に書いてあるように集中して魔力を込める。
込める、込める…こめ…る…。
何も起こらない。
んー、何度込めても何も起こらない。
もう一度本を読み直した。
全身の魔力の流れを感じ、一点に集中させ掌に集め放つ…だ。
初心者はまず水もしくは風をイメージさせなさいと注意事項に書いてあった。
自身の魔力量がわからず火などを扱うと辺りを燃やす可能性があるらしい。
初心者は水もしくは風と太線で書いてある。
そもそも僕には風と水しか使えないので大丈夫。
よし、ではもう一度やるぞっ。
水をイメージする。
瞼を閉じ全身に分散されている魔力を感じ、掌に集中させ水にする。
ピチャン
緊張しながら瞼を開ければ掌サイズの水の球体があった。
「できたぁ」
嬉しさのあまり両手を上げれば、頭の上から水が降ってきた。
今しがた自分で作り出した水を頭から被ってしまった。
「うわぁ、やっちゃった…。」
僕は水だったから良かったけど、火を扱える人が同じような行動をしていたらどうなっていたか…。
本に書いてある注意事項はちゃんと読まないとっ。
髪は濡れちゃったけどこのくらいなら大丈夫と、僕は気にせず魔法を続けようとしたらチャイムがなったので、急いで本を手にし教室へ向かった。
上からその光景を誰かがずっと観ていたことも、魔法の風で僕のハンカチが舞い上がり四階のある教室へ入り僕の行動を観ていたい人物が手にしていたことも知らなかった。
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