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一章 純愛…ルート
現実?夢?どっち?
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夢から覚めた時、僕は一人だった。
あれは…夢だったのかな?
「んあっ」
体勢を変えた瞬間腰に激痛が走った。
お尻にもなんだか違和感があった。
おかしい…。
起き上がり身体を見下ろしても痕とかは一切無いのに、腰とお尻にだけ違和感がある。
と言うことは、やっぱりあれは現実だったの?
身体が綺麗なのは…きっとあの人が?
色んな情報が頭の中を巡り、起きて一人だという現実にあまり悲しくはなかった。それよりも、何から整理するべきなのか情報処理が上手くできなかった。
そもそも僕は死んでいなかったの?
あんな大きなトラックに跳ねられたはずなのに生きてたの?
身体には傷はないし痛みも…えっ?
もしかして跳ねられた痛みを僕は夢の中でエッチに変換してたとか?
えっ?
もしそうならここは病院だよね?
全く病室には見えなかった。
「うわぁっ…」
激しい頭痛に襲われ再びベッドに沈み夢を見た。
ここは日本ではなく魔法が使え、中世ヨーロッパのような世界で国名はアディノール王国だという。
全く聞いたことのない地名…現実にも小説や漫画でもない。
夢の世界で自分の好きな小説の世界に転生したのかと思ったが、アディノール王国なんて僕は知らない。
夢の中の僕は、アディノール王国の中心にある全寮制の学園に通う二年生で公爵家の次男。
名前はシャルマン フィンコック。
この世界には男の人しかいない。
どうやって子供をなすかと言うと、魔法の国なので魔道具の力を使うみたい。
貴族やお金のある平民は神殿で魔道具を買い、他の者は闇市を利用するんだとか…。
男同士なので自然には出来ないらしく、子供を宿せる身体なのかは八歳の時に神殿で検査し自分がどちらかなのかが分かる。
自分がどちら側なのかを理解してから恋愛・婚約する。
そして、十五歳で学園に入学し三年間様々な事を勉強する。
その中にエッチの授業もあり、格好良いと思った人は僕のエッチのペアらしい。
残念なことにあの人は僕の…この人生の彼氏ではないみたい。
僕の都合の良い夢なのに…。
何故こんな授業があるのかと言うと、魔道具の力を借りても必ず子供が宿るわけではなく夢なのに厳しかった。
そうなると一夫多妻・一妻多夫という家庭が多く存在するようで、多くの貴族には必ずと言っていい程愛人がいる。
どんなに愛し合っていても子供ができなければ愛人を作るしかない。
魔力の高い者は比例して子供ができにくいというのがこの世界の常識。
高位貴族は魔力を重んじるが、魔力の高い者同士が相手だと子供ができにくい。なので残念なことに魔力に振り回された世界に、愛人は珍しくない存在だった。
それぞれ選択肢はあるが、宿す側の貴族は学園を卒業後ほぼ結婚する。
恋愛なのか政略なのかは本人次第。
愛されるかどうかは運次第。
幸せになるかどうかは努力次第。
僕はこんな夢の世界を味わっていた。
ちなみに夢の中の僕は魔力がほぼなく、かろうじで生活魔法が使える程度みたい。
夢の中の僕はかなりポジティブな性格なのか、魔力の高い相手の子供が産めると考えていたようだ。
宿す側は必ずしも魔力が低いとは限らない。
宿す側にも魔力の高いものはいる。
なので夢の中の僕は魔力の高い貴族と恋愛結婚をすると考えていた。
夢の中の僕はとても美しい少年で、僕との共通点は黒髪黒目という所だけで他はまるで違っていた。
これが僕の理想なんだ…。
夢なのに設定が細かくて面白い。
身長は百七十に近いがこの世界では小さい部類に入り、僕のペアの彼は見上げるほど背が高く百九十センチはあったと思う。
そして深層意識で僕と似ているところを作っているのか、僕も彼も一人だということだった。
性格は正反対で、とても自分の意見をハッキリと言う人間だったみたい。
誰が相手でも臆することなく立ち向かう姿が眩しかった。
好きなものは好き、嫌いなものは嫌いと、誰になんと思われようと気にしない強さを持っていた。
公爵家の令息で次男、子供を宿す側にも関わらず婚約者がいない。
公爵家であれば縁談はいくらでも舞い込むが彼は選ばれるのではなく選ぶ側であった。
彼が選んだ人は学園に在籍している同い年の王子だった。
王子に対しても態度を変えることがないのは清々しいとさえ感じてしまう。
当然王子は子供を宿す側ではないので、婚約できる間柄だ。
爵位だけで判断するなら一番の婚約者候補と言える。
王子はとても体格が良く、顔もゲームやアニメのように整っていた。
金色の髪と瞳は王族特有で僕とは対比するような存在。
僕の黒髪黒目もこの学園には一人…というよりフィンコック家特有で、僕の夢なのに思い通りではなかった。
夢の中の僕は王子に避けられていて、所謂物語の悪役的な立場だった。
一生懸命行動するも上手く行っていなかった。
避けられている理由は…ハッキリ言い過ぎるから?
