透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
上 下
1,665 / 1,751
17の扉 こたえしかない ところ

空間移動

しおりを挟む

「…………実際、大丈夫だったんでしょう?何がそんなに心配されていたの?」

「うん、それも「私だから」なのか、その辺りはまた調べなければいけないけど。ほら、レナは普通に行き来できるじゃない?それが、グロッシュラーからシャットに行って、ラピスだったからなのかも知れないし。それも、最初はヨルが同行してたのよね?………まあ、だから色々含めての調査なんだけど。」

「成る程ね。私は当たり前にこの子がホイホイ移動してるから。そういうものだと思ってたわ。」
「なんか、先生が「その辺り」が濃厚だって…」
「えっ?………ああ、ヨルね。まあそれはある。」

  うん?

   「その辺り」? とは。


「なにか、ヨルは。私達と「設定が違う」から、その境界を超えやすいんじゃないかって。ほら、人体の構成だけだと分からなかった部分が、イストリアとフリジアが参加してくれてるから「心の部分」「内側」?も、大分進んできて。ほら、ヨルって「大体がそっち」でしょう?数字とか形にするものじゃないって言うか、だから先生には解り辛かったらしいの。でも、あの二人が入ってくれたからその間がやっと繋がった感じね。」

「………へぇ~。なんか、全然分かんないけどその二人が入ったから進んだって言うならまじない成分が近いのかもね。」
「そうそう!そんな感じよ。」

「でも、先生が言うには「ヨルはしるしだから」、それを持ってれば渡れるって。実際、そうだったけど。」

「じゃあヨル無しでも実験するっていうこと?」
「いずれはそうなるわよね。でも、その前にもっと良い物が出来そうなのよ。だから試しに来たんだけど。」

「えっ、なあに?それは。「違う移動手段」ってこと?」

「ううん、性能を上げる感じね。まあ、それもヨルの石があったから、出来るんだけど。ほら、以前もらったザックザクのやつ。」
「…あぁ~、あの「なんも考えてない袋」ね。あれは酷いわよね。」

「………まあ、表には出せないけど。でもそういう風に言うもんじゃないわ?」
「はい。ごめんなさいお姉様。」

「それでね  」
「えっ、そうなの?  」


  二杯目の お茶を美味しく頂き

 レナの手作りおやつも 食して。


 なかなかに「お腹も膨れ」「心もいっぱい」

 とても満たされた状態の私は
その「二人の移動話」を ボーッとしたまま 聴いていて。

 エローラは 表の方で お客さんの対応をしているし
 奥に陣取る私達の 最奥にいる私は
 「この光の空間で展開している景色を」
 「ただ 愉しく 眼に映していて」。

そしてまた
 「その自分と別のところにある 高い視点」を
 なんとな~く 不思議に思いながらも
  その「すべてを見渡す自然な状態」に 心地良さを感じ
 「せかいったら 私になにを見せたいのかしら」
  そんなことを 思っていて。


   「移動」「私の石」「運石」


 そのキーワードが ふわりと
      ひとりでにスペースを踊り

明晰君は「あの時のピエロ」を 私の前に持ってくる。


    うん ?  あのピエロ ?

  あれが ?


   ああ  うん 、 いや
    「それ」じゃなくて

 そう「ぐるぐるで気持ち悪かった」、
  その「」の 方ね。

 わかった 。

   して?


 「それ感覚」が  なんなの

   だっけ ? ?  ?


そう
 「明晰君が 言うには」。

 「今回の移動が気持ち悪くなかったこと」
 「私が一人で移動する時は 運石を使わないこと」
 「今回は 新しい運石の試運転で」
 「ピエロの時は 古い物だったこと」

 その「図」を表して いる。

そして「それ」を じっと捉えて。

  「その時の」、それが
  「何故違うのか」それを
  くるくると 検索の網に 掛けると。


    ふむ ?


