透明の「扉」を開けて

美黎

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18の扉 光の領域

運命談義 2

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「………でも。やたらと親切になっているのは「心の奥底にある後ろめたさ」があるからであって………しかしそれすら気付けない者が「逆に吠えている」、のか。でも、やっぱり祭祀が明けて。みんな「次の年」を意識してるのかな。進級もあるし…変化を余儀なくされる。いろんな事が混じってるだろうけど………そう、ですよね…うーん。」

「そもそも「自分の事を省みる」って、した事なさそうですしね…向こうデヴァイに帰っても今は良い話も聞かないですし。ふむ。それでアラルエティーが「運命の女神」なんて言われちゃってるのでしょうか。」

 ん?

「  えっ、アラルにそんなことまで?」

「ヨル。人は何かに縋りたくなるものです。それが青の少女だろうが、運命の女神だろうが。そこの所は関係ないのですよ。」

 スッパリと そう、言い切る。

 トリルは相変わらず カッコいい。


「   まあ。 それはそうだね。」

「はい。だから、そういう事で言えば「みんなの運命」も大分変わって。これまでなら、向こうへ帰って家の「どうこう」、だったのでしょうけど。……今は、混乱してる、が正しいかな。」

「 なるほど。」

「はい、いろんな人がいます。「運命」、と意識もせずに「そういうものだ」、と思っていた人が大半ですから。だからやっぱりどちらかと言えば「変われない」、者の方が今はまだ多いですね。」

「  ふぅん。 それも、また、変わる か 。」
「そう思います。周りを見てる人も多いですしね。」

「  まあ~  そうだよね。  うん 」

「でも逆に「運が回ってきた」とか言ってるグループもありますよ。ほら、これまでの家格に縛られないから。」
「 なるほど。 それはそうか。」

「はい。だから、私も「ヨルが回してるんだ」って思って会って聞かなきゃってなって。………前にイストリアが「ヨルは風を起こす役目」って言ってたじゃないですか。」
「 うん。」

「だからそれ繋がりで。「風を起こす」、即ち「運命の輪を回転させる」のかなぁって。」
「えっ、見た? あの白い魔法使いの部屋にあるカード  」

「勿論、私も家から持ってきてるのがありますよ。ずっと前に手に入れたのがあるんです。…その時は意味が分からなかったけれど、今なら解ります。ああ、成る程、これが運命の輪を回すって事なのかって。」

「    運命の 輪  かぁ  。」

「………それで、「ヨルの思う運命の女神」って。「運命の輪」でも、いいですけど。どんな感じなんですか?「くるくる回しちゃう」んですか?それでたまに、「手を加える」とか?」

「  ふぅむ  「運命」。」



 確かに
 ずっと前から イストリアが 言っていた
   「君は 君の輪を回せ」 

その意味なかみは 今 
 また違ったかたちを持ち存在していて
「私は 私の輪自分の領域廻している展開している」。


  それを じっと 見つめていると。


  「そこへ紐付き パッと現れた「世界の輪」」は
  今だからこそ その「なかみ」を
   はっきりと表していて。

 「これまで」で
 「世界の仕組み」
 「他人の軌道」
 「私が もう乗っていないベルトコンベアー」なのが わかる。

 
 そしてそのまま
  その興味深い「二つの輪」を 視ていると。


   「圧倒的な 違い」
    「ポイント」

  それが 浮き出てきて
そして「それが視える理由」は「私の得意だから」で あり
 それこそが「自分の領域を持っている理由」でもあると わかる。


 そうなんだ
  それは 文字通り「輝いて」いて。

  キラキラと「綺麗に 光り」
  その「美しさ」「浄められていること」
   「自浄作用を持つこと」を 表している。


 ふぅむ 。


そして 更に奥へ進み読み解いてゆくと
 「古い輪」は
「浄化作用」「自浄」「浄め」の部分が欠けているから終わるのが視えて
 例え「浄め」が あったとしても。

 それは「自ら汚し それを浄めている」

その「不毛なサイクルの浄め」になっていて
 「自ら汚すこと」を止めない限り
その先の「深みを浄めるまでは 辿り着かない」。
そして その「自ら汚す工程」は
 「自然と共に過ぎゆく流れ経過の美しさ」とは違い
 「自分と合っていないものを取り入れている ずれ」でもあり
自身が気付かない限り 
 止めることはできないのだ。

そうして更に「生活の浄めを担うもの」
 それは
 今 ある意味「穢れを担うもの」の意味で下に在り
 「祈り」も「生きるという本質からは分離して存在している」。


 その「浄める」や
            「特別に設けた 祈り」は
 「一巡しない 」での 存在になり
やはり「不完全」で
 だからこそ「バラバラと崩れ 終わるのがわかる」。


成る程やはり。

 「サイクルは きちんと一つで廻してこそ 成り立つもの」で
 「部分」であるならば
 「繋げること」が必要で。

 その「繋がり」が脆くなった 最期の時代が「今」で
 「その終わりを経て 私達は散ってゆくのだ」。


  星が 最後 「爆発の時」を 迎える様に。

物凄いエネルギーを発し それがまた「生じるきっかけ」となって

 それこそ「色々な」「思い思いの方向へ」
  「自由に向かい」「縁があれば出逢う」ので ある。


 

「    なるほど 「それ星の爆発」が ? 予言の云々 なのかな。 まあ ある意味「思ってたんと違う」、の 通過儀礼バージョン 「超えねば見えぬ ところ」か 。」

 ふむ。


 くるくる チカチカと
 明晰君とみんなが光り 一旦纏まると
それを見越した様にトリルが口を開く。

「で、どうなんですか?」

「 うん、「運命」ね。 「運命」   それは  ふふ、なんか可笑しくなってきた。」

「もう、ヨルったら。………まあそれがヨルの良い所ですけどね。でも今は喋って下さい。」

「 はい。 う~ん、なんか。 「今迄の運命」って。 なんか、ほら、「この運命に生まれたら 従わねばならいのだ」とか、 「彼が運命の人 キラキラ」とか、良いも悪いもドラマ仕立てで。あ、物語仕立てね。 そういう「酔えるところ」があったんだけど、ホントは運命って幾つもあって選べるんだよね。  まあ、「絶対じゃない」。」

「ふむふむ。興味深いです。」

「 うん、勿論「絶対」もあるよ? でもそれは、「自分にとっての絶対」で、譲れないもの、それを取ったら自分じゃなくなる芯みたいなもので。  それ以外は、基本何パターンかあって、選べる。 多分「テーマ」みたいな、大筋の流れはあるんだろうけど。個人個人のね。」

「ほぉう?」

 キラリと 瞳を輝かせ
  深く頷いてから。

 既に彼女の視線はノートから離れずに、手で私に「その続き」を促している。

だから それにクスクスと笑いながら。

 
  「運命」って 結局 「どうなんだろうな」って。

  私 自身も 深く落ちて行ったんだ 。






 
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