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アイツ

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それでな? ちみ。

俺は 俺は

慎重なおとこ  決して 焦りはしない おとこ



あ、多分な。


そうして俺は 甘いのの助手も 務めるように
なったのよ


一つ 一つ 確認して

一つ 一つ 仕上げる

俺がやるのは 単純作業

刻み 潰し 混ぜる

包むのも 得意

手先は 器用よ?


甘いのは 文字を書く 俺は 読めないやつな

何の文字だろうか

そうして包みを幾つか 

俺達の 共同作業

はじめての 共同作業♡
↑言うと思った?

えへ

まぁ それもいいよね

まぁ ぶっちゃけ何でもいいんだけど。



そうして俺が 甘いのの瞳から

大体の色を読み取れるようになる ころ

アイツがやって来た


あの とり

あの、アイツよ。前にちょっと来たやつ。


アレがな


うーん。

あれがまた俺の中の

あれを焼く 網と 七輪を 持ち出して来たんだ。



……………………………………



「よう 出来たか?」
「 ええ」


その日 窓から覗いたその鳥

そいつは見た目、カラスに似ていた。
黒くてなんだか人間を 馬鹿にしてる

そんなところが。


俺の 俺の甘いのが

「俺たちの共同作業」の包みを持って

扉を開けると




そこに立っていたのは





背の高い 黒髪 ちょっと長い 
足も長い 痩せた 不健康そうな

しかし  イケメン



おい

あのカラス  どこいった

なんで


お と こ   なの!!!!!



「これだけか?」
「     うん」


おい お前 お前 俺の甘いのを

責めるなよ 俺のせいかも しれん

俺が 手伝ってるから?

どうだろうか

甘いの 甘いの  俺って   まさか


じ   邪魔?




キロリと金色の眼を向けた不健康そうなイケメンは
俺を一瞥すると


   ふ て き


な 笑みを浮かべて   去っていった



てか

俺は餅を焼くのに忙しくて

アイツがどうやって消えたのかすら

覚えていないんだ


くそ なんだ アレ

なんで なんで悔しいんだ?

俺の 俺の甘いのは なにも なにも言ってない

何故?


おれの

俺のこの  モヤモヤ


なに?


ぐるぐるさーーーーーーーん






って思ったけど  俺は

検索ワードすら  


思い浮かばなかったのさ


誰か  教えて これ



なに???



………………………………………




しくしく

しくしく


俺は夢の中なので

臆面もなく 泣いていた



俺は ダメなおとこ

カラスにすら 負ける

甘いのの 邪魔

ああ

俺は 居候のタダ飯食い

それ 純然たる事実

ああ

ああああああああああああああああああ~




あ~あ~♪

いや

歌ってる場合じゃねぇ

はぁ

俺は 何故なぜ  何故こうも

落ち込んでいるのだろうか


それは 俺が 

1.居候のタダ飯食いだから
2.役に立ってないから
3.アイツの方がイケメンだから
4.アイツの方が背が高いから
5.甘いのはもしや………



ヤベ。

想像で 死ねそう。




だ~れか~


た~すーけ~
て~~~~~~~



「 仕方のないひと」


あれっ?

甘いの?

そっか。夢だもんな。

俺の夢の中に 正に ヒーローのように

現れた 俺の甘いの。



いやいや、そゆとこじゃない??

ヒーローになるの、俺でしょ??

いやしかし

時代は既に おとこ とか おんな とか

こだわり

なし


しかし しかししかし

俺がヒーローになりたいのは

これまた当然の 事実で 


そりゃお前


惚れたおんなの ヒーローに なりたくないやつ

いるの??


いないよね??????ね????



どしたらいいの?
ねぇ
ぐるぐるさん


しかし ここに ぐるぐるさんは ない

無いのだよ



「あ」

俺は 閃いた

天才



しかし


閃きを 実行出来るか 出来ないか

それが 天才と馬鹿の 分かれ目


そう

だって


ほ ん に ん  がいるんだから

訊けば いいのよ。

解決策。


ちょ ちょっと 待って。



(真顔)

「俺はきみのヒーローになりたいんだ」
  ↑イケボ



ちょ



だれか


出来る?



俺………

む む 無理とは  言ってはいけない


え?まじ? 言うの?  ホントに?

ちょ、ちょちょっと

セリフもうちょいハードル下がんない???



そうして俺は
夢の中ですら

ひとり脳内会議を 始めた。



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