  「位置」

        「高さ」
              「粒子」

    「精度」


  私の「なか」には
 所謂「せかい成分」その「違い」が表れているのだけど
 その「精度」は
  「出来」ではなく
  「粒子の美しさの違い」
  「一粒一粒のの違い」を表して いる。

そして それに紐付いて出てきたのは
 本部長が出掛けに言っていた「お前の石は空間の「差」を繋ぐ緩衝材だ」という言葉で
その「なかみ意味」は。

 明晰君のことばを借りれば
 「それぞれの空間を構成する粒子成分の「質の違い」を埋める繋ぐことができる」、それだ。

    ああ 勿論
 「明晰君は喋る」訳じゃなくて
  私が「そのスッキリした光のいろを 読んだらそうなる」、
  その「結果の翻訳」だけれど。


「     成る程 ね。」

 そう
 そして
 「私の明晰君」もだけれど
 「すべての空間の粒子は
 「意味意図を持ち存在しているし」
 「私は」。


「    ああ  、か 。」

   
    その「繋げる可能な」、理由

 「そもそも
   「

  「誰か金色がやっているならば」
  「私もと いうこと」。


 なにか そうね
  色々 「想像」、してみたけれど。

「何故 それを自分ができるのか」、その「いろんな理由のパターン」を想像してみたけれど
 それはやはり「自由に空間を移動できる彼と一緒にいたから」
 「いつの間にか「それ」が当たり前で」
 「そうできる」それが ピタリと嵌る。


確かに本部長の言う様に「私は設定も違う」んだろう。

 だけど 一番の特徴は
 「見ればわかる」、それで
「その感覚」は「」、その「基本の感得」に 過ぎない。


 そう「他人ひとがやっているのを見て覚える」
  それと同じで
 「やってみて」「できる」、その
 私の中に「それが前提として適用されている」
  そういうことだ。


  「そもそも 「できない」と思うこと瞬間があまりないこと」
  「やってみてこと」。

 その 二つが合わさり
「私の中の設定」には「本気で思ったらできないことなんてない」、それが適用されている。

 確かに「できないこと」
それは 無くはないけれど
 「今ここの私」で視れば その理由ははっきりとわかり
「それは私のやることではないからできないだけ」で
「ぜんぶの中の部分なのだから すべてをできなくともいい」のだ。

 だから 私達は「すべての中の部分パーツ」として存在し
 「お互いは「全」を創る為の大切な構成成分である」。


 そう その「空間のの違い」

それもまた「あっちの部分」と「こっちの部分」の「成分の違い」だからして

どっちが良い悪い
    高い低いでなく
  「ある場所から ある場所へ」
 例えるなら
  「山の下から上へ」移動するだけのこと

 確かにそれは「空気の薄さ」が違い 体調を崩す者もいる。

だけどそれは「前提感覚」と「体のつくり構成成分」が 違うから。

 
     成る程?

 確かに「ここに来たばかりの頃の私」は
 まだ「浅くて」、運石に酔っていたけれど
今の私は「深く せかいに根差して いる」。

 だから 
 「その違い」を感覚で捉え
 「向こうからこちら」という「移動渡り」を「自然に行っているのだ」。


  それは もう「薄い膜を超える」様に。

 表面では意識していなかったけれど
 表裏一体の私だから「そう」なので ある。


「    成る程、  なるほど ね。」

「ちょっと、ヨル?ほら、これも食べてみて?」

「おやつを目の前に置いても気付かないなんて、今度はどんな事を考えてたのやら。」
「食べ物のことじゃない?」
「それなら気付くわよね?」

「   えっと   いただきます。 」


 接客の終わったエローラが 持って来てくれた
  新しいおやつ
 それを目の当たりにして。

「 確かに。 美味しい。 見た目もまた可愛いね。」

「でしょう?この前屋台で見たやつをアレンジしてみたんだけど。見た目が違うと、味も変わる気がするわよね。」
「えっ、でもアレも入れたんでしょう?」
「そうそう、あのハーブがいい味出してて  」

  その「美味しいハーブ」が
 なんなのかはわからないけど。

  イストリアの畑の 匂いがして
 「ああ ここでも繋がったんだな」
  その感覚が胸を占め 
鼻と喉から落ちて来た「焼き菓子の味」と合わさり 
 私のなかへ 沁み込んでゆく。


そうして その「感覚」を 
  また落としながら。

 「お菓子って ホント別腹」

 そんなことを思いながら 膨れたお腹を

  さすって いたのである。










しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

処理中です...