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昼間なのか 夕方か

明るくもなく 暗くもない

そんな森

ぼんやりと  浮かぶ  周りの木々

少し 離れた所には   人影が


             あれは  もしや?


目を凝らす 俺


少し 薄い霧が   出て

その  霧と 靄の中を  馬に乗り進む 君


それ を   見つけた 俺 は。



ああ  会いたかった

探して いたんだ    俺の


       「甘いの!」


 君を 呼ぶ 俺

 
 ああ   ここに きて

  名前を知らない  君の なまえ

 
 振り返る君  しかし  止まらず

 そのまま 馬は 駆けていき

 栗色の髪が 馬の尻尾と 靡く



俺が  君の 名を。

知らぬ からか

それとも。

知っても  知らなくても。



君は  やはり  行って     しまうのか。



呆然と立ち尽くす  俺




そうして 暫く。



   景色は  ぐるりと変化 した。





………………………………………………………






「ん?森?」


辺りは昼か  夜なのか。

先程とそう 変わらぬ  明るくも暗くもない 森


気が付くと  シロが 肩に留まっている。


「ん?シロ?さっき、甘いの居なかった??」

「さき  いっ タ  ぜ。」

「あ、そう?そう、なの………。」


なんだか  腑に 落ちない。

 何故?  甘いのは 俺から  


           いや。 違う。

           まだ  分からない。


君を 探したかったけれど。


しかし 俺に選択肢は無かった。



だって  ここは きっと

もう  「きせつのまつり」の 会場で

その  証拠に


 開けた場所  囲む 畝り上げられた木々

 その 禍々しいような  猛々しい ような

     そんな 囲まれた空間


    真ん中には 青銅の パビリオン


 その なか   には。


 春色 と  夏色   そして 冬の白


   さんにんの  なにか が。


 陣取って いた。




 あれ?

 俺の?

 甘いの、は???




なんだか    イヤナヨカン





……………………………………………………





遠く  見えるは  満月か

今宵は  春の夜


ピンクムーン

    君のような 可愛 可愛 な 月が

    何とも言えない雰囲気の中 浮かぶ

    そんな 景色



昼か  はたまた 夜なのか

ぼんやりと曇る  サンドリヨンの空

 
 その中に ふわりと  在る

 まあるい  月は

 俺が あの月の庭に  堕ちていた時を

           思わせた  何故、か。



森だけど 森じゃない

昼のような  月の景色

 そんな 淡いヴェールの 靄の中を

 パビリオンに向かい  進む


だって  あいつらは 俺を見ていて

他に 行くべき場所は  見当たらない

君も  見当たらない

あいつら 以外に  そこには 何も。


  いや?  月が  あるな?


そう  その 空間には。

 
  俺たち 4人と  浮かぶ満月以外

    何も   無かった



 
 そう  俺 春 夏 冬  満月


 
        それ以外は、な。
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