僕の噂では王子に釣り合うのは公爵家の自分だとか、王子とエッチのペアにならないことを先生に抗議に行ったり王子のペアとなった子に抗議したりと行動的だったみたい。
それに自身がペアとなった者が下位貴族だと授業すら受けないこともあるみたいで、先生を困らせている存在に見えた。
それもあって先生側も平民と男爵、子爵はペアにしないよう努力してくれていた。
それなのに、相手が伯爵家でも気に入らないと断るみたい。
気に入らない理由は…「顔」で、ペアの格好いい人は伯爵家だった。
それでも彼との関係は良くなかった。
夢の中の僕は隠れてこそこそ何かをするタイプではなく、堂々と不満を言うので同学年だけでなく全校生徒に知れ渡っていて、物事をハッキリ言う事を知られているので誰も近付こうとはしなかった。
廊下を歩く姿が有ったが周囲の人達が避け、僕はそれを公爵家という爵位からだと受け取っていた。
彼は周囲になんと思われようと自分を貫く強さを持っているように見えた。
夢はきっと僕の理想の姿なんだ…。
あれは…夢だったのかな?
「んあっ」
体勢を変えた瞬間腰に激痛が走った。
お尻にもなんだか違和感があった。
おかしい…。
起き上がり身体を見下ろしても痕とかは一切無いのに、腰とお尻にだけ違和感がある。
と言うことは、やっぱりあれは現実だったの?
身体が綺麗なのは…きっとあの人が?
色んな情報が頭の中を巡り、起きて一人だという現実にあまり悲しくはなかった。それよりも、何から整理するべきなのか情報処理が上手くできなかった。
そもそも僕は死んでいなかったの?
あんな大きなトラックに跳ねられたはずなのに生きてたの?
身体には傷はないし痛みも…えっ?
もしかして跳ねられた痛みを僕は夢の中でエッチに変換してたとか?
えっ?
もしそうならここは病院だよね?
