透明の「扉」を開けて

美黎

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15の扉 神の領域

清算

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「    なぁんか  やっぱり。  「そういうこと」、だよ なぁ。 」

 パタンと 本を閉じて。

緩りと 背凭れに寄り掛かり
 大きく息を吐いて
  天井を仰ぎ 白い空白を 眺める。


  "落ちるまでは 「待ち時間」"

それが 指標になって ここ暫く。

いつもの様に 
 彷徨いたり
 美味しいものを食べたり
  観たり 遊んだり 聴いたり
   歌ったり 創ったりと なにやら色々 していたのだけど。


「   ふむ。」

 一頻り、のんびりし尽くして今日は久しぶりの図書館へ赴いていた。

 あまり「古いもの」とか   
    「歴史」
    「ルール」、そういったことは 
 スペースへ入れたくなかったけれど。

彩りが美しい背表紙でも観ようかと思い、扉の前へ立つと「なにやら楽しそうなその子」が教えてくれたのだ。

 「どうやら「新しい本」が入ってるらしいわよ」と
私がそれに「惹かれるであろうこと」を 知っている様に、
 そう 宣ったので ある。




「    てか。やっぱり。 まあ、これも「最新」じゃ、ないんだけど。 「そうしよう」と、思ってた人がいたって こと だよね ? それが、今だから、出てきた と。 ふむ。」

 ゆっくりと 
      視線の 角度を変えながら。

 「新しさ」が滲む、本の空気を確かめ
 きちりと綴じられ ピシリと揃ったページの重なりと
  その美しい曲線を 観る。


    ふむ。

 その「案の定 私が惹かれた本」は禁書室にあったもので
確かに凡そ「以前のここデヴァイ」ならば。

禁書室はおろか、発行自体が難しそうな 内容の本
 それは「それぞれの世界の構成」を表した ものだ。

 そうなのだ やはり。

「扉の存在」、それは 決して秘密にしておけるものではなく
「隠せば隠すほど」「暴きたくなるもの」で
その心理は古今東西 変わりない様である。


「 そう、きっと これも。 名もなき光達の 遺産?爪痕、だね。 」

 そんなことを呟きながら「一目でそれとわかる」、私好みに光っていた皮の装丁を しっとりと撫でる。

 誰が 世に 出してくれたのか
  それとも「今だから」「自然と」
   「そう 成り」「発行された」のか。

その、真相はわからないけれど なにしろこれが「今 ここにある」こと自体だけが私にとっての真理であり それ以外は言わばなんてことないものおまけである。

 
  この「タイミング」
   そして「今の私の 状態」
 そして 「これからの私の 進む方向へのヒント」。

それが示唆されているのは間違いなくて、静かにウキウキしながら開いた本だったけれど
「その 意味」がまた 段々と沁みてくるのも わかって。

「   なるほど  。」

 せかいの計らいに納得しながら
それを サラサラと紐解いて いった。






      ふぅむ 。

 
 その 本は 
簡単に説明すると
「各扉の図説」が描かれているもので、
それぞれの扉を研究していた者達の結果を集めてあり、時代毎の内容を比較考察できる「図鑑の様なもの」だ。

例えて言うなら「世界各地の絵を時代毎に綴じて 年表として表したもの」
 そんな感じで
「当時の様子」と「書き手の思想」が推察できて面白い、芸術と歴史の融合した図録の様な ものなのである。


 して
「何故それが 成る程なのか」と言うと。


「   てか、これ。 見れば、視るほど 「私のために」? ある、よね、やっぱり。」

 そもそも「禁書室」、そこへ入れる者自体限られて いる。

ひっそりと 作られた後
 「奥へ仕舞われた様子」を想像して小さく息を吐くけれど
だがしかし 今
 「開放感」を求めてこっそりと二階へ持ち出して眺めていた自分を省み 「その思惑が破られたこと」に対して つい苦笑する。

