透明の「扉」を開けて

美黎

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17の扉 こたえしかない ところ

為すべき こと

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 実際
 ホントに
 「現実」
 「世界」
 「出来事」が どうあれ。

そこで「何が起きていようとも」
 それは「己が積んできた光の結果」で しかなく
「世界」は「その微細なの集まりで」
「その瞬間に 多い色が「世界の出来事」を創る」。


 大きな「世界というパレット」のなかで
 「青系」「寒色が多いか」
 「赤系」「暖色が多いか」
 その「微細な集合」で「現れる景色」は変わり
そしてまた私達「個々の光」は「自分の眼鏡」を掛けて、その光景を見ている。


  今 私は 何色の眼鏡を 掛けている?

   「それ」は 「一番高い純粋な色の眼鏡か?」

 そうやって 自分に質問を繰り返しながら。

「いろんなこと」を話し続ける、聞き慣れた耳障りの良い声を
 自分に取り込んでゆく。

 そう
 本部長は 「事実」にあまり「色を乗せない」から。
「いつの私」にも 聞きやすい声で話しているのが 今更ながらにようく、わかるのだ。


 そうして 「不思議な空気の部屋」の中で。

  淡々と 語られる「昨今の現状」
  「それに対する みんなの補足」

その「希望的観測」と「理想の状態」
 だがしかし
  「どんどん現れる事実結果」に「理想と現実」が 明らかに乖離してきて。

 その「対策」に みんなが苦労しているのが
 眼に 視える。

そして 私が一番意外だった
 「なんで 私が呼ばれたんだろうの部分」、
それを水面下で探っていた「明晰君」が ピンと琴線を弾いて。

 「パッと 顔を上げた私の眼に」
 「そうだ だからお前はその結果に対して
   どう次の手を繰り出す?」と いう
  「実験中の眼鏡のいろ」が胸の奥へ届いたんだ。



「………成る程、だから。確かにそれは、そうかも。」

「私達は始め、反対したのだけどね。」
「姫はこちらへ時間を裂かなくていいんですよ。」

 相変わらずのラガシュとメディナのやり取りに
 クスクスと笑いながら。

 「いろんな色を 浮かべているみんな」

それを観ながら 別視点で語り始めた薄茶色の瞳を 見る。

「私達の事は私達で、と言っておきながら。君に尋ねるのはどうかと、私達の中でも大分話し合ったのだけどね。…この子が、「そこはあいつの領分だから訊いた方がいい」の一点張りだ。珍しいじゃないか、ならば。その理由と結果も気になって、私も賛成した次第だ。その顔は、なにか彼の意図が汲めたという事で、いいかな?」

「   はい。」

  その「話の内容」は
 確かにこれまでの本部長ならば「私に聞かせる事じゃない」と
一蹴しそうだけれど。

 確かに「もっと高い目線から 観ると」。

 「私に」と
 彼が思う理由は ようく わかる。


実際 「そこにある問題」は
 「区画の容量」「キャパシティの問題」で
 要約すれば
 「どんどん湧き出る問題結果に対して」
 「私の区画でまかないきれない人々がいる」と いうことだ。

 そして確かに「それに対処する」という点から見れば。

それは「そちら側実行側の問題」で 私がする部分ではないが
 本部長の言う「私が関与したいであろう部分」は
「自分の箱庭領域について どういう方針を取るか」
 そこだ。


   「自分の持つ区画範囲に対して」
  「どのいろ成分を差したいのか」
  「責任を持っている実験に対して」
  「どう 次の方向性をつけるのか」。


 確かにそれは「ひと」という大切な存在の関わる事柄にして
  「実験」なんて 非常識
そう思われるだろう 普通ならば。

 現に 本棚の前にいる二人からは
 「神的存在とはいえ まだ娘」
 「そんな大きな事を決められるのか」
 「責任を取らせるのか?」
 「それはまだ早い」
 「しかし 「役」としてやってくれるなら」
 「人々を御し易い それはある」
 そんな
  「世界のぐるぐる」が展開していて
 いろんな色が渦巻いているのが わかるんだ
  心の 奥に。


「   なる ほど。」

 ふむ。

そして「部屋の中の」「他の場所にもある」
 「心配」
 「不安」
 「少しの期待」
 「面白がる色」←これは千里だな
 「苦悩」
 「受容」
 「大きな期待」
 「待」
 「無」
 その いろんな色を 観て。

正面の「で?お前ならどうするんだ」と いう
 「軽い色の眼鏡の奥」を観て クスリと笑うと
 その私の「笑に対して」空間が少し騒つくのがわかり
それもまたなんだか 面白くて。

 本棚の前に視線を送り、ニコリとひとつ
 微笑んでおく。


  さて 。
 
 みんなの言いたいことは わかった。

  して?


 この「せかいの用意してきた状況の」は なんだ?

  「私が」「今」「視るべきもの」、

  その「一番大切な光」は なんだ ?


 そう 「思うと同時に」。

 
   ふと
   無意識に
   「上がった視線」は
 その奥にある「金色の瞳」に引っ張られていて
 「勿論そこに浮かぶいろは」
 「ただ ありのままの太陽を私に注ぐ 煌の光」
   で ある。


   
     なる ほど

   そうね


    確かに?



 「それ」は
 先程受け取った「世界の色」が 全く存在しないいろで
 そこでまた一旦クリアになった 私のスペースは。

 「ただ 素直に感じたことを やれ」

 そう言っていて
 そして「それが最善」、それも わかる。


「   はい。」

 だから そのまま「みんなぜんぶ」に 返事をして。


 そうしてそのまま
 一旦「自分のなか光の虚空」へ
 
  スッポリと 入って行ったんだ。






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