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生まれた 「私」
不思議 な 感覚
しおりを挟むわたしは
初めての 感覚に 陥っていた
その なにか
男 に 何か を 委ねるということ
わたし を 見せるということ
誰にも 見せたことのない
わたし
それを 見せるということ
それは
わたしを ゆるすということ
受け入れる と いうこと
そういう こと だろうか
隣で 寝息を たてる
この 鳶色
これ が。
今 わたしに 侵入することのできる
唯一の 男 で。
わたし が
わたしを 見せる
それ は
やはり 特別な こと で。
それ を。
この 男 が 受け取った
そう 思っても いいのだろうか?
そっと
その 意外に しっかりとした 腕を
撫ぜながら
考えて いた。
初めて
男に くすり を 与えてから
わたしは 常に 優位 で あった
男は わたしの 言うが まま
くすり を 啜り
わたし を 善く する
気に入らなければ 飛ばせば いい
消すこと だって。
だが。
しかし。
この 男 を 受け 入れてしまった
今では。
それが 出来ないであろう こと
それ が。
本能的に 判る
なぜ どう して
わたし は?
弱く なった?
下せなく なった のか?
なぜ?
じっと 上下する 胸を 眺めて いた。
……………………………………………………
この 複雑な 「感情」というもの
それは わたしには まだ
難しく
よく 分からない
この 謎 の 敗北感
しかし なにか 唯一を得た
という 感覚
しかしまた それ は
同時に何かを 失う 怖さも孕んで
ひとたび あの 鳶色 が。
他の ものに 向けられた なら。
瞬時に 消えて なくなる もの
それを 知って
解って しまった。
ただ 「わたし」を
欲して
見て 味わって
撫で 噛み 啜って
求めて いる うち は。
「それ」は 守られる
見えない 約束
儚い 約束
どうして だろう か。
これまでは 「わたし の くすり」が
無ければ
生きられない
あの 男 は。
わたしのもの。
どうにでもなる もの。
そんな 存在 だった
しかし
わたし に はいる ことを 許し
共に 上り 求め 合う
それを 知って。
足りない 欲しい
埋めて 欲しい と
思う からなのか
自分 では。
どうにも ならない 部分
それ を。
補って くれる から なの か。
そう
他の 男
見てきた から 判る
足りないもの を 補うのは
ただ その 穴を埋める 棒
それでは 駄目 で。
あの 瞳
わたしを 見る 目
触れる 手
柔らかな 唇
硬い からだ
あの
ミチ ミチ の ペニス
あれでなければ。
駄目 で。
それと 共 に
あの 鳶色から 覗く
わたし を 探る いろ
どこ が いい か
気持ち いい のか
駄目 なのか 痛い のか
より いい ところ は どこか
怖がって いない か
なにか 心配 は ない か?
そう わたしを 伺う 目
それ が。
あるのだ。 あの 鳶色には。
ほかの どの 男 にも 無かった
その 「わたし」を 知る
「わたし」を 見る
という 行為
ああ
そう か。
他の 男に とっては
わたしは 「女の形をした 入れる穴」で
ただ 唯一 あの 鳶色にとっては
「わたし」 は 「わたし」
だと いう こと
それ では?
ない か?
そう だと いい
わたしは 「穴」は ごめんだ
他の 男 は。
唯一以外は
皆 穴 なのか
それとも 全てが 穴なのか
それは 知るよしも ない が
お互い が
持たぬ ものを 求めて。
彷徨うならば
せめて。
求めるもの同士が 合わさると いい
そう 思った。
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