「  ま、誰 が どう したとしても。 それも、「せかい」ってことだしな 。」
 
 その「ことば」を呟きながら。

今し方 自分のなかスペースでくるくると回っている「新しい景色達」を光の基盤に乗せて 展開してゆく。


 「分厚い 出立」
 「惹かれる 色味」
 「なんだか意味のわからない題名」
そして
 「状況を観察してあるだけの絵」と
  「少しの注意書き」
 「きっと「予測」が入っているであろう「想像上の生き物」の登場」は
 「記録」か「記憶」か はたまた「伝聞」なのか
しかし ポイントは。

  よく わからない曖昧な部分含め
 「その瞬間信じられていたものを精密に記録する」執念と
それを時系列に纏める「意思の炎」。

 そして「読み取る側に 解釈を任せる」オープンな姿勢と 
そこから発展してゆく「光の意図」、その美しい地図繋がりだ。


「   そして。 この最大のポイントは 「これを見て 」って ことだ。」

そう、それが「一番のポイント」で。

 「これまでの私」ならば
「凄い、美しい絵♪」とか
「綺麗 こういう風に描けるといいな」とか
「ふむふむ」とその時代の景色を取り込んで 一頻り楽しんで。
そんな「感想を抱いて」、終わっていた筈なんだ。

 だけど 「今の私」はこの本を「本として見ていなくて」。

 「これは カケラで 地図で」
 「私の道に輪郭を増やすもの」それと知っているので ある。


「    ふむ。 だから ? して 「俯瞰」。でも。 まあ  」

  この「旅」を「俯瞰して」
  「整理し」「清算して」。

 「新たなる旅の準備をしろ」と いうこと
   だよ ね ? ? ?


そう、せかいへ問い掛けてみたけれど
 異音は無いので そのまま進める。


 そうして「清算の時」、そう自分の中に
「ピッ」と示して。

正しい位置から また新たにスタートする為に
明晰君を 呼んだので ある。







 「旅」


   ↓      「カケラ拾い」
   経 「体験」
   験  「炙り出し」
     「沈殿」
     「出現」
     「解凍」「消化」
     「理解」 「浄化」
     「受容」


   ↓
  「全」へ



  「理解」→「受容」→「清算」→「浸透」→
  「リニューアル」「新しい せかい」



  意識「光の網」
   内側 裏側
  「」「バランス」
  「必要主要点の補完」→「充満」

  「繋がり」「回収と結合」


 「全」を持ち 解き放つからこその「長い旅路」



  「承認」「許可」「準備」

 「引っ掛かっている 場所」

    「まだ残る 「なんで」」

   「世界にあること」と「せかいである」ことの
   「バランス点」

  
     "己の 本質の 望み"


 「すべてを吐き出した後の ほんとうのこと」。


 くるくる くるくると 廻りながら
しかし
 「ピッピッ」と 小気味よく並んでゆく
  「光のカケラ達」

 「私の軌跡」
 「内側の景色」
 「内外両方の視点」
 「今 それを一番外側から観ている 最高地点の景色」。


「      ふうむ 。」


 その「明晰君が並べ始めたカケラ」は
「光の網に記録されている 私の旅路の全行程」を表していて
「それを 私が受容し 承認して」
 「次へ進むステップ」それを 描き始めて いる。

 そう
なんだかんだ、「はっきりと行き先が視えない」のはやはり
 「まだ 落ち切っていない」
 「浸透していない」からで
私はまだ「捨てきれていないもの」が あるのだ。


 それは「なに」なのか
 それとも「そういうことじゃない」のか。

そう、それは「点」ではなく「面」なのかも知れないし
 寧ろ「全て」だけれど「きちんと見ないと進めないもの」、そうでも ある。


「  ま、なにしろ。 ここへ来たからには? 視える、って ことだよね。」

 だから それだけ「せかいへ」、呟いて。

 階下の 「私に気付かない人々」を眺めながら
  ゆらゆらと 
 椅子を揺らして いたんだ。














 




 
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