全く病室には見えなかった。
「うわぁっ…」
激しい頭痛に襲われ再びベッドに沈み夢を見た。
ここは日本ではなく魔法が使え、中世ヨーロッパのような世界で国名はアディノール王国だという。
全く聞いたことのない地名…現実にも小説や漫画でもない。
夢の世界で自分の好きな小説の世界に転生したのかと思ったが、アディノール王国なんて僕は知らない。
夢の中の僕は、アディノール王国の中心にある全寮制の学園に通う二年生で公爵家の次男。
名前はシャルマン フィンコック。
この世界には男の人しかいない。
どうやって子供をなすかと言うと、魔法の国なので魔道具の力を使うみたい。
貴族やお金のある平民は神殿で魔道具を買い、他の者は闇市を利用するんだとか…。
男同士なので自然には出来ないらしく、子供を宿せる身体なのかは八歳の時に神殿で検査し自分がどちらかなのかが分かる。
自分がどちら側なのかを理解してから恋愛・婚約する。
そして、十五歳で学園に入学し三年間様々な事を勉強する。
その中にエッチの授業もあり、格好良いと思った人は僕のエッチのペアらしい。
残念なことにあの人は僕の…この人生の彼氏ではないみたい。
僕の都合の良い夢なのに…。
何故こんな授業があるのかと言うと、魔道具の力を借りても必ず子供が宿るわけではなく夢なのに厳しかった。
そうなると一夫多妻・一妻多夫という家庭が多く存在するようで、多くの貴族には必ずと言っていい程愛人がいる。
どんなに愛し合っていても子供ができなければ愛人を作るしかない。
魔力の高い者は比例して子供ができにくいというのがこの世界の常識。
高位貴族は魔力を重んじるが、魔力の高い者同士が相手だと子供ができにくい。なので残念なことに魔力に振り回された世界に、愛人は珍しくない存在だった。
それぞれ選択肢はあるが、宿す側の貴族は学園を卒業後ほぼ結婚する。
恋愛なのか政略なのかは本人次第。
愛されるかどうかは運次第。
幸せになるかどうかは努力次第。
僕はこんな夢の世界を味わっていた。
ちなみに夢の中の僕は魔力がほぼなく、かろうじで生活魔法が使える程度みたい。
夢の中の僕はかなりポジティブな性格なのか、魔力の高い相手の子供が産めると考えていたようだ。
宿す側は必ずしも魔力が低いとは限らない。
宿す側にも魔力の高いものはいる。
なので夢の中の僕は魔力の高い貴族と恋愛結婚をすると考えていた。
夢の中の僕はとても美しい少年で、僕との共通点は黒髪黒目という所だけで他はまるで違っていた。
これが僕の理想なんだ…。
夢なのに設定が細かくて面白い。
身長は百七十に近いがこの世界では小さい部類に入り、僕のペアの彼は見上げるほど背が高く百九十センチはあったと思う。
そして深層意識で僕と似ているところを作っているのか、僕も彼も一人だということだった。
性格は正反対で、とても自分の意見をハッキリと言う人間だったみたい。
誰が相手でも臆することなく立ち向かう姿が眩しかった。
好きなものは好き、嫌いなものは嫌いと、誰になんと思われようと気にしない強さを持っていた。
公爵家の令息で次男、子供を宿す側にも関わらず婚約者がいない。
公爵家であれば縁談はいくらでも舞い込むが彼は選ばれるのではなく選ぶ側であった。
彼が選んだ人は学園に在籍している同い年の王子だった。
王子に対しても態度を変えることがないのは清々しいとさえ感じてしまう。
当然王子は子供を宿す側ではないので、婚約できる間柄だ。
爵位だけで判断するなら一番の婚約者候補と言える。
王子はとても体格が良く、顔もゲームやアニメのように整っていた。
金色の髪と瞳は王族特有で僕とは対比するような存在。
僕の黒髪黒目もこの学園には一人…というよりフィンコック家特有で、僕の夢なのに思い通りではなかった。
夢の中の僕は王子に避けられていて、所謂物語の悪役的な立場だった。
一生懸命行動するも上手く行っていなかった。
避けられている理由は…ハッキリ言い過ぎるから?
僕の噂では王子に釣り合うのは公爵家の自分だとか、王子とエッチのペアにならないことを先生に抗議に行ったり王子のペアとなった子に抗議したりと行動的だったみたい。
それに自身がペアとなった者が下位貴族だと授業すら受けないこともあるみたいで、先生を困らせている存在に見えた。
それもあって先生側も平民と男爵、子爵はペアにしないよう努力してくれていた。
それなのに、相手が伯爵家でも気に入らないと断るみたい。
気に入らない理由は…「顔」で、ペアの格好いい人は伯爵家だった。
それでも彼との関係は良くなかった。
夢の中の僕は隠れてこそこそ何かをするタイプではなく、堂々と不満を言うので同学年だけでなく全校生徒に知れ渡っていて、物事をハッキリ言う事を知られているので誰も近付こうとはしなかった。
廊下を歩く姿が有ったが周囲の人達が避け、僕はそれを公爵家という爵位からだと受け取っていた。
彼は周囲になんと思われようと自分を貫く強さを持っているように見えた。
夢はきっと僕の理想の姿なんだ…。
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