風の時代/月の神話 [R 18]

生まれた 「私」

結局

「結局　じー　すぽっと　とやらが

　　　　わからんでは　ないか　　」


その　わたしの言葉に

あの子は　いう


「きみ　　むちゅうに　なるからだよ」

「しかし　　あれ　は　　何というか　うん？

あまりなにも　考えられなく　なるのだ　　」


「まあ　まだ　　そうだろうね　」


まだ？

まだ　とは。


　　　なんだろう






あれから　　わたしは　昼間は

　　食ったり　　出したり

　　寝たり　　していた


そうして　　夜は　　　お楽しみ　だ。




しかし　　なぜだか


　　この子が　「おしごとも　しないと」


と　なにか　　「おてがみ」というやつを

持ってくる　　　それを　読み

なにか　　　くすり　を　　作るのが


「おしごと」というもの　　らしい。




何故だかそれは

至極当然のように

誰にも　　教えられていない

「おてがみ」の読み方も

「おくすり」の作り方も


だが　　何故だかそれを　　知っていて

何故だかそれを　　日々　　


　　やることに　　なったのだった。





まぁ　　確かに

　　　アレ　　ばかり　していても

　　　あの　おとこ　も

　　　寝ないと　　回復せぬから　な




ときどき

また



あの　　「目」を　使って


世の　　ようす　　　せかい　を

みにいくことは　　たまに。


そうして　すこし　　　　「ひと」のこと


　分かった　　気分に　　なっていたのだ



そう

　まだまだ

　　　　　　　ひとは　　　複雑だったのだが　な。





………………………………………………






最近　　おとこ　は

手が　　　めっきり　　動く　ようになった




　　　　あの　　　　さいちゅう


　わたしの　　脚を　　撫でる　その

　　　　手　　　が。


また更に　　　ぞわぞわを　　加速させ


　　　のぼるやまも　　　増え


　
　　　なんども　　　なんど　も


　のぼる　　その　　　やまは


　　　一度めよりも　　　二度め



　　　二度めよりも　　　　　三度め

しかし　　



　　　　　　四度め　ほどになると



　　　　　
　　　　　　　　お　　　く　　　が




　　　キュッとして　　　なにか　が


　　　　　　

　　　　　　　　足りない　　　と




　いうのだ　　　なにか　　どこかで


　　　　わたしの　　　　からだが。








　　　なにが　　　　　　足りないのか。



　分からなかった　　　わたし　は


　　　とりあえず　今日も　　　ぱさり　と


　服を　脱ぎ捨て

　　
　　　軋む　　ベッドに上がり

　　　横になる


この頃は　　この　　かんじ


始めに　　横に　　ねる


すると　　手が伸びてくる

その手が　　わたしを　　ひょいと

　体の上に　　のせ　　そして　　撫ぜ始める



　　　心地よい　　　しかし


　　　　　　　　むずむず　　　そわそわ


　　　　　じんわり　　　滲む



　　　
　　そう　　　この頃は



　　　　わたしのほうが　　耐えられなくなっていた



　そう　　くすりを　　与えたい　と


　　　わたしが　　　思って　　　　いたのだ